世界の危険・紛争地帯体験ガイド  (1999.5.25追加)

 著者 ロバート・ヤング・ペルトン 監訳 大地 舜  講談社 SOPHIA BOOKS

 初版発行 1999年5月15日  定価 本体2,500円+税

 ISBN4-06-269060-8


 この本は、題名の通り、他の旅行ガイドでは取り上げられない、危険地帯や紛争地帯を実際に歩いて、見て、聞いたことを実際に書いて、ガイドしている本です。

 もっとも、堅苦しいところはまったく無くて、著者達の独断と偏見(笑)が入った娯楽本として、楽しく読めます。危険国ごとのレビューとかは、ブラックユーモアだらけで大笑いですし(^^)

 構成は、2部構成になっています。

・第1部 危ない旅行術

 旅先でのたれ死にしないための旅行術を解説しています。

 その内容は、「旅先で身ぐるみはがされない方法」「交通事故から身を守る方法」「地雷から身を守る方法」「警官や兵士への賄賂の出し方」など、様々です。

 色々なランキングも掲載されているのですが、地雷が大量にある国のうち、ウクライナに、まだ第2次世界大戦時の地雷百万個が残っているのは、驚きでした。まあ、確かにハリコフ、キエフ、サポロジェ、セバストポリ要塞などの沢山の激戦地がありましたからね。

・第2部 世界危険情報

 世界の中で、特に危険な34国家についてのレビューとともに、危険度のランキングを付けています。

 ちなみに一番、危険な国家はアルジェリア、ブルンジ、コロンビア、シエラレオネだそうです。あと北朝鮮が「(禁断の地)……この世にあることを考えなくていい」という評価になってますね(笑)

 それぞれの危険国家について、歴史や現在の勢力状況などが詳細に解説されているので、この本は普段、マスコミで全く取り上げられないような国の現代史としても、優れています。小国でクーデターなどの大事件が起こっても、マスコミが取り上げないことは、よくありますから。

 最近の例を上げるなら、日本海で北朝鮮の情報収集船らしき不審船に、海上自衛隊が威嚇射撃などを行った騒ぎは、NATO軍によるユーゴスラビア空爆に隠れて、欧米のマスコミでは全然取り上げられてませんでした。大ニュースが無い時期だったら、絶対に大騒ぎになったと思うのですが。

 あと、ここで取り上げられている国家で、個人的に一番笑ったのは西アフリカにあるリベリア共和国だったりします。

 大統領(多分、今も)チャールズ・テイラーが、サミュエル・ドウ政権に対して反乱を起こしたとき、極めて優秀な軍人達が彼の麾下にいました。そのあまりの優秀さに、全員が志願兵から将軍に一足飛びに昇格したほどで(笑)

 負け知らずとは、間違っても言えない彼らの称号は「母無し父無し将軍」「押し込み強盗将軍」「早くファックして将軍」など、もの凄く強そうです。これ、原語の単語も欲しかったですね。どうせ英語を話している国なんですし。

 その中でも、ひときわ素晴らしいのが「お尻丸出し将軍」です。彼は擦り切れたスニーカーだけを履き、あとは生まれたままの姿で戦いに望みます。何でも挑戦と無敵の象徴だそうです。彼は首都モンロビアで知らない者は無いほどに、名前が売れ、立派な「将軍」がバイクで首都中を回ると、少年達は大喝采したそうです。

 もちろん、「将軍」の直属の部下達も「挑戦と無敵」を具現すべく、上官と同じ格好で戦っていることは言うまでもありません。

 それと、リベリアで、かつら、バットマンの衣装、舞踏会用衣装を身につけた人を見つけたら、一目散に逃げなくてはいけません。兵士達は村を破壊したり、住民を虐殺・暴行するときに、道化師の格好や女装をするからです。こうした格好は、銃弾から身を守るためのおまじないです。

 ちなみに、何処の陣営でも兵士の大部分は8歳以上の子供、ティーンエイジャーになれば古参兵、20代以上なのは指揮官クラスだけです。銃は兵士の半数にしか行き渡っていないので、仲間であることを正当化するために、水鉄砲、箒、園芸用熊手、麺棒、空気清浄フィルター、コーラの瓶、電気無しのパワードリルなどを武器がわりにしてます。

 彼らの服装は、例の「お尻丸出し隊」を除いては、全員が女物のドレス、かつら、花柄の帽子等をまとい、その他、様々な「弾よけの魔除け」を身につけています。普通の迷彩服などは、まずありません。

 いや〜、そこに住んでいる人たちからすれば、えらく悲惨な出来事なんですけど、外側から見てると、どうしようも無いジョークにしか、見えません(笑)。他の国が、政府側も反政府側も、真面目に頑張っているとしか思えないのが多いので、特に(^^;。

 

 この本は、総ページ749ページの極めてごつい本ですが、現代の世界の秘境について知りたい人間にとっては、充分に楽しめる物と思います。はじめの言葉にもあるとおり、最低でも防弾チョッキの替わりには、なるでしょうし(笑)

 

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