練は2つのトラウマを抱えています。一つは、バレーの天才であった姉の事故死に責任を感じていること。もう一つは、中学校進学の際チームメイトに裏切られた事です。小学校の頃"狂犬"と呼ばれていた練は、バレーで強くなる事、試合に勝つことだけが目的で、チームメイトの気持ちを慮ることができず、その性格と才能の差をチームメイトに疎まれてしまいます。白雲山中学という名門から、その時のレギュラー全員にスカウトが来て全員が面接を受けると約束するのですが、面接会場に現れたのは練だけ。チームメイトは、もう練と一緒にバレーをやりたくないから約束を裏切ったのだと後から聞かされます。姉への後ろめたさと、本気を出したらまた仲間を失うのではないかという恐怖から、練はずっと実力を隠してバレーを続けています。
白雲山中学から高等部への進学という道から離別することになった練が、黒曜谷高校という新天地でバレーを始める2巻から本格的に物語が動き始める感じです。
暗くて重いトラウマを抱えながらそれでもバレーをやめられないという執着や、本性が出そうになるのを必死で抑えるという場面は良いのですが、やはり本気を出したくても出せないという部分に少しもどかしさを感じてしまいます。G戦場では、良い悪い関係なく、キャラクター達が自分の信念に本気で全力を尽くしていてそこが良かった。設定上しかたないのですが本作はそういう部分が少し弱いような気がします。練がトラウマを乗り越え十分に実力を発揮するところを早く見てみたい。それは連載が終わる時になるかもしれませんが。
練以外のキャラクタでは、練の幼なじみのミチルとシゲルという2人の兄弟、練を尊敬していて高校から黒曜谷でバレーを始める小田切等が物語の中心になります。練とシゲルはお互いに好意を寄せていて、弟のミチルも練を想っているが兄に遠慮している。そして、ミチルと小田切が段々仲良くなっていくというのがこの4人の大体の関係。練とシゲルの2人は、ちょっと何考えてるか分からないというか感情移入しにくいところがありますね。G戦場で第一印象がそんな感じだった久美子というキャラは、最終的にとても魅力的なキャラになっていたのでまだどうなるか分かりませんが。
ミチルと小田切の2人は対照的に感情移入しやすいような気がします。作者がそういう風に書いているのかもしれません。この2人はキャラも立っていて魅力的で、特に3巻のラストにあるシーンは良いです。ミチルの独白にある
―小田切 全部わかってるくせにお前は正しい言葉で誰も追い詰めないのなというセリフのニュアンスというか雰囲気というかが個人的に好きです。
最新の3巻では、練が仲間に裏切られた後も、ただ一人”友達”と呼んでいる、唯隆子というキャラが登場してきて、だけど実はその本性は・・・といった感じで今後の展開が面白くなりそうで楽しみ。
そういえば、G戦場のルミコが練のチームメイトとして出て来ますね。こういうクロスオーバーも好きです。

