英国占領 上・下 (2005.7.18追加) (amazon 

 著者 マリ・ディヴィス  二見文庫 
 初版発行 2005年6月25日  定価 本体857円+税
 ISBN4-87777-074-7


 ドイツが英国を占領してしまった世界。
 捕虜になっていたニコラス・ペニーは、ドイツ軍協力組織の「英独友好同盟」に加入するという条件で捕虜生活から逃れ、故郷の町に帰ってきた。
 ドイツ協力者ということで、旧知の町の人間からは白眼視されつつも、業務に励むペニー。
 友人との繋がりから、密かに対独レジスタンス組織にも加入することになるが、強まるドイツの搾取と、レジスタンスとの繋がりはペニーにとって過酷な運命を強いることになるのであった……。

 歴史展開としてはフランス戦終了直後にイギリスが占領されたという設定になっており、ストーリー中盤からドイツによるソ連侵攻が始まります。
 史実のフランスがそうであったように、最初は紳士的な占領ですが、激戦が続く東部戦線に物資などを補給するための労働力や資源が強圧的に徴発されていくことになります。
 実際にナチスドイツの占領地であった事件である 「ユダヤ人強制収容」「レジスタンスの攻撃に対する無関係な人質の殺害」「レジスタンスに関係したと見なされた村の皆殺し」「労働力のドイツ本国への強制徴用」「強制徴用から逃亡して山野で暮らすイギリス人男性たち」「横暴なドイツ側イギリス人民兵」「東部戦線に送られるイギリス人義勇師団」などが、ストーリーが進むたびに起こっていき、かなり暗い雰囲気の話ですね。
 もっとも、展開が「え?!」という驚きの展開ばかりなので、暗さにめげるヒマも無く、一気に読み進めることが出来ましたが。

 しかし、この作品を読んでいて、ホントに展開の予想が付かなかったです。
 誰がどちらについているのか判らない状況で、主人公の周りは加速度的に悪い方向に進んでいくジェットコースターのような感じ。
 プロローグの文章からして、かなり悲惨な事件が起こると予想は出来るのですが、どんどんロクでも無い事件が起こり、容赦なく主人公の周りの人間達が死んでいきます。
 そして、ラストに起こってしまった事件といえば、それはもう……。


 この作品を語る場合は、同じく「ドイツによる英国占領ネタ」の古典であるレン・デイトンのSS−GB()とも比較しなくてはならないでしょう。
 比較すると、SS−GBの方がまったりした雰囲気で、英国占領のがテンション良く話が進んでいきますね。
 主人公が捜査する側と、巻き込まれていく側という違いはありますが。

 あと、SS−GBはその衝撃的なラストが有名ですが、ラストの衝撃という点なら、英国占領の方が遙かに上です。
 それとプロローグの掴みは、英国占領の方がしっかりしていて、引き込まれやすいかと。
 SS−GBは最初からまったりしすぎている点がありますから。
 
 

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