Mystery's Realmレポート みすべす版
以下は、2000年3月18日(土)に行われた、ワセダミステリクラブのミステリセミナーのレポートです。
1.開場まで
2.ミステリの愉しみ
3.昼休み
4.このミステリ研がすごい!?
5.古典ミステリへの招待
6.山田正紀公開インタビュー
7.おまけ こんな人に会った
1.開場まで
江戸川区文化センターは総武線新小岩駅よりバスで10分、徒歩3分。10時より開場ですが、わたしが到着した10時5分くらいでした。受付で参加費3000円を払い、住所・氏名をノートに記入。パンフレットと名札をいただいて入場しました。代表の柴山さん、そして前日には岩田さんよりメールを頂いていたのでご挨拶をと思ったのですが、奥の受付に案内されてもう一度名前の記入。「ゲストの名札をお付けになりますか」と言われたのですが、わたしはゲストでも何でもないので丁重にお断りしてそのままホールに入場しました。
ホールは「小ホール」と聞いていましたが、大きいところでした。300人くらい入れる映画館を想像してください。前の方の隅に座り、先日買った『「ぷろふいる」傑作選』を読みながら待っていました。ミステリ好きの人たちがたくさん来ているでしょうから、どなたか知り合いはいないかと思ったのですが、このときはまだ発見できませんでした(でも、後ろの方にはGAKUさんがいらしたそうです)。
2.ミステリの愉しみ
北村薫と若竹七海をゲストに迎え、杉江松恋の司会で進めるミステリ講演です。
- 本格ミステリファンの決めぜりふ 「これを読まなきゃ本格は語れないよ」の話
本格ファンは、ちょっと変わったものを見せて、自慢することが多い。
創元社の戸川さんが青井夏海『スタジアム虹の事件簿』を北村薫に見せて「これを読まなきゃ…」
(戸川さんにこの作品を教えたのは葉山響さんらしいと後から判明。)
この他の作品としては林明子の『きょうは何の日?』や幾瀬勝彬の『女子大生殺人事件』の名前が出ました。
- 最近の関心事
北村薫 レオノーラ・カリントンの作品。
若竹七海 佐々木邦の『ガラマサどん』のように古い国内作品で、明るいもの。デュ・モーリアの作品。
- 探求本があるのはミステリファンにとっては幸せ、の話
有栖川有栖の探求本は、『八墓村』の中に出てくる鍾乳洞をのミステリ。これが見つかって、題名を見たら『鍾乳洞殺人事件』。横溝正史訳、となっていた。鍾乳洞の中にいろいろな地名が出てくるところが『八墓村』と似ている。
- ちょっと変わった話
戦争末期、資生堂が軍から大量に香水の発注を受けた。工場の人は、ロシアの官吏の夫人に渡すのかと考え、そのような噂がまことしやかに囁かれていた。しかし実は…。(真の理由はご想像ください)。
- 新作の話
北村薫 『リセット』は、「星、星です」という書き出しから始まる。昭和7年の獅子座流星群のシーン。戦前・戦中のあたりも取り込んで、3度の獅子座流星群の関わる物語となる。
若竹七海 『ヴィラ・マグノリアの殺人』の続編が…今書いているはず。たぶん。
- その他質問
書評やレビューを書いていたことは小説を書く際に役立ったか。
→書評やレビューが直接役立ったわけではない。そうしたことを含めて、自分の人生経験すべてが小説につながってくる。ただ、ミステリの側にいられた、という点ではよかった。
ある作品の登場人物が他の作品に出ることについて
→若竹七海 泡坂妻夫の影響があった。
子どもをミステリ好きにするには
→北村薫 少年探偵団、クイーン、ホームズまたはルパンあたりはどうでしょう。
高学年になるともうふつうの本は読めるので、子ども向けにこだわらなくてよいのでは。
「これだけは読んではいけないよ」と言って目の前に本を置くと、子どもは読みたくなるかもしれない。
若竹七海 奇巌城、黄金虫、バスカヴィル家の犬の入った本を読んで怖かったので、子どもの頃に恐怖を与えるとよいかも。
3.昼休み
お腹がすいたので外に食事に出かけました。一人でぶらぶらとモス・バーガーへ。レジに並んでいると、どこかで聞いたような声。振り向いたら古書の女王様・石井さんと仰天の騎士さん、とんぺーさんでした。お目にかかれて光栄です。ご挨拶をして一緒に古本ネタで食事。そちらの方面はよく知らないので、勉強になります。会場に戻ったら先週MYSCONでお会いした方々と再会することができたのですが、それについては下の方で。
4.このミス研がすごい!?
紹介があったのは、以下の団体でした。
大学系
慶應義塾大学推理小説同好会
成城推理小説同好会
東京大学「新月お茶の会」
二松学舎大学推理小説研究会
ワセダミステリクラブ
全日本ミステリ連合
SRの会
CCR
創作集団・逆密室
マルタの鷹協会
謎宮会
ROM
5.古典ミステリへの招待
ゲストは森英俊、藤原義也、司会は千街晶之という強力な布陣の海外古典ミステリの紹介コーナー。
- 森英俊 ミステリ歴
小2 『黄色い部屋の秘密』を児童書で読み感動。
小5 祖母の家で、従兄弟が置いていった『ABCの恐怖』(『ABC殺人事件』)を読む。
中学 当時ポケミスが絶版。原書で『ユダの窓』を読み、読書感想文として提出。
高校 『ある詩人への挽歌』を原書で読む。前半が難解と聞いていたが、多少スペルが違う程度だった。
大学 ミステリサークルのある早稲田大学に入学。
2年のとき霞流一入学。共に古本市に行く。
某大学の凄腕の二人組がいて古本の争奪戦を幾度か繰り広げる。
その後対抗策として古本市のために強化合宿。作戦を立てる。
作戦1 集中力を高めるために寝ない。
作戦2 背表紙の色を覚える。(素早く抜き取るため)。
作戦3 エレベーターは分乗する。途中階で停止すると遅れるため。
作戦4 本棚は、端から斜めに見る。
しかし当日エレベーターに乗れず、森英俊はエスカレーターで、霞流一は階段で駆け上がり、会場に到着したときには…。
就職 仕事が忙しく、月2冊程度の読書
退職 しばらくパチスロに凝る
1993年ミステリ作家年鑑が完成。EQで連載を貰うなどし、出版の世界へ。
- 藤原義也 ミステリ歴
子どもの頃 クイーン、カー、クリスティなどを読む。
大学 ミステリよりも幻想・怪奇系の作品に。
90年 探偵クラブの編集
その後 『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』
鎌倉で鮎川哲也と会った際にROMを紹介され、森英俊に『ミステリ作家年鑑』を見せられる。
94年 『第二の銃声』でシリーズスタート。
- 世界探偵小説全集について
初めはあまり売れそうになかったが、いろいろ取り上げられて広まっていった。
企画へのリクエストが多い。
バークリー、カーが特に好評。また、『赤い右手』は予想以上の受け。くせのある作品がよいのかもしれない。
一方、地味なのはジョン・ロード。全部訳してほしいというリクエストもある。
(今出ているのが再版になったらあと140冊くらい訳せますよ、の森英俊の言葉で会場笑い)
- なぜクラシックブームか
・面白いといわれてきた作品を、実際に読んだらなるほどおもしろかった、ということから次々に。
・景気の悪さからミステリ世界という現実逃避に。
・新作が多く、ネタがかぶることから古いものを発掘に。
・1976年ごろもミステリ文庫が出てブーム。創元も「ホームズのライヴァルたち」や『陸橋殺人事件』などの古典シリーズでブーム。その周期が繰り返される。
- なぜ海外ミステリは読まれないか
・海外のものへの関心が薄い。
・国内のもので満ち足りている。
・ゲームなど小説以外の楽しみがある。
- おすすめの5作
森英俊
・バークリー 『第二の銃声』
・ヘアー 『自殺じゃない』
・フェラーズ 『猿来たりなば』
・イネス 『ある詩人への挽歌』(セイヤーズ『ナイン・テイラーズ』とどちらか)
・ディヴァイン 『ロイストン事件』
藤原義也
・バークリー 『試行錯誤』
・クイーン 『十日間の不思議』
・カー 『魔女の隠れ家』
・チェスタトン 『詩人と狂人たち』
・ハイランド 『国会議事堂の死体』
- 予定・抱負
森英俊 ネット上で翻訳を紹介したい。
藤原義也 6月より「ミステリーの本棚」のシリーズ刊行
6.山田正紀公開インタビュー
こちらの方は司会者が日下三蔵。ミステリからSFまで幅広い活躍の山田正紀がゲスト。
- ミステリ歴
ヴァン・ダイン、ブラウン神父シリーズ、『Xの悲劇』などから入る。
国内ものは乱歩を読んで、その後SFへと進んでいった。
高校の頃、都筑道夫や結城昌治の作品を好んだ。
- ミステリを書くきっかけ
横溝正史などの探偵小説に古さを感じた。
「探偵小説」と「ミステリ」に違いを感じ、両者を融合させたくて『人喰いの時代』を書いた。
冒険もの、秘境もの、サスペンスものなどについてそれぞれ説明。質疑応答ではSF関係の作品についての質問が多く出されました。
7.おまけ こんな人に会った
セミナーの内容はもちろん興味深かったのですが、たくさんの方にお会いしてよい思い出ができたので、紹介します。お名前の順は時系列です。
- モスバーガーで石井さん、仰天の騎士さん、とんぺーさん。女王様と騎士殿、そして若武者。あまりに見事なフォーメーションです。
- 会場で『乱歩が選んだベストホラー』の野村宏平さんに挨拶。リンクのときのお礼、やっと言えました。
- 霞流一さんに「お手柔らかに」と言われる。(そ、そんなめっそうもない…。)
- たかはしさんと1週間ぶりに再会。
- GAKUさんと遭遇。
- 近田鳶迩さん、しょーじさんとも1週間ぶりです。
- 葉山響さんがやはり人型記憶装置だったことを確認。やはりすばらしいのです。
- 彩古さんに、紹介文について聞く。「日本一本を買う男」でよいですかと尋ねると、「いや、日本一は土田さんでしょう。ぼくは今年、土田さんの3分の1くらいだから」と言われる。それはいったい何冊ですかと聞くと、「今年は今のところ300から400かな」ですって。今年はまだ3ヶ月しかたっていません…。その後古本の心得についてレクチャーを受ける。まず、何が出ているか知ること。次にその中からおもしろいものを見つけておくこと。それから探すこと。なるほど。
- 蘇部健一さんに挨拶。創元推理の分科会は楽しそうな様子。
- ロビーで浅暮三文さんに肩をたたかれる。びっくり。
- 石井さんにご紹介いただいて、日下三蔵さん、千街晶之さんに名刺をいただく。よろしくお願いします。
- 逆密室の川出正樹さんに挨拶。お書きになった『ミステリ・ベスト201』(新書館)がみすべすにアップされているのをご覧になったそうで、恥じ入る思い。
- CCRの穂井田さん西上さんに挨拶。リンクのお礼、言えました。
- 倉阪鬼一郎さんに挨拶。「隣に座りましたよね〜」と言われる。覚えていてくださったのですね。
- Masamiさんに挨拶。『ベラミ裁判』の評がすばらしいと、葉山さんとわたしで絶賛。本当に読み応えあります。
- 大森望さんに声をかけられる。MYSCONでの掲示板運営の話はよかったとのこと。(でも、わたしは「そうありたい」という願いがあるだけで、実際は難しいです。)
もう一つはミステリチャンネルの話。「Best Books〜ミステリ書評〜」の豊崎由美さんがみすべすの「買い時」は、買う本を選ぶのによいと言っていた、と言われてびっくり。ありがとうございます。だんだん恥ずかしくなってきました。
以上、思い出に残った一日のレポートでした。
企画・運営されたワセダミステリクラブの方々、どうもありがとうございました。
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