だからスキャンダルは面白い

著者 ブルース・ポリング 訳 仙名 紀  文春文庫

初版発行 1997年12月10日  定価 本体619円+税

ISBN4-16-730976-9


 19世紀から現代にかけての、世界のスキャンダルの数々を収めた本です。「ウォーターゲート」「イランゲート」のメジャーなものの他、「ダイアナ妃事件」などかなり新しいものも含まれていますね。全部で61個収録されていて、大爆笑できるのも、かなりあります。

 日本のスキャンダルでは、「宇野首相の芸者問題」と「リクルート事件」の2件が紹介されています。ただ、

「日本の金融スキャンダルは外部のものにとって理解不能に近い」

のようなコメントを付けて、事実関係のみを紹介するにとどまっています。まあ確かに日本人である私も、未だによくわからないし(笑)。

 個人的に一番笑えたのは、コロンビアの麻薬王で1993年に射殺されたパブロ・エスコバルが手厚い保護と寛大な待遇を約束に投降し、凄まじいまでの豪華な刑務所ライフを楽しみましたが、彼の弁護士のコメントがふるってます。

「コロンビアで最も裕福な市民であるエスコバル氏は、昨年になって専用のウォーターベッドが据え付けられるまで、フォームラバーのマットレスで我慢しなければならなかった、第二に独房用電話を受け取るまで、彼は刑務所内の自分専用の鳥小屋で飼う50羽の伝書鳩を使うという原始的な方法しかとれなかった」

 普通の受刑者は「自分専用の鳥小屋」なんて持てませんって(^^;。

 さらに、あまりの厚遇に耐えかねた軍が、この刑務所を襲撃したとき、エスコバル自身の選んだ看守達が応戦して負傷者も出たのですが、これに対して弁護士は、

「看守を、大統領の護衛のようなものと考えてください。彼らは大統領の生命に責任を負っています。彼らにすれば、外部の攻撃をいっさい許すわけにいかないんです。敵は兵隊の姿を装って現れる可能性もあるんですから」

 素晴らしい御意見ですね(笑)。他にも軍の偵察機が、上空を飛んだら対空砲で追い払われたなど愉快な話ばかりです。

 あとは、オーストラリアの競馬で、競争馬を毛染め剤で染めて、別の馬と入れ替えて大儲けをしようとした一味がいました。彼等は真夜中にその作業をして、前祝い酒を飲んで寝たのですが、朝、太陽の下でその馬を見たところ、間違えて栗毛ではなく、赤毛に染めてしまったことに気が付きます。あわてて毛染め剤を落としたのですが、すり替える筈の馬とは似ても似つかない姿に。

「審査員に手を回している」

という一味の一人の言葉を信じて、レースに出走させたところ、当然のようにばれてしまった「ファインコットン事件」なんかも大笑いでしたね。

 

 このように、かなり面白いスキャンダルばかりで楽しく読めるのですが、訳者のあとがきを読んだところ、

「この本はもともと127項目だったけど、日本ではあまりなじみのない人や事件などを編集部との相談の上で省き、61項目に絞りました」

・・・絞るなあ!!

 この本に限ったことではなく、文春文庫の海外ノンフィクション物は、「日本人になじみがない」とかいう、いつの時代だかわからないような理由で原書から平気で省くんでやってられません。昔ならいざ知らず、今ではこんな本を買う人たちの大部分は、日本ではなじみのないことでも積極的に知ろうとしている人たちだと思うんですけどねぇ。

 まかり間違って、その本が面白かった場合、原書を読みこなすだけの英語力が自分にないことに歯噛みしてしまいます(-_-;;

 

ノンフィクションな本のコーナーに戻る

トップに戻る