第三夜・黄金の国ジパングに 魅せられた毛唐芸人の巻

1992/12/7 vol.97

 年の瀬が迫ってきた。とことん祭り好きな我が大和民族のことだから、宗教や伝統など一切無関係。おもいっきり基督降誕前夜祭には賛美歌を歌い、常緑樹をきれいに装飾し、贈答品をやりとりするという儀式も恒例と化してしまった勘がある。何を思う、日本男児&大和なでしこ!どうした、雅を尊ぶ精神!花鳥風月を楽しみ、言の葉を信仰するワビ&サビ重視の清く繊細な感性はいずこへ!
 そんな大和民族を尻目に、第二の故郷としてジパングを愛してやまない南蛮渡来人の多いこと。禅の精神や独特のオリエンタルなムードに魅了され、ズッパマリ状態の芸人が後をたたない。スポーツ毛唐人なら古くはデストロイヤーから新しきはユーリ海老原など数知れないが、芸人の場合はちと違う。自らの悟りに合致した魂をジパングに見つけたのだ。今夜はそんなちょっと危険な匂いのする芸人達に登場してもらうことにしよう。
 その昔はジパングで火がつき、後で本国で見直されたというケースがよくあった。今ではロビン・ザンダーがF−1のテーマ曲を熱唱しちゃってるチープ・トリックや、狙ったのかそのまんまの名前をつけちゃったJAPAN(デビシルなんか日本の女の子を強制連行しちゃってる)などはそのいい例だ。また、たどたどしい日本語で歌っていた今は亡きクイーンやポリスもそんな一派だったのかもしれん。(「ドゥドゥドゥ・・・・は俺の言葉さ」なんてそんな言葉聞いたことねえぞ!)そういえば、デビッド・ボウイが京都に別荘持ってて、頻繁に隠密来日してるって噂も聞いたことがあるし、モーガン・フィッシャーなんかズッパマリの極致でもう定住しちゃってるらしいぞ。ここまで行くと、完全に音楽界のケント・デリカット状態だ!
 最近では、客が入らないのに何度も来日してるニック・ロウやコステロ、死ぬまでスケジュールに来日公演を入れてるベンチャーズもズッパマリ・リーチ寸前だ。「ビンゴ!」の声も近い! 逆に妙に納得してしまうのはドゥルッティ・コラム。その静かな音楽性から琴線に触れるものがあったらしく、『ささげもの』なんていうEPを作ってしまった。でも「ノリコ」とかいう大和なでしこを手なずけるには十分すぎるインパクトだとは思う。
 実はネオアコの世界にはこういう純潔な大和なでしこをたぶらかすようなケースが非常に多い。その第一人者はやっぱり、ヒット・パレード。2ndでも『ヒトミ』という女性がタイトルの曲があったが、まだまだ序の口。何と日本のポリスターからリリースさせてもらった3rdアルバムの中の『ソー・セッド・カヨ』という曲は、尾張の大和なでしこ「カヨさん」からもらった手紙を元に作っているという熱の入れようだ。曲中で日本語の語りが入るが、声の主はゲスト・ベーシストの奥さんの「ヨシコさん」。知り合いの奥さんまでが日本女性ときてるんだから、きっと周りも含めてみんな異常な大和なでしこフェチなのであろう。なかなか恐ろしい光景ではある。
 この他には、英国のインディーレーベルCREATIONのPACIFIC。彼らの名曲『BARNOON HILL』という曲は、のっけから「家族と友人たちへ・・・・」という日本語で始まる。語っているのは「ナカノトモコさん」(正体不明)。 あと、SARAHレーベルのコンピレーションのジャケットの写真は「アキコさん」なる大和なでしこが
手掛けているが、みんなネオアコ芸人の毒牙にかかってしまったんだろうか?恐るべし!毛唐ネオアコ芸人のパワー! も、も、もしかしたら日本女性はみんな芸者ガールだと思っているのか?!
ネオアコが今世界一売れる国、それが日本であることは言うまでもない。だからこそGANGWAYの再発&新譜リリースができたり、BLUEBELLSやMONOCHROME SETを復活させることができたりするんだ。そういう意味では、まだまだ毛唐人には黄金の国なんである。まぁ本当にそのバンドが好きで、なおかつお金があり確実に売れるという状況がない限り出来ない芸当ではあるが・・・。
まあとにかく、大和なでしことイチャついても、ジャパン・マネーをフンだくっても、やり方はどうあれ、日本固有のものを積極的に吸収しようとする毛唐芸人の心意気の方が、今の日本男児よりよっぽど大和魂感じちゃうよね。だから毛唐芸人がモテモテなのもよくわかるってもんだ。さあ今こそ立ち上がれ!日本男児&大和なでしこ!ちゃんと正月には神社に参拝しろよ!モチ食えよ!歯磨けよ!宿題やれよ!そんでもって相撲と映画と音楽で全世界を征服するんだ!私は全宇宙でお茶をにごしたる!あ、何か変だ。
 あんまり関係ないことを急に思い出した。パターンとしてはまるで逆なんだけども、ベルギーのレーベル、クラムド・ディスクから7〜8年前に突如現れた謎の大和なでしこ『SONOKO』は今いったいどこで何をしてるんだ?どうしても海外で活躍する大和なでしこと言えばフランク・チキンズや少年ナイフが注目されがちだけど、私は彼女が一押しなんだ。そのあどけないヴォーカルで『ロミオとジュリエット』歌われちゃ、シャルロットなんて相手にならんほどロリ・ロリしちゃうのよ。あ〜それそれ。

※2000年に初めてイギリスに行って、どうして日本人女性がモテるのか少しだけ謎が解けました。それは秘密。