大殲滅!機動部隊ハワイ大海戦 

 霧島 那智   JOY NOVELS

1巻 

 初版発行 1997年9月25日 定価 本体781円+税

 ISBN4-408-60085-7

2巻 

 初版発行 1997年11月25日 定価 本体781円+税

 ISBN4-408-60087-3

3巻 

 初版発行 1998年1月25日 定価 本体781円+税

 ISBN4-408-60089-X


1巻

 1巻のカバーに書かれている【作者の言葉】によりますと、この作品の売りは次のようなものだそうです。

「真珠湾攻撃でアメリカが大敗した責任は、太平洋艦隊司令長官キンメル大将とハワイ方面陸軍司令官ショート中将の二人にあるとされている。

 だが、これは余りにも一方的な責任の擦りつけであり、不当なものであった。

 ではキンメルが日本軍の動きを察知していたならば、戦争の緒戦はどう動いたか。

 反撃に出たキンメルと、真珠湾攻撃を狙う日本軍の激烈な戦いを、楽しんで戴ければ幸いです。」

 

 舞台は1967年夏、真珠湾攻撃時の太平洋艦隊司令官ハズバンド・エドワード・キンメルが85歳の生涯を終える場面から始まります。真珠湾攻撃の責任をとらされて罷免された彼は、汚名をかぶったまま死んでいくことに耐えられませんでした。

 そして雷鳴が轟く中、「神よ、このまま死なねばならないのなら、せめて私を、かの時に戻らせたまえ!」と叫んで息絶えます。ですが、キンメルが再び目を覚ましたとき、そこは1941年12月6日、つまり真珠湾攻撃の前日、太平洋艦隊司令長官席に座っている自分がありました。夢かと思って、手の甲を思いっきりつねってみましたが、ちゃんと痛みを感じます。そうです。神さまはキンメルの願いをかなえて時間を遡らせてくださったのです。なんと慈悲深い神さまなのでしょう!!

 前世の記憶をきちんと受け継いでいるキンメルは、太平洋艦隊の動きを探っているスパイをとっとと捕まえて拘留し、艦隊を戦闘態勢に整えて、迫りくる南雲機動部隊を、標的艦「ユタ」まで含めた全艦をあげて迎撃するために出撃します。もちろん南雲艦隊の進路はキンメルの記憶の中にちゃんとインプットされているので、場所をまちがえるようなことはありません。日本軍危うし!!

 ところがどっこい、いざ海戦になってみたら、アメリカ軍の艦載機が、日本軍に先制奇襲攻撃をかけても真珠湾攻撃部隊が出撃したばかりで、空母に爆弾が命中してもろくな損害を与えられません。反対に日本軍の攻撃部隊は、たまたまアメリカの空母が爆弾搭載作業をやっている最中に、攻撃をかけることが出来、アメリカ空母は誘爆を起こしまくって沈んでしまいます。残りの戦艦部隊も航空攻撃を受けて全滅してしまいました。史実以上の大損害です。結局、前世の記憶があっても、対して役には立たないのですね。いい教訓になりました。ちゃんちゃん。

 普通の作家なら、前世の記憶を持った人間が登場させたのなら、もう少し違うストーリーにするような気がします。こんな展開にしてしまうなんて、やはり霧島 那智は侮れません。

 

2巻

 2巻の【作者の言葉】は、下記の通りです。

「第一巻で、アメリカ軍機の特攻を受けて南雲中将以下の主要な幕僚が重体に陥り、戦闘指揮が執れなくなった。後任人事は、となると、やはり開戦前から「第一航艦司令長官に」との前評判が高かった小沢治三郎中将であろう。史実でも小沢はジャワ島作戦で受持外の今村均中将(陸軍)を支援するなど、陸海軍の枠や縄張りを越えて、真に「何が最も御国のためになるか?」を常に行動した人であった。名将の一人として、アメリカ側の評価も高い。この小沢が指揮を執ったら・・・が第二巻以降のテーマである。」

 では一巻はいったい、なんのためにあったんでしょうか。

 1巻で太平洋艦隊が全滅してしまったので、機動部隊は思う存分、史実では攻撃が徹底できなかった真珠湾の港湾施設を叩きまくってアメリカの継戦能力を破壊します。その後、機動部隊は、蘭印方面の掃討にも活躍します。ほとんど弱いモノいじめにしか、私には見えませんが。

 ちなみに、過去の記憶を持って、転生してきたキンメルは、その記憶をアメリカのために生かすことなんてせずに、1巻の大敗北のショック&負傷で、入院して寝込んでます(笑)。

 

3巻

 この巻の「作者の言葉」は次の通りです。

「『特攻』というと、日本の専売特許のように思いこんでいる人が多い。上から命令されて、いやいや行った特攻に関しては確かにそうだが、本人が自主的な意志で敢行した体当たり特攻の例は、アメリカ軍でもけっこう見られるのである。戦局が日本にとって圧倒的に有利に進行したら、案外とアメリカも特攻作戦を行ったかも知れない、などと考えつつ書いていたのが、本書である」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。こういうときどんな顔をすればいいのかわからないの。

 南方攻略も2巻で機動部隊を投入したおかげで、さっさと進み、戦争開始から3ヶ月目の1942年2月にハワイ上陸作戦を開始します。アメリカ軍も全力で迎撃するのですが、霧島 那智の他の作品と同じく零戦と三式弾で壊滅。4万人の日本軍はハワイ上陸に成功します。

 そこで、窮地に立たされたアメリカ軍が繰り出してきたのが、普通の潜水艦による輸送船への体当たり特攻作戦です。魚雷を積んでいても撃たずにそのまま体当たりです(をい)。確かにアメリカは追いつめられたら、特攻作戦を行ったかもしれませんけど、こんな馬鹿な方法は絶対にとりません

 そもそも第一次&第二次世界大戦のドイツUボートによる通商破壊作戦時には、潜水艦が輸送船やコルベット(小型護衛艦)の体当たりを受けた場合、まず確実に潜水艦の方が沈没しました。反対に水上艦の方が沈められた例は、日本軍の特攻人間魚雷「回天」を普通の潜水艦と間違えてわざわざ体当たりしにいったアメリカの駆逐艦と、以前起こった潜水艦「なだしお」事件みたいに、水上船の方が圧倒的に小さい場合ぐらいなもんでしょう。

 しかも、霧島 那智の作品の通例で、50隻もの潜水艦が特攻作戦をかけてきても、日本の護衛駆逐艦があっさりと撃退しちゃうし。

 あと当然のごとく、ハワイを占領した場合に生じる捕虜や一般民間人への配慮などは問題にもされてませんね。当時の日本軍なら大量虐殺行為などは平気でやりかねないのに。

 しかしよく見てみたら、この三冊、一ヶ月おきという凄まじく速いペースで出版されてますね。ということは、全然、資料調査の手間なんてかけてないんじゃないの? まあ今に始まったことではないけど(笑)。

 

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