猫の恩返し(監督:森田宏幸)
[2002年徳間書店スタジオジブリ事業本部ほか/1時間15分/同時上映:ギブリーズepisode2]
2002年7月20日/UCI岸和田7/ビスタ/DOLBY SRD/★/パンフレット600円(A4:ギブリーズepisode2と合冊)
車にひかれそうになった猫を助けたハルはお礼に猫の国へ招待されるが・・・◆映画を観てから原作本を読んでこういうことを書くのは悪いとは思いますが原作本を読んで映画は観ない方が良いと思います。まあ、ほぼ原作に忠実なのですが、それだけでは映画としては面白くないです。また、原作にないテーマを付け加えたのなら、そのテーマに見合うべきラストシーンがないと説得力がありません。スタジオジブリって宮崎駿監督や高畑勲監督がいないと駄目というのを証明してしまったような映画ですね。オリジナルビデオ用の作品企画だからといって、あまりにひどいのではないでしょうか。
これから先「猫の恩返し」と原作「バロン 猫の男爵」のネタバレがあります
特に「猫の恩返し」を観ていない人は読むと映画鑑賞の楽しみを大きく損ないますので読まないで下さい
「猫の恩返し」を観て、期待しすぎたせいか★1つという評価をつけました。
そこで私が期待はずれだった部分をちょっと書いてみようと思います。
○テーマを扱って失敗していること
「猫の国 それは自分の時間を生きられない奴の行くところ」というテーマを扱って失敗しているところが、まず不満です。
原作でも74ページにムタのセリフとして「俺みたいに自分の時間を生きられない奴の行く所さ」というのは出てくるのですが、原作ではこのことについてはそれ以後触れられずに物語は進行してゆきます。
ところが、映画ではバロンのセリフとして「君がどうしたら自分の時間を生きられるか考えよう」とか「自分を見失うんじゃない」とかテーマとして扱っています。
そして、ハルが成長したことを示すシーンとして朝寝坊しなくなったハルが描かれて映画が終わるのですが、これが全然説得力がないんですね。劇中、ハルは他人に助けられてばっかりで、成長したと思えるシーンが1つもないにもかかわらず、成長した様子を描いて終わったことが一番の不満です。
ちなみに原作では特にハルが成長するシーンというのはなくて、映画とは全く違うオチがついています。
○映画が盛り上がらない
全体的に映画が盛り上がらないです。あっさりとストーリーが進んでゆきます。75分の比較的短い映画だからという声が聞こえてきそうですが、裏をかえせば印象に残るシーンが全然ないということなのです。
○設定が生かし切れていない
猫の国という魅力的な設定がありながら、見せられるのは猫王の馬鹿げた姿だけというのは何とかならなかったのでしょうか。宴会シーンなど、どこかの映画で観たことがあるような場面が多すぎます。
細かい点は他にもあるのですが主な不満はこんな所でしょうか。まあ、スタジオジブリでなければ★2つをつけていたかもしれませんが。
スタジオジブリ的なテーマ(どうしたら自分の時間を生きられるか考えよう)を扱うのではなく原作どおり単純な娯楽映画として作ってもらったほうがすっきりしていたと思います。