中小企業診断士からみた大連視察記
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| 2006年9月に訪問した大連視察記を記します。広大な中国のイメージを最近、北京、上海で描いている方も多いですが、他に経済発展をしている大連を紹介します。大連に行かれた方は、横浜を想像すると思いますが、美しい街です。 |
2008.12.30更新

| 1.大連経済状態 1)中国への投資の鈍化と大連への投資動向(参考:通商弘報) 北京オリンピックまで、中国の経済成長が続くとされています。現在、経済成長が著しい中国ですが、対内直接投資の鈍化は始まっています。下記に中国の対内直接投資の伸び率を記します。
地域別の対内直接投資(06年上半期)をみると
大連市を含む遼寧省の金額の伸び率が高い理由として、欧米企業による自動車・半導体の大型投資が増加し、大連市ではフォルクスワーゲンの大型投資がありました。 下記に国別の対中直接投資の伸び率(06年上半期)を記します。
(2008年1月7日) |
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| 2)主要地域の投資コスト比較(アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較;ジェトロより) アンケートのサンプル数も影響していますが、下記に示すように地域ごとに、一般工の月給にばらつきがあります。大連のサンプル数が日系企業9社であり、上海が日系企業5社であることから、相対的に大連の一般工の月給が低いことが伺えます。金額にしておよそ5000円(50〜70USD)ほどの差になることから、製造業にとって、大きな差であるといえます。更に中堅技術者の差が、2万円ほど(130〜200USD)の差が生じていることから、大連の投資環境はよいといえます。 また、労働局が公表している社会保障率にも差が生じていることからも、人件費の違いが更に生じていると言えます。中国での事業がまだ低廉な労働力による製造が主体であることを考えると、この人件費の違いは投資環境に大きな差を生じさせます。 工業団地の賃借料は、上海が青浦工業園区、大連がトステムの進出している開発区であり、開発区の賃借料に魅力を感じます。前述の上海への対内直接投資の鈍化の理由は、労務費関連によるものと推測され、大連への投資環境は、主要都市の中では良いといえます。
(2008年1月27日) |
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2.最低賃金の引き上げに関して(参考:通商弘報) 2006年度、中国関係ニュースとして、最低賃金の引き上げが話題となりました。特に大連は、最低賃金が40%のアップすると発表したものの、後から30%に再調整を行いました。下記に、各地域の最低賃金を記します。
また、研修生など新潟県に入ってくる中国人の質の低下から、中国人の労働者の質の低下が噂をされていますが、今回視察を行ったトステムと一部メンバーが訪問した研修生派遣団体の情報から、労働者の質の低下は大連ではみられないようです。 (2008.2.25) |
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3.大連への経路 この数年投資先として有望視されていた上海を中心とした華東の伸び悩みの中で、大連の投資環境が良いことがこれまでの記述で判断できます。また、日本語が話せる人材が多く、親日な都市である点も魅力として挙げられます。一方で、新潟からの取引を考えると、流通経路がネックと考えます。 空路では、富山−大連の直行便となり、船では新潟−上海−大連の便となり、機動性が損なわれます。中国との貿易が盛んになるにつれて、繊維などの市場では機動性が要求されています。ベトナム・インドなどへ製造拠点の展開が進まない理由として、この機動性が大きく影響しています。中国においても、往復の船便を利用できる環境ばかりでなく、日本からの原料供給は空路で帰りの製品は船便でということがしばしば起こっています。更に、往復空路となる場合もあり、コストだけでなく、機動性が発揮できる環境でなければ、大連の魅力が発揮できないといえます。 新潟県の経済発展のためにも、大連へのルートの改善が必要と考えます。 (2008年3月22日) |
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| 4.日系企業視察 1)企業運営の考え方 日本と同じ設備、日本と同じ生産方法、日本と同じ生産管理方法、日本と同じ検査方法を採用している。従業員と人員配置が異なるが、日本と同じ品質保証を行っていることになる。この方法を中国でとり、日本向けの製品を作ることは、コストを犠牲に、当該企業のブランドを維持していると考える。中国へ進出している中小企業では、同じやり方は真似ができない。 質疑応答から、当該企業の一般工の月給が1000元、社会保障率が60%で考えると、日本円に換算した月給がおよそ24000円となる。業種・地域にもよるが、日本人一般工の人件費が40万円であることを考えると、1人あたり376千円の賃金差になる。2200人の従業員で考えると、総額827百万円/月の労務費の差となる。年間約100億の賃金が浮くことになる。但し、日本に比べ管理人材が多くなることを考えると、100億円が儲けになるわけではないが、120億円の売上の現地法人であることを考えると、コストを犠牲にしブランドの維持を図っても、大連でものづくりを行う魅力が充分にあることが分かる。 (2008年4月11日) |
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| 2)新潟県内の中小企業との比較 ISOの導入に平行して、新潟県内の中小企業の品質管理(現場管理)が低下している場面が多々見られる。15年前はあれほど熱心だったQCサークルは、実施している会社がほとんどなくなり、死語にもなっている。また、TQCを続けられている会社は、優良な中小製造業の一部だけである。 以前上海周辺でみた日系工場もTQCに熱心であるが、当該企業もTQCに熱心であるようだ。至る所に、品質のデータ、個人の成績が掲載されている。生産拠点の移転に伴い、日本の管理力も流出しているといえる。 新潟県内の製造業ももう少しボトムアップに力を入れなければ、良い企業だけが残り、力がない企業が淘汰され続けると考える。 (2008年5月7日) |
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3)他の日系企業と比較し気になる点 日系企業の多くが、現地人材を経営幹部に登用し始めているのに対し、董事長、董事の5名は全て日本人で占めている。また、32名の日本人駐在員の多さも少し異様に感じた。現地人材の活用は、様々なトラブルを解決し、定着率を上げる効果があると考えていたが、大連では少し異なるのかもしれない。大連が親日であることから、日本人に使われることにあまり抵抗がないのかもしれない。 4)資材の調達 ブランドの維持とからむが、中国製の合板がホルムアルデヒドを多く含むことから、原料は輸入に頼っている。資材の調達ができる地域に生産拠点を設けていないことにより、当該企業の大連進出は、明らかに低廉な労務費にあるといえる。 (2005年5月24日) |
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| 5)定着率に関して 毎年11%の従業員が入れ替わる。入れ替わる理由は、契約期間の終了によるものである。 大学生があまり気味なようであり、中堅技術者の賃金水準が低いことがそれを裏付けている。推測であるが、大連市の人口と戸籍(都市部の戸籍の所有)が、定着率の高さに影響しているのではないか。また、親日であるということも後押しをしていると考える。 大連で、日本関係のビジネスに携わる方に女性が多いが、これは大連外国語大学の人員構成によるところが大きいようである。大連外国語大学の80%が女性であり、日本のビジネス以外でも外国とのビジネスには女性が携わることが多いようである。 6)社会活動 小学校の建て直しや、奨学金の提供など社会活動を実施している。実施理由は、行政から日系企業にだけ要求をしていることと、企業の知名度アップを目的にしているためである。 (2008.6.3) |
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5.大連ソフトウエアパーク視察 1)ソフトウエアパークの概要 1998年着工 中国の11箇所の国家級ソフトウエア産業基地の一つ 中国の5箇所の国家ソフトウエア輸出基地の一つ 2006年9月時点の企業数:326社(うち外資系が41%、更に日系が26%) 第一期工事 ほぼ完成 第二期工事 2003年に着工 優遇措置:企業所得税の減免 増値税の減免 関税の減免 個人所得税の減免 2)人材の確保に関して 東軟情報大学 毎年2000人のソフトウエア系卒業生の輩出。 1000人は大連ソフトウエアパーク内で就労 2008年8月21日 |
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| 3)入居企業の業務内容 アプリケーションソフト開発 40% BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング) 30% 組込ソフトウエア開発 10% 対日業務 51% 国内業務 30% 対米業務 14% 4)最近のソフトウエアパークに関するニュース(通商弘報を参照) @ 大連市、ソフトウエア産業への支援を強化(中国) 2005年03月30日 大連発 大連市は、中央政府から「国家級ソフトウエア産業基地」「国家級輸出ソフトウエア基地」「ソフトウエア産業国際化モデル都市」として認定されている。2004年、大連市のソフトウエア産業の売上高は前年比56%増の70億元(1元=13.5円)、輸出額は67%増の2億ドルと大幅に増加した。 2005年の売上高は前年比1.4 倍の100億元、輸出額は同1.5倍の3億ドルに拡大するとみられている。2010年の目標は、売上高500億元、輸出15億ドルとしている。 − 以下割愛 − A 特定企業向け研修で人材を育成−中国での人材確保が困難に(5)−(中国) 2005年01月25日 大連発 実践的なIT人材の育成を行う東軟情報学院(大連)は、日系企業のニーズに応じて独自技術や企業文化を研修するクラスを開設している。実践的な教育を受けた学生を採用したい企業側と学生の就職先を確保したい大学側のニーズが一致した事例として注目される。 − 以下割愛 − 2008年9月3日 |
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大連の街並み
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| 6.中国の経済格差とハルピン視察 新潟−大連の直行便がないため、帰りにハルピン空港に立ち寄った。空港の前に駐車場があるだけであり、駐車場の向こうに看板がいくつかあるだけである。経済発展している中国の中で、2年前と何も変わっていない。空港内の売店も少なく、特産品の少なさ、購買力のなさを物語っている。 夕食のレストランに向かったが、レストランで予約が通じていなく、急遽部屋を用意する状態となっていた。用意された部屋は、傾いており、掃除が行き届いていなく。使われていないテーブルの上に敷かれたビニールの上に、料理がだされる状態であった。料理の品数はあるが、大連のように洗練されたものでなく、お客様が食べやすいような形や、食欲をそそるような盛り付けなど全く考慮していなく、文化面での遅れも感じられた。日本のニュースでは中国国内の経済格差がなくなってきたように報道されているが、報道の通りであるとは言い切れないように感じ た。 2008年9月22日 |
2008.1.27中小企業診断士中村公哉事務所
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