華族誕生 名誉と体面の政治 (2000.2.18追加)
著者 浅見雅男 中公文庫
初版発行 1999年11月3日 定価 本体762円+税
ISBN4-12-203542-2
明治維新から、太平洋戦争の敗戦まで日本に存在した旧大名家や公家で構成された貴族階級『華族』。
この本では、その華族制度の構成や歴史的経緯等について書かれた本です。
一番スペースをとって書かれているのは、明治17年に行われた華族に対する爵位授与についてですね。
爵位というと、お馴染みの「公爵」「侯爵」「伯爵」「子爵」「男爵」というアレです。
この爵位授与にあたっては、「授爵内規」という規則によって、石高や家柄などを機械的に当てはめて、各華族に割り振られたのですが、この「授爵内規」は完全な内規で、当の華族達にも公開されなかったため、大部分の華族達は、自分が貰った爵位について不満を持ち、かなりの華族家に、
「我が家は本来ならば、一つ上の爵位を受けるべき家柄なのであるが、やむを得ない理由があって今の爵位なのだ」
みたいな言い伝えが残ってしまうことに(笑)
あと、この爵位決定や、それについての華族からの文句を解説すべく、江戸時代の公家、大名の格式について詳細にかつ体系的に説明されています。
これだけでも、この本を読む価値があるでしょう。
その他、色んな面白いエピソードとかも載っていて、面白かったです。
あと、最後の章で「結局、華族階級はどれだけ役に立ったか?」ということが書かれていて、軍人や政治家にしめる華族の割合などを調べた結果、結論は、
「華族階級は全然役に立たなかった」
少なくとも、彼らは江戸時代までは権力を握っていた階級な筈なんですけどね。ドイツでは第2次世界大戦の頃まで、「フォン」や「ド」が姓につく貴族階級が軍人や高級官僚のかなりの部分を占めていた事などとは正反対です。
しかし、これからも判るとおり、明治維新って支配者階級を入れ替えた完全な「革命」だったんですね。
他の国の革命では、「革命」と名が付いていても、実は支配者階級の権力争いに過ぎず、単に支配者階級で権力が移動したに過ぎない場合が多数ありますが、旧支配者を「華族」に祭り上げて優遇しているように見える日本で、ここまで見事な権力移動が起こってるのは面白いです。