治安に関するウォッチング

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◆暴動、クーデターなど◆


(1) 緊急時の連絡
 暴動、クーデターなどの発生時は、原則として在フィリピン日本大使館の指示、誘
導にしたがって速やかに行動すること。
 JICA関係者はフィリピン事務所と緊密な連携をとり、事前の正確な情報入手およ
び緊急連絡網による相互連絡の徹底、確保をはかることが必要である。JICA事務所
では、職場別(プロジェクト別など)の緊急連絡網を作成して備えている。
 各人も、日頃から関係する専門家(場合により協力隊員)との連絡方法を考えてお
くことは大切である。また、ある程度のまとまった現金(外貨を含む)、1週間程度
の食料、飲料水の備蓄を心がけておく必要がある。
 緊急事態が発生した場合は、その規模、鎮圧の見通しなどを冷静に見極めるととも
に、家族の生命の安全を第一に考え、大使館、事務所の指示に従って沈着、冷静に行
動することが要求される。
 避難時の荷物は最小限とし、家族共々身軽に行動できるよう平素から準備しておく
ことが大切である。また、状況により安全な場所は変化するので、常に情報の収集に
努め、安全と思われる場所の確保を心がけておくこと。
 避難場所としては友人、知人などの個人住宅、ホテルのほか、宿泊施設のある
JICAプロジェクトなども考慮に入れておいたほうがよい。また、避難する場所まで
自分で運転ができるよう、日頃から運転技術や土地勘を養っておくことも必要である。
 NHK国際放送、AM、FMの聴けるラジオは必需品であり、持参を勧める。

◆強盗、盗難◆


(1) 一般的治安状況など
 日本と較べると、治安がよいとはいえない。
 犯罪件数の推移をみると、ここ数年間一般犯罪発生件数は49%減少している。内訳
は殺人が43%減少、強盗が64%減少、強姦は69%増加となっている。しかしながら対
人口比で殺人は日本の17倍、強盗は5倍、強姦は3倍の発生率で依然発生件数は高い。
 長期滞在者をはじめ、観光旅行者、商用旅行者(ビジネスマン)を含む邦人を対象
とした犯罪もあとを断たない。滞在者は、犯罪を少しでも回避するよう隙のない堅実
な生活姿勢を保ち、お互いに気をつけ合っている。
(2) 防犯対策
 住居における防犯対策は次のとおりである。
<ビレッジ>
 ビレッジ内の家選びのポイントとして、まず外からみて明るく落ち着いた感じであ
り、部外者に容易に邸内に侵入されない、たとえされても外から不審者が発見されや
すい家構えがよい。
 塀が高く外から内部が見えない家は、侵入するのは容易ではないが、いったん侵入
されてしまうと、賊は大胆になり危険である。また、空き地や空き家が隣接している
家は避けた方がよい。これは過去の事例をみても、盗人の潮待ち場所、侵入、逃走口
として使われる。
 付帯設備として、平屋、2階建てともに各窓に鉄格子(グリル)がついているのが
よい。使用人部屋も同様である。さらに家の周囲は夜間明るくしておく必要があるの
で、照明設備のある家がよい。玄関ドアはダブルロック、ドアチェーン、ドアスコー
プがついていること。また、マスターズルームにもドアロック、ドアスコープが必要
である。家の中に防犯ベルが設置されていない時は、家主に交渉してつけてもらうか、
自ら購入して取り付けた方がよい。犬を飼うのも効果的である。
<マンション(コンドミニアム)>
 一般に、高級コンドミニアム、マンションなどは出入りのチェックがしっかりして
おり、ビレッジに較べると部外者による犯罪は少ない。
 各戸の玄関にはドアスコープ、ダブルロック、ドアチェーン、インターホンがつい
ていること。マスターズルームにもドアロック、ドアスコープがついているとよい。
 以上、引っ越しが終わって落ち着いた時点で、もう一度防犯について検討すること。
また、戸締まりや施錠については他人任せにせず、就寝前に自らチェックするよう習
慣づけることが重要である。
 家政婦/夫、運転手などの雇用にあたっては、無犯罪証明(NBI Clearance)、住
居証明、運転免許証などを確認のうえ履歴書(Bio-date)を提出させ、面接でじっ
くり人柄を見極めること。採用が決まったら、ビレッジのアソシエーションに登録す
る(指紋を含む)こと。
 住宅外での防犯対策として、車での走行中は必ずドアロックすることを運転手にも
徹底させる。ヒッチハイカーは乗せないこと。
 誘拐の可能性があるので、家を出た時、職場を出た時、尾行者がいないか確かめる
こと。夜間のひとり歩きは避ける。
 スリが多いので、持ち歩く貴重品は最小限にすること。
 タクシーを利用する時は、大きなホテルなどから安全な会社の車を選び、コースは
できるだけ大通りを選ぶ。運転手の挙動に不審がないか注意する(運転手が強盗に豹
変することがある)。
 誘拐や交通事故から守るため、子供には監視人をつけるとともに平素の交友関係、
行動範囲を把握しておくこと。
 夜間の駐車には、明るく、ガードマンの目の届く場所を選ぶ。
 職場においても窃盗事件が発生しているので、貴重品は錠のかかるところに保管し
ておくこと。
(3) 被害時の心得
 不幸にして強盗にあった場合、犯人は必ず凶器を持っているので、生命の安全を第
一に考え、ホールドアップするしかない。また犯人の顔を見ないようにすること。犯
人は自分の顔を覚えられ、通報されるのを恐れるからである。
 被害に遭った現場はそのままの状態にしておき、ガードマンのいるアソシエーショ
ンに電話で通報する。その際、ビレッジのゲートの検問などを依頼するとともに、速
やかに臨場してもらう。強盗の多くは電話線を切断して逃走するので、近所の電話を
借りて通報する。一次的にはガードマンが臨場し、犯行現場をざっと検分して警察署
に通報し、本格的な現場検証が始まる。ただし、盗品が戻ってくる可能性は殆どない。
 事件発生時には隣近所との連携も必要となる。平素から友好関係を保ち、非常時に
は助け合うようにする。ビレッジによっては、邦人だけの連絡網を完備しているとこ
ろもある。

◆火災、風水害、地震◆


(1) 一般的災害発生状況など
 アジア諸国のなかでも自然災害の多い国である。毎年、台風により甚大な被害がも
たらされるのに加え、火山列島であるため火山噴火や地震も多い。1990年にはバギ
オ大地震、91年には今世紀最大といわれるピナトゥボ火山の大噴火が起こっている。
ピナトゥボの噴火による死者は約1,000人、被難民は一時100万人にも及んだ。また
91年の暮れにはオルモック台風がビサヤ地方を襲い、数千人の死者を出している。自
然災害のなかでも日常生活に特に影響が大きいのは、毎年10〜15回は襲来する台風
である。発生時期は主に6〜12月である。常襲地域はビサヤ地方から北部ルソンまで
であり、ミンダナオではほとんどない。
 首都マニラは比較的自然災害の少ない地域ではあるが、マニラ湾に近く、低地でか
つ排水機能が悪いため、場所によっては大雨のたびに床上浸水し、道路は冠水し、交
通渋滞のもとになっている。邦人の多く住むマカティ地区は、若干高くなっており、
浸水することはほとんどない。
 火災は比較的多い。概して建造物の外観は立派であるが、内部の電気配線の状態が
悪いため漏電を起こしていることが多く、これが火災の大きな原因となっている。
(2) 防災対策
 住宅を選定する場合は、漏電の有無を調べるとよい。すべての電化製品の電源を切
り、電気のメーターが動かないことを確認すること。入居時には火災時の避難路を確
かめることが重要である。
 台風などの自然災害が発生した場合、断水となる可能性が大きいので、日頃から非
常用の飲用水および生活用水の備蓄を心がけておく。住宅にプールがあれば、災害時
には非常用水槽の役割を果たす。
 また、数日分の食料(缶詰など)を備蓄しておくのが望ましい。
(3) 被災時の心得
 自然災害などのニュースはテレビ、ラジオ、新聞で速報される。これに注意して状
況を把握すること。新聞などで発表される台風情報の意味は次のとおりである。
  ・ストームシグナルNo.1:フィリピン近辺に台風が発生し、36時間以内に警報
  地方に風速1時間60キロメートル(秒速16.6メートル)以下の風が予想される。
  ・ストームシグナルNo.2……台風が接近しつつあり、24時間以内に警報地方に
  風速が1時間に60〜100キロメートルの風が予想される。高校以下は休校となる。
  ・ストームシグナルNo.3……台風の影響下にあり、危険な状態である。12〜18
  時間以内に風速が1時間に100キロメートル(秒速27.7メートル)以上の風が
  予想される。大学を含め全て休校となる。
 防犯上、すべての窓に鉄格子を取り付けている家が多いが、これが避難時の障害に
なることがあり、この対応を考えておくべきである。

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