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のミステリが「買い」


2002/06/24 (月)更新

このページは、Mystery Best ???(みすべす)がおすすめするミステリの紹介ページです。国内・海外を問わず、ミステリ史に残る名作から最新の作品まで、良質のミステリを紹介します。

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バリンジャー(ビル・S・バリンジャー) Bill.S.Ballinger

煙の中の肖像

煙の中の肖像原題:Portrait in Smoke
翻訳:仁賀克雄
解説:仁賀克雄
出版:小学館 2002/06/20 1950年の作品
装丁:久保和正
定価:1700円円
採点:4.5点

[書き出し]
 碌でもないやつにうかつに口を滑らせればおれの人生は破滅だ。
 それにおれの話なんぞ、誰が信じてくれるだろうか?

煙の中の肖像 帯[帯から]
 女は、怖い。
 シカゴで未収金取り立て業を営む男が心を奪われた謎の美女。
 だが、華麗なバラには鋭い棘があった!
 どん底から男を踏み台にしてのし上がる女の恐るべき野望。
 技巧派ベテラン作家の待望の長編ミステリ、ついに登場!

[あらすじ]
 取り立て業者の権利を買い取ったダニエルは、古いファイルの中に一人の女性の写真を見つける。クラッシー・アルモニスキー、美人コンテストの優勝者。彼女の顔に青春の思い出を重ね合わせたダニエルは、仕事の合間をぬって捜索を始める。
[感想]
 時間差をプロットに取り入れた良質のサスペンス。物語は女性を探すダニエルの部分と、貧しい生活から抜け出そうと策略をめぐらすクラッシーの部分から構成される。

 ダニエルのパートでは、過去の新聞記事や関係者からの聞き取りで彼女の足取りを辿っていくのだが、住まいと名前を変えるたびに奇妙なほどクラッシーの生活が豊かになっていることが明らかになる。読者はこの謎を気にかけながらクラッシーのパートに進むことになるのだが、こちらの方では彼女がどのような手段で人を踏み台にし、生き延びようとしたかが詳細に描かれている。そのトリックの鮮やかさに驚かされると同時に、野心はあるが慎重で思慮深い彼女の人間性に触れることとなる。

 交互に現われる二つのパートの微妙な時間差は、物語に驚くほどの緊迫感を与えている。また、一人の女性の生き方をクラッシー本人と彼女にあこがれるダニエルという二つの視点から描き出したことで、それを読みとる読者の目には作品がよりいっそう奥深いものに感じられる。終盤には予想外の展開も用意されており、読後の満足感が味わえる作品である。

2002/06/20 (木)

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矢口敦子(やぐち あつこ)

家族の行方

家族の行方解説:鷹城宏
出版:創元推理文庫 2002/06/14
装丁:カバーイラスト 浅野隆広 カバーデザイン 東京創元社装幀室
定価:720円
採点:4.0点

[書き出し]
 手もとに、一枚の写真がある。
 もう何年も前の、いくらか色の褪せはじめた写真。
 写っているのは、一人の少年だ。

家族の行方 帯[帯から]
 家族とは何なのか?
 少年の行方を追う女性推理作家が直面した痛ましい真実
 『償い』『VS』の著者の出発点

[あらすじ]
 推理作家である「私」有村靖子を訪ね来た女性は、一枚の写真を取り出し、息子を探してほしいと頼んできた。息子の勇起に背中を押される形で捜索の真似事を始めた靖子だったが、事態は思わぬ方向へと進んでいくのだった。

[感想]
 家族とは何かを考えさせられる作品である。誰も気にかけない、誰とも関わらない、孤独な少年のひっそりとした失踪。主人公は少年の家庭の残像を何とかとらえようと、わずかな手がかりを手繰る。行き着いたのは衝撃的な事実。だが、それはまた靖子自身の生き方を振り返らせることにもなる。

 主人公を作家という比較的自由度の高い職業に設定し、その上で息子との関わりをはじめ、日常生活をていねいに描写している。そのため思った以上にストーリーには緊張感があり、引き締まった作品となっている。また、捜索過程も自然で無理がなく、スムーズに作品世界に浸ることができる。

 自分がいて、相手がいて、そこに信頼と互いの存在価値があって家族は結びついている。それは確かに一度壊れてしまえば後には何も残らないほどのもの。だからこそ、見えない絆を日々の小さな出来事から感じとること、その継続が家族を、家庭を温かく育んでいくのではないか。タイトルの『家族の行方』、重い気持ちでラストを読んで、もう一つの行き先があることに気付き、ほっとする。

『家族の行方』の詳細と購入画面へ


2002年6月

国内の「買い」

『怪奇探偵小説名作集5 橘外男集』 日下三蔵 編 ちくま文庫 1300円 注文画面へ
『家族の行方』 矢口敦子 創元推理文庫 720円 注文画面へ
『昭和ミステリ秘宝(15) 鮎川哲也』 日下三蔵 編 扶桑社文庫
『昭和ミステリ秘宝(16) 高木彬光』 日下三蔵 編 扶桑社文庫

海外の「買い」

『煙の中の肖像』 ビル・S・バリンジャー 小学館 1700円 注文画面へ
『死者を起こせ』 フレッド・ヴァルガス 創元推理文庫 760円 注文画面へ

その他

【国内文庫】

『世界怪談名作集(上・下)』 岡本綺堂 河出文庫 (上)540円(下)570円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『ホラーを書く!』  東雅夫 小学館文庫 657円 注文画面へ
『まほろ市の殺人(春)無節操な殺人』 倉知淳 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『まほろ市の殺人(夏)夏に散る花』 我孫子武丸 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『まほろ市の殺人(秋)闇雲A子と憂鬱刑事』 麻耶雄嵩 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『まほろ市の殺人(冬)蜃気楼に手を振る』 有栖川有栖 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『文章魔界道 鯨統一郎』 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『樹海伝説 騙しの森へ』 折原一 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『館という名の楽園で』 歌野晶午 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『殺意は幽霊館から』 柄刀一 祥伝社文庫 381円 注文画面へ
『紅迷宮』 結城信孝 編 祥伝社文庫 571円 注文画面へ
『新宿鮫6 氷舞』 大沢在昌 光文社文庫 724円 注文画面へ
『海の仮面』 愛川晶 光文社文庫 933円 注文画面へ
『サイレント・ナイト』 高野裕美子 光文社文庫 533円 注文画面へ
『探偵くるみ嬢の事件簿』 東直己 495円 注文画面へ
『ペルシャ猫の謎』 有栖川有栖 講談社文庫
『Jの神話』 乾くるみ 講談社文庫 733円 注文画面へ
『殺人!ザ・東京ドーム』 岡嶋二人 講談社文庫 571円 注文画面へ
『イベリアの雷鳴』 逢坂剛 講談社文庫 952円 注文画面へ
『OUT(上・下)』 桐野夏生 講談社文庫 (上)667円(下)619円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『闇の貴族』 新堂冬樹 講談社文庫 781円 注文画面へ
『八月のマルクス』 新野剛志 講談社文庫 648円 注文画面へ
『ウロボロスの偽書(上・下)』 竹本健治 講談社文庫 上下各695円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『名探偵の肖像』 二階堂黎人 講談社文庫 629円 注文画面へ
『複製症候群』 西澤保彦 講談社文庫 629円 注文画面へ
『鬼流殺生祭』 貫井徳郎 講談社文庫 695円 注文画面へ
『運命の塔(上・下)』 深谷忠記 講談社文庫 733円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『ボーダーライン』 真保裕一 集英社文庫 800円 注文画面へ
『天切り松闇語り(1)闇の花道』 浅田次郎 集英社文庫
『新耳袋(第一夜)現代百物語』 木原浩勝 角川文庫 590円 注文画面へ
『新耳袋(第二夜)現代百物語』 木原浩勝 角川文庫 571円 注文画面へ
『月の砂漠をさばさばと』 北村薫 新潮文庫 514円
『創元推理21 2002年夏号』 創元推理文庫
『ミレイの囚人/あなたも探偵士になれる』 土屋隆夫 創元推理文庫

【海外文庫】

『プラムアイランド(上・下)』 ネルソン・デミル 文春文庫 667円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『磔刑の木馬』 J・R・ジェインズ 文春文庫 781円 注文画面へ
『骨(上・下)』 J・バーク 講談社文庫 上下各629円 (上)注文画面へ (下)注文画面へ
『骨まで盗んで』 ドナルド・E・ウェストレイク ハヤカワミステリ文庫 980円 注文画面へ
『シャム猫ココの調査報告』 シャロン・A・フィスター ハヤカワミステリ文庫 880円
『猫は流れ星を見る』 リリアン・J・ブラウン ハヤカワミステリ文庫 620円
『どこよりも冷たいところ』 S・J・ローザン 創元推理文庫 960円 注文画面へ

【海外その他】

『黄色の間』 メアリ・ロバーツ・ラインハート ハヤカワ・ミステリ 1300円 注文画面へ
『犬嫌い』 エヴァン・ハンター ハヤカワ・ミステリ 1100円 注文画面へ


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