超弩級空母大和4 DEATHTRAP AND GENESIS 

  奥田 誠治・三木原 慧一  学研 歴史群像新書

  初版発行 1997年7月10日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400788-0


 まず、こんなところに書いてますが、「超弩級空母大和」シリーズは極めてまともな架空戦記です。あの大和をアングルドデッキの空母にしてしまうという一見色物っぽい設定ですが、考証はもの凄くしっかりしており、特に電波兵器やコンピュータ等「普通の人には見えない兵器」の設定の緻密さは、架空戦記の中でかなう本は存在しません。肝心の文章力も、凄惨な戦場や、どうしようもない人間関係、官僚組織の問題点をイヤになるくらい描き出す筆力があります。

 私も、何回も再読するくらいハマっていて、続刊をいつも楽しみにしている架空戦記の一つです。1998年8月現在、7巻まで出版されてます。

 では、なんでこんなところに分類したかというと、このシリーズかなりパロディが多いのです。それはマイクロソフトや、クソゲーで有名なデスクリムゾンなど極めて多彩ですが、アニメのエヴァンゲリオンのパロディもかなり多いです。そしてこの四巻「DEATHTRAP AND GENESIS」は、ほぼ全編がそのネタで埋め尽くされていると言って過言ではありません。

 

 この四巻は、題名が「超弩級空母大和」であるにも関わらず、ナチスドイツが開発した「ウラル爆撃機」によるソ連の指導者スターリンの殺害作戦だけを描いています。ちなみにこの世界での東部戦線は、ドイツ軍がモスクワに主力を集中した結果、モスクワは1941年のクリスマスに陥落。ソ連のゲオルギー・ジューコフ将軍は「チャーンス」と叫んで、反撃を行いますが失敗。しかしドイツ軍も大損害を受けて、戦線は完全に膠着状態です。

 

 『祖国と人民の全ての希望と運命を担う偉大な指導者、輝ける太陽にして革命の旗手、世界を革命する力を持つ我らの高台(うてな)』ことソ連の指導者スターリン大元帥のおわすところは、臨時首都アストラハンにある一万二〇〇〇枚の特殊装甲で護られたソ連最高司令部地下防空壕『エネルギア』。

 そこを襲撃するのは、ドイツの四発重爆撃機「ウラル爆撃機」ことHeー6666『ギガント』零号機から参号機の四機。それぞれ、

といった感じです。

 まあおわかりでしょうが、EVA零号機から参号機にきちんと対応してますね。 

 そして、そのウラル爆撃機を迎撃するのは、ソ連がアメリカから供与されたP51ムスタングを高高度戦闘機に改造したP51ムスタングБ(ベー)二機。パイロットは男女二人のペアで、男性の方は、

「歌はいいな…、母なるロシアが生み出した文化の極みだ」

という台詞を吐いてのけますし、女性の方は、ウラル爆撃機を発見したときに、

 「ウラル爆撃機……」「完成していたの……?」

と呟いて、攻撃をかけるときには、

「殺してやる、殺してやる、殺してやる!」

と叫びます。

 その他、中国系のメイドさんのメイファンという女性が登場したり(「デスクトップのメイドさん」ネタですね)、スターリンの大粛正で処刑されたミハイル・トハチェフスキー将軍のことを「赤い彗星」と呼んでたり、沢山あります。

 本来主役で有るはずの、日本の描写はそんなにありませんが、それでも

葉隠を愛好していて、『真の日本人』と異名をとる藤田提督(”ちょー”な架空戦記として知られる『第7の空母』ネタ)」

が登場したりします。

 いくつか紹介しましたが、量的にはもっとたくさんあります。私感では1ページあたり1個を越えているような気もしますね。

 ここまでパロディ多くすると嫌う人は多いでしょうが、私はパロディ自体が大好きな人間なのでまったく問題有りません(笑)。基幹となる文章は優れていますし。特にこの4巻のあとがきは、かなりの名文ではないかと思ってます。

 ストーリー自体は無茶苦茶アンモラルというか残虐(「超弩級空母大和」はこっちの部門でも、架空戦記の中で群を抜いてます)なのに、パロディが満載というのも、何だか妙な感じを受けて良いです。というか、パロディ無しではこのシリーズ凄惨すぎて読むのがつらいかも…。

 ついでに個人的には、この4巻はエヴァをネタにした小説では、あの発情期ブルマ検査にも匹敵するのではないかと思ってます(^^;。

  

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