兵隊元帥欧州戦記

  著者 林 譲治  イラスト 今井 邦孝  歴史群像新書 

1巻 独立戦車隊、北アフリカ殴り込み!

初版発行 1997年6月5日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400833-X

2巻 仮装航巡東洋丸、北大西洋疾風怒濤!

初版発行 1997年8月7日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400863-1

3巻 出撃!伊号第三〇潜、マルタ島陸海攻略作戦!!

初版発行 1997年10月4日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400864-X

4巻 綾波隊、インド洋作戦!!

初版発行 1997年12月24日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400914-X

5巻 中東打通作戦! (1998.5.14 追加)

初版発行 1997年12月24日  定価 本体760円+税

  ISBN4-05-400914-X

(以下、焦熱の波濤に続く)


 「兵隊元帥」とは、旧日本陸・海軍で兵隊などの叩き上げから、少佐などになった兵士をいいます。このシリーズには確固とした主人公は特におらず、そうした叩き上げの少佐が士官学校出の大尉などを指揮するとどうなるかというのを楽しむ架空戦記です。なかなかキャラクター同士の会話もしゃれていて楽しめます。あと珍しいことに、たいていの架空戦記で弱く描かれているイタリア軍が大活躍する話です。

 

1巻 独立戦車隊、北アフリカ殴り込み!

 1941年12月、イギリス軍による臨検などの難関をくぐり抜け、リビアのベンガジに日本陸軍の独立第一歩兵大隊が上陸した。”歩兵大隊”といっても編成は戦車2個中隊、歩兵1個中隊、段列と変則的で、指揮するのは兵隊からの叩き上げの影山少佐。彼等はロンメルのアフリカ軍団に便乗して、中近東で反英勢力を結集、「和製アラビアのロレンス」になるべく送り込まれた・・・はずだったのだが、結局そこまでロンメルがたどり着いていなかったので、エジプトでアフリカ軍団の一員として戦うことになった。改造しまくった日本の97式中戦車と、イギリス軍との戦いで手に入れていくマチルダなどで彼等は奮戦しまくる。

 思いっきり改造しまくった97式中戦車が登場します。主砲は短砲身57ミリ砲から、ドイツ3号戦車と同じKwK39 50ミリL42戦車砲に。エンジンは空冷ディーゼルからこれまた3号戦車と同じマイバッハHL120TRに。ついでに車長用キューポラをつけて視界をよくして、砲塔バスケットを付けて乗員の負担を減らしたり、装甲を強化したりして別物の戦車に変貌してしまいました。あとがきでは史実の一式に相当だそうで、1941年ということを考えれば悪くないでしょう。史実とは違い、ちゃんと戦車としての使い方をされ大活躍します。

 非常に楽しく読めますが、史実のアフリカ戦について多少の知識が無いとよくわからない部分があるかも。

 

2巻 仮装航巡東洋丸、北大西洋疾風怒濤!

 1巻で影山少佐をアフリカまで運んだ商船、東洋丸は1941年12月の日米開戦で日本に帰れなくなり、名前を「シャルンホルスト」と変え、ドイツで空母に改装され、1943年1月に、はるばる潜水艦伊30で運ばれてきたミッドウェー海戦で沈没した空母飛竜の生き残り乗組員(もちろん敗北の隠蔽も兼ねている)と、艦載機としてレッジャーネRe2001を運用するイタリア海軍航空隊が乗り込んだ”仮装航空巡洋艦シャルンホルスト”として完成した。”仮装航空巡洋艦シャルンホルスト”は北大西洋を通商破壊に縦横無尽に活躍し始めますが、ついに英空母「フォーミダブル」のとの衝突が!。

 ”仮装航空巡洋艦シャルンホルスト”が、「空母」と称さないのはひとえにドイツで空を飛ぶモノなら何にでも管轄権を主張するヘルマン・ゲーリング空軍大臣の横槍をかわすためだけだったりします(笑)。日本とイタリアの将兵が乗せられているのもそれへの対抗の意味があったりしますし。

 何とか海軍の航空機を取り上げようとするゲーリングがいい味を出しまくってますけど、実際の史実でもこんな感じだったみたいです(^^;。

 

3巻 出撃!伊号第三〇潜、マルタ島陸海攻略作戦!!

 時間軸的には、2巻の少し前の話になります。1942年8月、ロンメルの北アフリカ作戦は膠着状態に陥っていた。この膠着状態を打破するために、イタリアのシチリア島のすぐ近くにありながら史実では最後まで陥落せずアフリカ軍団の補給を妨害し続けたマルタ島の攻略作戦が日独伊3国の共同作戦によって始まった!。

 史実で、イタリア海軍の大型水上艦艇がいまいち活躍できなかった一因として燃料の不足が上げられます。これを解消させるためにイタリアに石油を満載したイギリスの大型タンカーを無傷で捕獲させているのですが・・・、やっぱりイギリス海軍はかなり強いですね。

 あと1巻でおなじみの独立歩兵第一大隊に地上襲撃機ハインケル He−162”サラマンダー”が配備されますが、史実のようなジェット戦闘機ではありません(^^)。まあ時代を40年ほど先取りしてる兵器ですが。

 

4巻 綾波隊、インド洋作戦!!

 ヨーロッパ方面で激戦が続くさなか、インド洋方面で通商破壊を行う謎の日本艦隊が存在した。その名は「綾波隊」。この謎の艦隊を一掃すべくイギリスは戦艦ネルソンを送り込んだ!

 3巻でちらりと触れられていた「綾波隊」こと日本海軍第24戦隊のお話です。しかし凄いネーミングですな。特設巡洋艦の中には「憂国丸」とかいうどっかで聞いたことあるような名前もありますし(^^;。

 枢軸側が日本軍だけというのもこのシリーズでは初めてです。もっとも構成員はバケツがお友達の少尉や日蓮宗の僧侶でもある艦長などろくな奴がいないような気がしますが(笑)。

 ストーリーの進み方が、連合軍も日本軍も相手の意図を勘違いしまくったあげく、訳の分からない方向に進んでいくので楽しめました。個人的に実際の戦闘もこんなモノのような気もします(^^;。  

5巻 中東打通作戦!(1998.5.14 追加)

 えー、ようやくこの作品でも、山本五十六連合艦隊司令官という大物が初登場しました.架空戦記としては、非常に珍しい部類ですね(^^;;;。戦艦「大和」も名前しか登場しないし。

 この巻は、”インド洋艦隊”に格上げされた「綾波隊」がドイツ、イタリア等との恒常的な海上連絡を構築するための「中東打通作戦」が行われます。と、いっても、

「実際はたいしたことがない枢軸軍の兵器や戦略を、連合軍が徹底的に曲解しまくって、訳の分からない反応をして事実上、自滅していく」

という、このシリーズの黄金パターンは変わりませんが(笑)。連合軍が訳のわからない対応をするという点では、かの怪作「独立愚連艦隊」にも、匹敵するような気がしてきました(^^;;;。

 しっかし、訳のわからない兵器も登場してますねえ。前巻で大損害を受けた戦艦「日向」は、「戦艦空母」としか言いようの無いほど、笑える改装を施されてますし、史実では、「役に立たない兵器」として廃止された「連携機雷」が大活躍してるし。

 あと、日本軍の対潜作戦も史実より、はるかに強化されていますが、その理由が、「戦果の過大評価のし過ぎ」にあったという力の抜ける理由だったりします。個人的には、適切な改変方法だと思いますけど。

 とりあえず、この5巻で、第一部が終わりのようですが、先の展開がまったく読めません(^^;;;。どうすんでしょうね。これから一体。

 

 

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