中小企業診断士からみた大連視察記
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| 2006年9月に訪問した大連視察記を記します。広大な中国のイメージを最近、北京、上海で描いている方も多いですが、他に経済発展をしている大連を紹介します。大連に行かれた方は、横浜を想像すると思いますが、美しい街です。 |
2008.6.03更新

| 1.大連経済状態 1)中国への投資の鈍化と大連への投資動向(参考:通商弘報) 北京オリンピックまで、中国の経済成長が続くとされています。現在、経済成長が著しい中国ですが、対内直接投資の鈍化は始まっています。下記に中国の対内直接投資の伸び率を記します。
地域別の対内直接投資(06年上半期)をみると
大連市を含む遼寧省の金額の伸び率が高い理由として、欧米企業による自動車・半導体の大型投資が増加し、大連市ではフォルクスワーゲンの大型投資がありました。 下記に国別の対中直接投資の伸び率(06年上半期)を記します。
(2008年1月7日) |
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| 2)主要地域の投資コスト比較(アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較;ジェトロより) アンケートのサンプル数も影響していますが、下記に示すように地域ごとに、一般工の月給にばらつきがあります。大連のサンプル数が日系企業9社であり、上海が日系企業5社であることから、相対的に大連の一般工の月給が低いことが伺えます。金額にしておよそ5000円(50〜70USD)ほどの差になることから、製造業にとって、大きな差であるといえます。更に中堅技術者の差が、2万円ほど(130〜200USD)の差が生じていることから、大連の投資環境はよいといえます。 また、労働局が公表している社会保障率にも差が生じていることからも、人件費の違いが更に生じていると言えます。中国での事業がまだ低廉な労働力による製造が主体であることを考えると、この人件費の違いは投資環境に大きな差を生じさせます。 工業団地の賃借料は、上海が青浦工業園区、大連がトステムの進出している開発区であり、開発区の賃借料に魅力を感じます。前述の上海への対内直接投資の鈍化の理由は、労務費関連によるものと推測され、大連への投資環境は、主要都市の中では良いといえます。
(2008年1月27日) |
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2.最低賃金の引き上げに関して(参考:通商弘報) 2006年度、中国関係ニュースとして、最低賃金の引き上げが話題となりました。特に大連は、最低賃金が40%のアップすると発表したものの、後から30%に再調整を行いました。下記に、各地域の最低賃金を記します。
また、研修生など新潟県に入ってくる中国人の質の低下から、中国人の労働者の質の低下が噂をされていますが、今回視察を行ったトステムと一部メンバーが訪問した研修生派遣団体の情報から、労働者の質の低下は大連ではみられないようです。 (2008.2.25) |
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3.大連への経路 この数年投資先として有望視されていた上海を中心とした華東の伸び悩みの中で、大連の投資環境が良いことがこれまでの記述で判断できます。また、日本語が話せる人材が多く、親日な都市である点も魅力として挙げられます。一方で、新潟からの取引を考えると、流通経路がネックと考えます。 空路では、富山−大連の直行便となり、船では新潟−上海−大連の便となり、機動性が損なわれます。中国との貿易が盛んになるにつれて、繊維などの市場では機動性が要求されています。ベトナム・インドなどへ製造拠点の展開が進まない理由として、この機動性が大きく影響しています。中国においても、往復の船便を利用できる環境ばかりでなく、日本からの原料供給は空路で帰りの製品は船便でということがしばしば起こっています。更に、往復空路となる場合もあり、コストだけでなく、機動性が発揮できる環境でなければ、大連の魅力が発揮できないといえます。 新潟県の経済発展のためにも、大連へのルートの改善が必要と考えます。 (2008年3月22日) |
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| 4.日系企業視察 1)企業運営の考え方 日本と同じ設備、日本と同じ生産方法、日本と同じ生産管理方法、日本と同じ検査方法を採用している。従業員と人員配置が異なるが、日本と同じ品質保証を行っていることになる。この方法を中国でとり、日本向けの製品を作ることは、コストを犠牲に、当該企業のブランドを維持していると考える。中国へ進出している中小企業では、同じやり方は真似ができない。 質疑応答から、当該企業の一般工の月給が1000元、社会保障率が60%で考えると、日本円に換算した月給がおよそ24000円となる。業種・地域にもよるが、日本人一般工の人件費が40万円であることを考えると、1人あたり376千円の賃金差になる。2200人の従業員で考えると、総額827百万円/月の労務費の差となる。年間約100億の賃金が浮くことになる。但し、日本に比べ管理人材が多くなることを考えると、100億円が儲けになるわけではないが、120億円の売上の現地法人であることを考えると、コストを犠牲にしブランドの維持を図っても、大連でものづくりを行う魅力が充分にあることが分かる。 (2008年4月11日) |
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| 2)新潟県内の中小企業との比較 ISOの導入に平行して、新潟県内の中小企業の品質管理(現場管理)が低下している場面が多々見られる。15年前はあれほど熱心だったQCサークルは、実施している会社がほとんどなくなり、死語にもなっている。また、TQCを続けられている会社は、優良な中小製造業の一部だけである。 以前上海周辺でみた日系工場もTQCに熱心であるが、当該企業もTQCに熱心であるようだ。至る所に、品質のデータ、個人の成績が掲載されている。生産拠点の移転に伴い、日本の管理力も流出しているといえる。 新潟県内の製造業ももう少しボトムアップに力を入れなければ、良い企業だけが残り、力がない企業が淘汰され続けると考える。 (2008年5月7日) |
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3)他の日系企業と比較し気になる点 日系企業の多くが、現地人材を経営幹部に登用し始めているのに対し、董事長、董事の5名は全て日本人で占めている。また、32名の日本人駐在員の多さも少し異様に感じた。現地人材の活用は、様々なトラブルを解決し、定着率を上げる効果があると考えていたが、大連では少し異なるのかもしれない。大連が親日であることから、日本人に使われることにあまり抵抗がないのかもしれない。 4)資材の調達 ブランドの維持とからむが、中国製の合板がホルムアルデヒドを多く含むことから、原料は輸入に頼っている。資材の調達ができる地域に生産拠点を設けていないことにより、当該企業の大連進出は、明らかに低廉な労務費にあるといえる。 (2005年5月24日) |
2008.1.27中小企業診断士中村公哉事務所
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