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風の歌、星の口笛
著者: 村崎友

出版社:角川書店
ISBN:4048735403
サイズ:単行本 / 350p
発行年月: 2004年 05月
本体価格:1,500円 (税込:1,575円)
解説:なし(選考委員による評あり)
装丁:装画/影山徹 装丁/角川書店装丁室
採点:3.5点
[書き出し]
にょきにょきと壁から生えているダクトは、数日前からガーともゴーとも言わなくなっている。騒音に慣れた身には、この静けさが逆に落ち着かない。
[帯]
第24回横溝正史ミステリ大賞受賞作
選考会騒然!!異彩を放つ超新星誕生!
――絶対にまた会える。僕らはそういう運命なんだ――
[感想]
「マム」によってすべてが管理された世界。そこで探偵事務所を開くトッドは隣家の少女のロボット・ペットの故障から、「マム」に何らかの異常が起きていると気づく。
ストーリーは三つのパートが並行して進行する。
「マム」の異常に気づいた探偵が街の中心部に侵入するパート、地球から25光年離れた星「プシュケ」に降り立った宇宙飛行士が荒れ果てた大地を探索するパート、そして交通事故後による記憶障害に悩まされながら恋人の行方を捜す青年のパートである。
一見関連のない三つの物語がどのように結びついていくのか、それが最も魅力的な謎となっているのだが、各パートの読みどころを挙げると次のようになる。
まず、探偵のパートでは「マム」の謎が提示される。主人公の目的は別のところにあるのだが、侵入によってこの世界の秘密が分るのではないかと期待を感じさせる部分である。
また、宇宙飛行士のパートでは天井に張り付いたままの死体が登場する。入り口もない部屋の中で被害者はどのように死を迎えたのか、その他次々と発見される奇妙な状況が調査によって解明されていく。荒唐無稽ではあるが、この物語の中ではさほど違和感はない。SF的な設定と全体を貫く叙情性という微妙なバランスの中で重要な位置を占めるトリックである。
青年のパートはもっとも感情移入しやすい部分。交通事故による入院の後、青年は自分だけが恋人の記憶を持っていることに気づく。誰もがそんな女性はいなかったと答える中、思い出を頼りに恋人の行方を探すところは『幻の女』にも似て緊張感がある。だが、終盤失速してしまうように感じるのは、種明かしであっさりと魔法が解けてしまうため。緊張と感動との入れ替えは全体のトーンに関わるだけに、より細やかな描写がほしいところである。
読み終えてみるとミステリというよりはファンタジーに近い印象だが、無機質な世界の中に優しい響きが感じられ、好感の持てる作品である。
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