オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ アーサーとアングロサクソン戦争  (2000.10.17 追加)

 デヴィッド・ニコルPhD/著 アンガス・マックブライド/彩色画 佐藤俊之/訳 新紀元社

 初版発行 2000年10月12日  定価 本体1,000円+税

 ISBN4-88317-821-8


 歴史上の軍事組織を、その兵士の軍装や使用兵器、当時の戦争の歴史的背景などを中心に解説している「オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ」の一つです。

 この本では、5世紀初めにローマ帝国正規軍がイギリスから撤退してから、ウィリアム征服王率いるノルマン人によって征服される11世紀までを取り上げています。

 この時代って、まさしく「暗黒時代」ですね。ローマ軍が引き上げてから、完全にイギリスのローマ風文明は崩壊し、文字による記録は激減し、「王国」とは名ばかりの小規模な野蛮な集団がイギリス各地に割拠しては消えていく時代。

 そして、しょっちゅう来襲する異民族。しかし、先住民族がそれなりに抵抗するので、どの異民族もブリテン島を制圧することは出来ず、やがて土着して「ブリトン人」の一民族となってしまい、やがて、先住民族との抗争を続けつつ、後から来襲する他の異民族の侵略を受けるというパターンを繰り返します。

 実際「ヘイスティングスの戦い」で、ノルマン人がイギリスを制圧するまで、このイギリスという国は「歴史」というものが、一度、完全に途切れてしまったのではないかと。ローマ帝国が崩壊した後、ヨーロッパは数百年間、暗黒時代に陥ったと言われてますが、その実例をまざまざと見せつけられました。

 この本で取り上げられている時代は約700年とかなり長いのですが、本当に、この時代については何も判っていないのが、読んでいるとよく判ります。

 あの伝説の「アーサー王」ですら、6世紀頃のロマノ・ブリティッシュ(ローマ化して、ローマ帝国後期の文化を頑なに守り続けたケルト人の集団)の軍事的指導者だったらしいことぐらいしか判りません。という訳で、この本で紹介されているアーサー王の軍隊の軍装は、末期のローマ帝国の軍隊を貧乏っぽくアレンジしたような格好で、一般的に「アーサー王物語」について想像されている、中世的な騎士のイメージとは全く違います(^^;。

 そういえば、「バトルメック」やアシモフの「ファウンデーション・シリーズ」等、「衰退して科学技術などを失い、野蛮になりつつある世界」というのが、アメリカのSFやファンタジーに良く登場しますけど、そういう世界とこの時代って雰囲気が同じです。

 イギリス及びその文化を受け継ぐ移民によって建国されたアメリカは、こういう栄えた文明がとことんまで後退した歴史を持っているので、「世界が滅びるのでは無く、文明が機能しなくなって世界が野蛮になっていく」という話を書くんでしょうね。

 

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