いろいろ新刊が出ているけれど、昔からよいと言われている作品からよんでみようかな、という方に贈ります。
ポー
『モルグ街の殺人』『黒猫』『盗まれた手紙』『ナンタケット島出身のアーサー・ピムの物語』
エドガー・アラン・ポーは、デュパンという名探偵を創造し、探偵小説を広めることに成功しました。中でも、『盗まれた手紙』は有名です。他に、『モルグ街の殺人』『黄金虫』『黒猫』などの作品があります。本格のようなものだけでなく、ホラー色の濃いものや、冒険ものもあるのです。『盗まれた手紙』を読むと、ばかばかしくなってなんだこれは!と思う人もいるでしょう。でも、まずそこからスタートするから、ミステリの発展が楽しめるのです。で、たとえば『ナンタケット島出身のアーサー・ピムの物語』を読んでしまうと、次にはラヴクラフトに行ってしまうわけ。これは、地球に人類以外の知性を持った存在があるという、もうほとんどホラーというかSFというか、そんな世界に入ってしまうのです。ラヴクラフトという人は、その世界観で(クトゥルーという)いくつもの小説を書き、没後も引き続いてその世界を小説に使っている人もいるのです…。といっているときりがないので、それはまた別の話。
ディクスン・カー(カーター・ディクスン)
『皇帝のかぎ煙草入れ』『三つの棺』『火刑法廷』『火よ、燃えろ』
この人は密室殺人を好んで作品に多く取り入れているので、その手のものが好きな人にはお勧め。でも、小説としておもしろいかというと、そうでもない。トリックがあって、それをゴシック調の飾りで包んでいるようなものが多い。でも、そんな中で『皇帝のかぎ煙草入れ』は秀抜。一発トリックなんですが、これはそのために作品を作ったのがよくわかるという労作です。なんだこれは、とい言う人もいるけれど、この作品を仕上げた努力を汲み取らないといけないです。あとは、『三つの棺』。この中には密室のトリックを分類し、説明してくれる親切な部分があるので有名です。他には『火よ、燃えろ』とか『火刑法廷』を読むといいかも。
アガサ・クリスティ
『そして誰もいなくなった』『アクロイド殺害事件』『オリエント急行殺人事件』『葬儀を終えて』
映画化された作品もあり、ストーリーを知っているものもあるでしょう。『そして誰もいなくなった』は、孤島に招待された十人の招待客が順々に殺されていく、という話。普通なら最後に残った人が犯人でしょう。でもね、そう簡単にはいかない。よ〜く考えて読んでください。あとは、『アクロイド殺害事件』。でも、これはいくつかミステリを読んでからの方がよいですよ。『オリエント急行殺人事件』もよいですね。列車の中でおきる殺人事件。目撃される謎の人物。乗り合わせた乗客の中にいた名探偵ポアロが灰色の脳細胞をフルに働かせます。『ABC殺人事件』とか、『葬儀を終えて』とか、『鏡は横にひび割れて』とか、よい作品が多いです。水準以上の作品を書きつづけたところにクリスティの偉大さがあります。ポアロだけでなく、ミス・マープルというおばあちゃんが探偵役をつとめるシリーズもありますね。まちがっても『カーテン』から読まないでください。それから、『検察側の証人』や『招かれざる客』もよいです。
エラリー・クイーン
『Xの悲劇』『Yの悲劇』『ローマ帽子の謎』『ギリシャ棺の謎』『オランダ靴の謎』『災厄の町』
『Xの悲劇』から『ドルリー・レーン最後の事件』まで読んでほしいです。四作を続けて読む衝撃はたまらないのですよ。どうして続けて読んだ方がいいかは、読めばわかります。それから『ローマ帽子の謎』に始まる国名シリーズ。全部読んで…と言いたいけれど、だめなら『ギリシャ棺の謎』と、『オランダ靴の謎』くらいは読んでください。それが気に入ると、、『災厄の町』などのライツヴィルという町を舞台にしたシリーズなどに進めます。このままクイーンの世界に浸るのもいいんですよね。たくさん翻訳されているので、幸せをかみしめながら読むことができます。
ヴァン・ダイン
『僧正殺人事件』『グリーン家殺人事件』『カナリア殺人事件』『甲虫殺人事件』
『僧正殺人事件』はたまりません。こういうのをミステリという。お手本のような作品です。この人は6作くらいは書けるといいながら12作もミステリを書きました。でもやっぱり後半の6作より前半の方が質がずっと高い。上の四つを読めばいいかな、と思います。それもだめならせめて前から二つ。『グリーン家殺人事件』は、犯人が有名で、他のミステリでネタバレしていることもあるので、これは必読(たとえば高木彬光『能面殺人事件』)。『カナリア殺人事件』は、つまらんという人もいますが、この時代なのだからそういうミステリの進歩を楽しまないといけないわけ。『甲虫殺人事件』は、これを読みながらわたしは所沢の駅の階段で転げ落ちました。ランドセルがあってそれが背中を守ってクッションになったのですが。それでもまだ読んでいたという、引き込まれてしまうよい作品です。あまりよい評判聞きませんけど。で、もしかすると登場するファイロ・ヴァンスという探偵に反感を持つ人もいるかもしれないけれど、それはそれ。変わった人なのです。あと、『ドラゴン殺人事件』とかもあるけれど、読みたければ読んでみてもいいかも…。
この他にも古い作品の中によいものはたくさんありますが、それはまた別の話。
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