映画音響について

映画の最後にキャスト・スタッフリストが流れます。その最後の方に[DOLBY][dts][SDDS]と書かれたマークがあります。これは映画がどのような方式で録音されたかを示す印です。ちなみにマークがない映画はたいていモノラル録音です。

DOLBY
DOLBY
ドルビーステレオ
アメリカのドルビー研究所が開発した録音形式です。アナログのステレオ録音に特殊な演算処理(マトリクス処理)を行うことで前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(後方)1チャンネル、合計4チャンネルの再生をする事が出来ます。一昔前までは[DOLBY STEREO]と表示されていましたが、最近では[DOLBY]のみの表示となっています。アナログ音声特有のノイズを減らすため[DOLBY A]ノイズリダクションが使用されています。設備のない映画館ではモノラル上映ができます。
新聞広告等での表記例:/D/DS

DOLBY SR

ドルビーステレオ
エスアール
ドルビーステレオの高音質版です。[Dolby SR]タイプのノイズリダクションを使用し、周波数特性等も改善されています。最近ではSRの表記が省略されることが多く[DOLBY]のみの表示となっています。最近のデジタル音響ではない映画はほとんどこの形式で録音されています。設備が無い映画館ではドルビーステレオ又はモノラル上映ができます。
新聞広告等での表記例:/SR

DOLBY SRD

ドルビーステレオ
デジタル
アメリカのドルビー研究所が開発したデジタル圧縮録音形式です。前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(左、右)2チャンネル、サブウーファー(重低音専用スピーカー、0.1チャンネルと数える)合計5.1チャンネルの再生をする事が出来ます。アナログのドルビーSRも同時に収録されているため設備が無い映画館ではアナログ音響で上映できます。映画によってはドルビーデジタルでも[DOLBY]としか表示されていない場合があります。
圧縮方式:DOLBY AC-3/ビットレート:320kbps
新聞広告等での表記例:/SRD/SR−D

DOLBY SRD-EX
DOLBY DIGITAL SURROUND EX
ドルビーステレオ
デジタルサラウンド
イーエックス
ドルビーデジタルを拡張したデジタル圧縮録音形式です。前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(左、後、右)3チャンネル、サブウーファー(重低音専用スピーカー、0.1チャンネルと数える)合計6.1チャンネルの再生をする事が出来ます。ちなみにドルビーデジタルとは音質は変わりなくサラウンドの質の向上のみです。設備の無い映画館ではドルビーデジタル又はアナログ音響で上映ができます。映画によってはドルビーデジタルサラウンドEXでも[DOLBY]あるいは[DOLBY DIGITAL]としか表示されていない場合があります。
新聞広告等での表記例:/SRD−EX/D−EX/EX

dts
dts
ディー・ティ・エス
アメリカのデジタルシアターシステム社が開発したデジタル圧縮録音形式です。前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(左、右)2チャンネル、サブウーファー(重低音専用スピーカー、0.1チャンネルと数える)合計5.1チャンネルの再生をする事が出来ます。フィルムとdts音響を収録したCD-ROMを同期させて上映します。設備が無い映画館ではアナログ音声での上映となります。
圧縮方式:APT-100X/ビットレート:882kbps
新聞広告等での表記例:DTS/dts

dts-ES

ディー・ティ・エス
イー・エス
dtsを拡張したデジタル圧縮録音形式です。前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(左、後、右)3チャンネル、サブウーファー(重低音専用スピーカー、0.1チャンネルと数える)合計6.1チャンネルの再生をする事が出来ます。設備が無い映画館ではdts又はアナログ音声での上映となります。
新聞広告等での表記例:dts-ES

DTS STEREO
DTS STEREO
ディー・ティ・エス
ステレオ
アメリカのデジタルシアターシステム社が開発したアナログ録音形式です。アナログのステレオ録音に特殊な演算処理(マトリクス処理)を行うことで前方3チャンネル(左・中央・右)とサラウンド(後方)1チャンネル、合計4チャンネルの再生をする事が出来ます。ドルビーステレオと同様の方式ですがdtsの設備がない映画館でも上映できるようにdts音声のみ収録された映画にはDTSステレオの音声が同時に収録されることになっています。ちなみにドルビーステレオ(SR)よりも使用料が安いため最近の日本映画ではドルビーステレオ(SR)の代わりにDTSステレオのみで収録された映画もあります。(再生時にはドルビーステレオのシステムを利用します)
新聞広告等での表記例:DTS-S/DTSステレオ

SDDS
SDDS
ソニー ダイナミック
デジタル サウンド
ソニーがソニーピクチャーズエンタテインメントと共同開発したデジタル圧縮録音形式です。前方5チャンネル(左・中央左・中央・中央右・右)とサラウンド(左、右)2チャンネル、サブウーファー(重低音専用スピーカー)合計8チャンネルの再生をする事が出来ます。8チャンネル分のスピーカーが無い劇場では8チャンネル音声をダウンコンバートして中央左・中央右を除いた6チャンネルでの上映できます。SDDSのマークが付いた映画が全て8チャンネルで録音されている訳ではなく6チャンネル録音の映画もあります(というよりも6チャンネルで録音された映画の方が多いです)。最近のSDDSで8チャンネル録音された映画はSDDSロゴの下に[8CHANNELS]と書かれたマークを使っているものもあります。
圧縮方式:ATRAC/ビットレート:?
新聞広告等での表記例:SDDS

DLPシネマ
DLPシネマでは映像・音声をデジタルデータにしてハードディスクから再生しています。
音響の記録方式としてはふた通りあるようです。
一つ目はPCMで記録する方式です。16bitまたは24bitのPCMで6ch〜8chの音響を記録します。音声圧縮を行っていないためDOLBY SRD,DOLBY SRD-EX,dts,dts-ES,SDDSなどと比較すると音質が良いです。
二つ目はDOLBY SRD,DOLBY SRD-EX,dts,dts-ES,SDDSなど従来からあるデジタル音響方式で記録する方式です。
またデジタルシネマはまだ規格が完全に固まっていない段階ですのでこれら以外の音響規格が現れる可能性もあります。

※音声圧縮=フィルムやCDに6チャンネルのデジタル音声をそのまま録音することは不可能な為、音声を人間の耳ではわからないような範囲で削ったり圧縮したりして録音すること。再生時は復元作業をして再生する。よほどのオーディオマニア(CDとMDの音の違いを聞き分ける事ができる人)でなければ違いは解らないと思います。
<まとめ>
個人的な感想ですがデジタル音響での上映ならどの音響方式もあまり差はありません。それよりも映画館の設備の差の方が大きいようです。音質等を比較すると下の表のようになります。

わるい←  音質・臨場感  →良い
モノラル DOLBY STEREO
DTS STEREO(A NR)
DOLBY STEREO SR
DTS STEREO(SR NR)
DOLBY DIGITAL
DOLBY DIGITAL SURROUND EX
dts
dts-ES
SDDS
PCM(6〜8ch)

もっと詳しく映画音響システムについて知りたい人は
映画館へ行こう(→資料館)
かないまる(→ホームシアターにおけるデジタルサラウンドシステムについて
ドルビーラボラトリーズ(DOLBY日本語公式サイト)
dts Japan(dts日本語公式サイト)
SDDS(SDDS公式サイト・英語のみ)
などを読んでみて下さい。
また、DOLBY、dts、SDDSの他にも[ULTRA STEREO]などの録音形式がありますが、日本では一般的でないことと資料不足のため記載しておりません。映画データベース(英語)IMDdにはSound Mixという項目があり、どの録音形式で、おおよそ何本の映画が制作されたか知ることが出来ます。
http://www.imdb.com/Sections/Sound-mix/types_all

■映画音響について(その2)へ

TOPにもどる

2000年9月15日作成/2002年12月17日改訂2版
2004年9月15日関連リンク追加

Dolby Digital Experience ドルビーデジタルチェックディスク エンコード デコード テクニック&プロフェッショナル サラウンド モニタリング アジャストメント