長坂悦敬 著 生産企画論 学術図書出版社 2001.8.20

1.製造業のビジネスモデルと生産企画     1.1 製造業のビジネスモデル
1.2 企業価値の変化
1.3 企業内パラダイムの変化と生産技術者
1.4 経営工学(IE)
1.5 情報技術(IT)
1.6 米国製造業の復権とCALS
1.7 生産企画

 

 

 

2.仮想生産環境               2.1 仮想生産環境のビジョン
2.2 VR
2.3 3次元CAD
2.4 CAEの概要
2.5 CAEの基礎理論
2.6 パソコンの性能
2.7 ものづくりでのHow toからWhat toへ

 

3.コスト企画                  3.1 マーケティングとプロダクトマネジメント
3.2 コスト管理と原価企画
3.3 会計情報システムとERPの役割
3.4 生産管理システム
3.5 コンカレントエンジニアリング
3.6 BPR

 

 

 

.情報分析と予測法            4.1 計画策定のための予測方法
4.2 活性分析
4.3 企業内パラダイムの変化と生産技術者

 

.意思決定法                 5.1 意思決定
5.2 図的思考の方法
5.3 階層分析法(AHP法)
5.4 線形計画法

 

 

 

.知的資産活用法              6.1 IC(知的資本)の重要性
6.2 データ管理
6.3 PDM(製品データ管理システム)
6.4 ナレッジマネジメント

第1章 製造業のビジネスモデルと生産企画

これからの製造業はグローバルでかつアジャル(俊敏)な競争に打ち勝つためのビジネスモデルを備える必要がある.その中で,生産技術者はより源流段階で生産に関わる内容を積極的にコメントし商品の企画や設計内容について提案していくことが望まれる.つまり,モノづくりに携わるエンジニアにとっては,従来の「図面に忠実に生産することができる,品質クレームをゼロにする」といったモノづくりの原点をしっかり押さえながら,「生産プロセスを生かして商品の付加価値が生まれるように誘導する」,「その付加価値についてわかりやすくアピールし第三者によく理解してもらう」,「生産プロセスの生む付加価値と市場のマッチングを意識する」,「源流で原価をつくり込むことができる」,そんな多彩な素養を身につけたい.生産を企画し,実行でき,コミュニケーションできるエンジニアが必要とされている.本書では生産プロセスにかかわるエンジニアリングとマネジメントの境界領域業務を「生産企画」と呼ぶことにし,まず第1章ではその重要性について整理する.

第2章 仮想生産環境

3次元CADが実務で使われ出し,仮想生産環境,デジタルモックアップ,バーチャルファクトリーなどという言葉もよく聞かれるようになった.これらはコンピュータ・ネットワーク環境において仮想的に試作品をつくり,実際の製造に至る前にいろいろな検討を行って生産プロセスや工程設計,あるいは工場そのものを最適化しようとする取り組みである.数年前は夢でしかなかった仮想生産環境は,各論ごとに研究開発が進められ,統合システムとしても実用に耐えられるレベルになった.これは,デジタル技術を積極的に生かし,従来のアナログ技術と融合して新たなモノづくりの方法論を確立しようというアプローチでもある.本章では,生産企画のプラットホームになる仮想生産環境を取り上げ,各論として重要なCADとCAEに焦点を当て概説する.

第3章 コスト企画

電子規格が整備され,並列的な企業関係が構築されつつある.生産技術者個人にとっては,自分の強み(個人のコアコンピタンス)をしっかりと持ちつつ,かつ,学際的素養とコミュニケーション能力を備えた「提案型生産技術者」になるために努力することが必要であろう.一方,「組織」としても同様のアプローチが必要である.提案型組織として生産技術部門は位置づけられなければならない.その考えを実現する経営手法が「コンカレントエンジニアリング」である.コンカレントエンジニアリングでは,従来のような連鎖的,続発的に行われる「開発」−「生産」作業ではなく,並列に作業が行われる.そこでは,コストを意識して生産分野の情報を戦略的かつ的確に設計側へ提案し,より上流過程にて適切な判断を下せるようにすることが重要な課題となる.本章では,コンカレントエンジニアリングを実現するための周辺分野をコスト企画という呼び方で包含し,基本的な考え方と具体的な方法論を整理する.

第4章 情報分析と予測法

生産企画において情報分析はたいへん重要である.多くのデータを加工して意味ある情報として取りだすためには,客観性をともなった的確な方法を選択しなければならない.そして,目的と合致した的確な指標を定量的に提示し,わかりやすく説明できなければならない.同じ元データを使いながら,人によって異なった分析結果が出ることがある.その情報の確からしさ,鮮度を気にすると同時に,分析方法についての理解も必要である.本章では例をあげながらいくつかの情報分析法,予測法を取り上げその概要を説明する

第5章 意思決定法

生産企画は意思決定の連続である.実際,生産に携わる企業内の活動では不透明なことが多く,その意思決定は容易でない.いくつかの候補から一つを選択しなければならないとき,その一つがあらゆる評価基準に照らしてベストであるということは稀である.何からの評価基準に基づいて決定しなければならない.しかし,現実には,評価基準が複数存在し,しかも,それらは互いに二律背反である場合がよくある.感性,感覚ではなく,科学的手法に基づいて評価を行い意思決定するために従来から数々の研究が行われてきた.ここでは,意思決定法について整理した上で,不確定な状況での意思決定を対象とした手法であるAHP法や数値的な処理で意思決定が可能な線形計画法について整理する.

第6章 知的資産活用法

生産企画における意思決定や予測のためには元になるデータを蓄えてうまく活用しなければならない.データを効率よく蓄積したり,検索したりするためには一般にデータベースが使われるが,様々なデータの管理だけではなく,知的資産の管理,活用のための方法論が大切である.本章では,企業価値向上にも直結する知的資本についての考え方,データベースの技法,PDM(製品データ管理),ナレッジマネジメントに焦点をあてて整理する.
(A5版、264ページ,\3,000)

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