極大射程 (1999.8.21追加) 

 著 スティーブン・ハンター 訳 佐藤和彦 新潮文庫

 平成11年1月1日初版1刷発行 定価 本体667円+税(上巻・下巻とも)

 ISBN4-10-228605-5(上巻)

 ISBN4-10-228606-3(下巻)


 かつて、ベトナム戦争で伝説のスナイパーとして活躍し、ベトコン1個大隊をたった一人で撃退したことすらあるが、戦傷で傷つき、他の神経を病んだベトナム帰還兵と同じく、復員してから社会生活に適応できずに結婚生活も破綻し、現在はライフルと一匹の犬だけを友に隠遁生活を送る元海兵隊員ボブ・リー・スワガー。

 かつて、人質救出作戦にて誤って犯人ではなく、人質の脊髄を撃ち抜いて半身不随にさせてしまったトラウマを持ち、その罪を償うために生きているFBI捜査官ニック・メンフィス。 

 謎の組織の陰謀に巻き込まれ、「大統領暗殺未遂犯」として追われることになってしまったボブ。真犯人は別にいると考えて、独自の行動を起こすが反対にFBI捜査官をクビにされてしまうニック。

 二人は各々の名誉と愛する人を守るために、陰謀を企んだ組織との壮絶な戦いに乗り出した。原野で彼らを待ち受けるのは特殊部隊の兵士120名と、正体不明の超凄腕スナイパー!!

 

 いやあ、燃えます。この作品。

 単なる銃撃戦に留まらず、敵側の精神科医ドブラーと、主人公のギリギリの腹の読み合いとか、全てにおいて格好良すぎます。前半は少したるいかもしれませんが(しかし、ここできちんと伏線は張っているので不必要ではない)、上巻の半ばでボブが罠に引っかかってからは、もう目を離す暇もないほどのアクションぶり。

 最後のクライマックスは意外にも銃撃戦ではないけど、思いっきり爽快な展開でした。

 ただちょっと気になったのは、この作品スナイパーを主人公としていることもあるでしょうが、銃にたいする愛着がもの凄く強いです。

 作中で登場するニュースは、「こういう事件が起こった以上、銃規制を行うべきだ」ってな感じのニュースばかりで、

「おまえのやったことのおかげで、ライフルを愛する男は、一人残らず家族からさえ疑いの目を向けられることになった」

っていう正義感溢れる(?)主人公ボブの台詞もあります。きっとアメリカで銃が好きな人がこれを読んだら、最近強まる銃規制に危惧を抱いて感情移入もバッチリなんでしょうね。

 反対に言うと、この作品はアメリカのように銃が人々の間に浸透していて、かつそのことに危惧感を抱く人々も存在する世界でしか成立出来ないのかもしれません。あんすさんもブックレビューで指摘されてますが、「銃が全ての登場人物達の生き様を象徴している」作品だけあって、日本みたいに銃と縁遠い世界では現実感が無さそうですし。

 しかし、こういう銃擁護の論調を読んでいると、ときたま見受けられる

「フライトシミュレータゲームのファンがハイジャックをしたからと言って、世の中のフライトシミュレータゲームのファンが全てが危ない人間と思わないで欲しい」

「同じオタクでも、身なりに全く気を使わず、コミケで徹夜をして人に迷惑をかけているばかりのダメダメな奴らと一緒にしないでくれ!」

といった論調と似ているのは気のせいでしょうか(笑)。いや、もちろん、そういう凡百の発言とは比べものにならないくらいの愛が有りますから、不快感は全くないのですけど。

 

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