奇想天外兵器

  著者 渓 由葵夫  画 河野 嘉之    新紀元社

第2次世界大戦 奇想天外兵器

 ISBN-4-88317-237-6

第2次世界大戦 奇想天外兵器 2 

 ISBN-4-88317-248-1

奇想天外兵器3 −冷戦の悪夢− NIGHTMAGE IN THE COLD WAR

 ISBN-4-88317-277-5

奇想天外兵器4 −未来の記憶− ジャーマン・フリークス

 ISBN-4-08-614298-8 

第2次世界大戦 奇想天外兵器 イラストレイテッド

 ISBN-4-88317-285-6

奇想天外装備品 ニッポン自衛隊編 (1998.5.7 追加)

 ISBN-4-88317-285-6

奇想天外兵器番付 東 (1999.1.19 追加)

 ISBN-4-88317-326-7

奇想天外兵器番付 西 (1999.1.19 追加)

 ISBN-4-88317-327-5


 このシリーズは主に第2次世界大戦で、計画や生産がトンデモ無い兵器、常識を越えた兵器などを紹介しているものです。最初はそのような兵器の紹介だけなのですが、巻を重ねるごとに常軌を逸した兵器がなぜ大真面目に計画されるか等の分野に踏み込み、さらには、その体質を受け継いでいる現在の政治の批判にまでつながっていきます。著者の意見には賛同できない人も数多くいるでしょうが、そういう方にも3巻のまえがき&あとがきは必見だと思います。

第2次世界大戦 奇想天外兵器

 第2次世界大戦で計画や生産された変わった兵器を取り上げたシリーズの第一弾。紹介されている兵器をいくつか上げると、富嶽やV−2等の定番をはじめとして、重量1000tで28センチ砲2門搭載の超重戦車「ラーテ」、翼で敵爆撃機の翼を切り裂ける戦闘機として試作されたXP−79B「フライング・ラム」、ほとんど円盤XF5U−1「フライング・パンケーキ」。さらにはナチスドイツが開発していたといわれる空飛ぶ円盤や風砲、音波砲、竜巻砲、太陽砲とかいった「わけのわからないもの」まで紹介されています。ちなみに太陽砲というのは読んで字のごとく大きな反射鏡で太陽の光を集光してそれを敵機に照射して炎上させるという、普通とは違った意味で非常に恐ろしい兵器です。

 かなり笑える本ですが、こんな兵器を50年前に真面目になって開発していたなんてなんだか情けなくなってしまいます(笑)。

 

第2次世界大戦 奇想天外兵器 2

 第2次世界大戦での変わった兵器を紹介する第2弾。それなりに新味のある兵器も紹介されてますが、2冊目でいきなりネタが尽きかけている感があります。紹介されているのがカサブランカとかLST、モスキートなど実際に史実でもそれなりに活躍した兵器が主ですから。まあ成層圏をスキップしながら飛行する宇宙空間爆撃機「ゼンガー」とか、どうみても不採用になった戦車の90両分の車体を利用して製作したとか思えない重駆逐戦車「エレファント」とか、ほとんどでっかいネズミ花火のロケット自走転輪爆雷「パンジャンドラム」とかアレな兵器も結構ありますけどね。

 

奇想天外兵器 3 −冷戦の悪夢− NIGHTMAGE IN THE COLD WAR

 1、2巻では、第2次世界大戦中に開発された奇妙な兵器を主に紹介してきましたが、3巻はアメリカとソヴィエトの冷戦下で開発された変わった兵器を紹介しています。登場兵器は爆撃機の腹に寄生するように運ばれていくXF−85「ゴブリン」やマッハ3の超高速爆撃機XB−70「ヴァルキリー」とか航空機が中心です。

 一番私が目が点になったのは、F101ブードゥーの項で紹介されてた、空対空核ミサイル”ジニー”です。速度マッハ3、射程2400M〜9600Mで半径750M以内にある機体は跡形も無く吹っ飛ぶ威力・・・、実際の戦闘では発射した戦闘機も思いっきり巻き込まれそうな気がするのですが。しかもこんな兵器を人体実験まで含んだ実射テストまで行い1984年まで実戦配備されていたとは。

 この巻から、日本の政治に関する批判が非常に多く見受けられるようになってきます。訳の分からない兵器が開発されるにはその国の政治状況が関わっていることが多いから政治に関する話も必要だと思いますし、個人的に著者の政治に対する意見には同感を覚えるのですが、人によっては少々鼻につく点があるかもしれません。「私は兵器の本を読みたいのであって、今の日本の政治の本を読みたいのでは無い」とか。しかし先ほども書きましたが、まえがき&あとがき等を始めとする著者のコメントこそ、本当に読んでほしいモノだと思います。納得できない人も多いでしょうが。

 あと非常に残念なのは、紹介された兵器が西側の兵器だけに偏っていることですな。旧ソ連にも

等のトンデモない兵器がたくさんあるのですが。まあ続刊に期待しましょう。

 

奇想天外兵器 4 −未来の記憶− ジャーマン・フリークス

 今回は敗北寸前のナチスドイツで計画された世にも奇怪というか浮き世離れした航空機に関してです。登場兵器(って呼べるのかな?)にはこれまでに登場したのも含まれていますが、トリープフリューゲルやTa183などを開発時のごたごたを含めて出来うる限り、詳細に記述しています。

 いきなり最初から、機体の真ん中に巨大なプロペラが配置された急降下爆撃機「BvP.192」で度肝を抜かせてくれました。着陸脚が長すぎてすぐに折れてしまいそうな気がするのですが(笑)。

 掲載されている航空機はこの本の言葉を借りれば、「大戦間の新世代機のルーツとなったもの」「あまりにも時代を先取りしすぎて、いまだに実用化の目処すら立っていないもの」「思いつきだけで、理論的な裏付けもないまま計画にゴーサインを出したもの」の3つがあります。もちろん一番笑えるのは3番目です。

 しかしこの本に載っている兵器は終戦までの1年間に満たない間に考えられたモノだそうです。連合国がドイツ本国内に攻め込んできた地獄のような1年間でしたが、想像力豊かな技術者にとっては夢のような1年間だったかもしれません。普段だったら笑い飛ばされるような構想を大真面目に検討できたのですから。

 

奇想天外兵器 イラストレイテッド

 シリーズ5冊目の本巻は、イラストを中心とした画集のようなものです。主に1、2巻に登場した兵器を中心に河野 嘉之氏の美麗なイラストが描かれているのですが、渓 由葵夫氏の文章も新事実等をもとに冴えわたっています。

 内容に文句はありませんが、ノーズアートの歴史などという章をもうけたのなら、航空自衛隊のセーラームーンや「ああっ女神さま」のベルダンディなどが書かれたイラストも描いてほしかったです(笑)。

奇想天外装備品 ニッポン自衛隊編

 シリーズ6冊目は、日本の自衛隊が装備している兵器を、いつもの調子で批評した本です。ただし、自衛隊の装備する武器は基本的には「兵器」とは呼ばず「装備品」と呼ばれるので、題名はちょっと違っていますが。

 まあ相変わらずの調子で、これまでの自衛隊の兵器もとい装備品を批評しています。例えば、ロッキードF104J”スターファイター”が「兵器オタクのアメリカが作った趣味の機体を引き受けさせられたもの」とか(笑) 。

 ただ全体的に、装備品そのものを批判する感じではなく、

「日本がこんな国だから、こういう装備が導入されたんだ。装備品そのものを責めても仕方がない」

というスタンスで書かれているような気がしました。現に兵器の紹介のはずなのに、その兵器の紹介を一言もせずに終わってしまう項もあったり、イージス護衛艦”こんごう”の紹介なんか、「それなりに強いけど、その力を発揮するようなことがあってはならないように外交をしっかりしなければならない」という結論に落ち着いちゃったりしてます。

 日本の自衛隊の装備を、この本よりもっと激烈な調子で批判しまくる本は何冊か存在しますけど、それらの本とはまったく違う異彩を放ってますね。

 ふと思いましたが、この本って、ほとんど軍事知識が無くても読める日本社会の批判本というのが近いかもしれません。いきなり巻頭が事実上「婦人自衛官写真集」になってたり、まるまる1章を割いて「平成ガメラ賛美&平成ゴジラこきおろし」という訳のわからない企画もあるし(笑)

 

奇想天外兵器番付 東 

奇想天外兵器番付 西 

 今回は2冊で1セットです。「東」が第2次世界大戦の枢軸国側の”ちょ〜”な兵器、「西」が連合国側の”ちょ〜”な兵器を取り上げていて、それぞれ、横綱から前頭十三枚目まで、相撲の番付風に紹介。同じ番付同士、取り組みをしてどちらが勝っているかが、書かれています。

 例えば、「関脇」クラスは、「東」はドイツの1000トン戦車”ラーテ”、「西」はアメリカの150トンセミトレーラー戦車を取り上げて、対決させています。といっても、「東」と「西」では決着も違うのですが。

 これまでに紹介されていなかった兵器も多数あって、ナチスドイツの円盤兵器は非常に充実しているし(^^;、ロシア帝国が第一次世界大戦時に開発した”Tsarタンク”なんか、直径10メートルの車輪を持つ糸巻き型三輪戦車という素晴らしすぎる兵器です。この絵だけでも一見の価値有りかと(笑)

 しかし、こういう風に、枢軸国側と連合国側の”ちょ〜”な兵器をそれぞれ、まとめて出されると、どっちもどっちだということが良くわかりますね。一般的には枢軸側の方が、訳の分からない兵器をしていたことが多かったとされていますが、むしろ連合国側の方が凄まじすぎ。やっぱり、金がある方が色んな試みを出来るのかもしれません。

 現在でも、”ちょ〜”になりそうな兵器は、アメリカとかロシアとかの軍事大国でしか開発されて無さそうですし(笑)

 

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