大日本帝国海兵隊戦記 

  高貫 布士   飛天ノベルズ 

1巻 「威海衛攻略作戦」

    ISBN4-89440-089-8

2巻 「旅順大砲撃戦」 (98.1.22追加)

    ISBN4-89440-096-0

以下、新・大日本帝国海兵隊戦記に続く


 史実の日本では、明治の初期に短期間だけ存在したがあっという間に廃止されてしまった海兵隊。このシリーズではもし明治初期から海兵隊がきちんと存在していた世界を描いています。といっても1巻で日本陸軍が南方で連合国軍に敗北する等と書かれていますので歴史自体はそれほど変わらないものと思われます。しかしこれもホントに題名何とかしてほしいです。林譲治の「大日本帝国航空隊戦記」と紛らわしくて仕方ない。

 

1巻 「威海衛攻略作戦」

 明治政府誕生とともに旧幕臣や佐幕藩の優秀な軍人を反政府側に追いやらずに再就職の道を開くため、勝海舟の尽力によって創設された海兵隊。しかしそれは表の理由であり本当の理由は、正規軍ではなく奇兵として遠隔地に紛争が起きた際の火消し役、さらに今後力を増してくると思われる陸軍への対抗馬としてでした。

 この巻では、江華島事件、竹橋事件(明治11年に起きた近衛部隊の暴動)、日清戦争、義和団事件まで、大日本帝国の隆盛とともに起こった戦争での海兵隊の活躍及び軍組織としての発展を描いています。すでにこの段階から陸軍とは違い、兵員の糧食や火力戦にかなり気を使うようになっており太平洋戦争あたりでは相当の差が付いているのでしょうね。さらに海兵隊は予算上の問題から独自の士官学校を持てず、海軍と同じ海軍兵学校で士官教育を行っているので後世に、陸軍と海軍で起こったような対立は少なくとも海軍との間には起こらなくなると思われます。

 次巻以降では日露戦争、第一次世界大戦、シベリア出兵などが描かれると思われますが今から楽しみです。

 

2巻 「旅順大砲撃戦」 (98.1.22追加)

 題名を見る限り、日露戦争の旅順攻防戦をメインに描いているように見えますが、どちらかというと日露戦争の前哨として、満州に潜入しての情報収集、イタリアから購入した装甲巡洋艦「春日」「日進」を日本に回航するとき、それを妨害しようとするロシアの諜報機関からの護衛などが主です。

 しかし、この作者の歴史改変術は、まさに妙技ですね。都合のいいところだけ適当に変え、その変えた歴史に整合性なんて欠片もないような架空戦記が多い中、本格的な歴史小説を読んでいるような感じにさせてくれるのは、これが初めてです。確かに一部、歴史改変しているところもあるのですが、極めて自然に行われていて不自然さは全く感じられません。

 1巻の最後で、世界観に溶け合わないキャラが出てきて当惑しましたが、2巻の前半で見事にその設定が生かされているのには驚愕しました。伏線の張り方や構成もうまいです。

 これまで、俺内部で一番気に入っている3人の架空戦記作家は、佐藤 大輔、青木 基行、ラリー・ボンドでしたが、ラリー・ボンドを追い出して高貫 布士がランクインするほどこのシリーズは気に入りましたね(*^^*)。

 次の巻では日露戦争後半戦で、旅順陥落後の戦闘が描かれるようです。順当に考えれば旅順で活躍した海兵隊重砲部隊の活躍がメインということになりそうですが、このシリーズのことですから良い意味で期待を裏切ってくれるかもしれません。

 

 架空戦記&SFに戻る

トップへ戻る