製造業の企業再生支援業務
| 中小企業診断士中村公哉事務所TOP | 上海・蘇州視察記 | Chinese Page | 中国語HPチャレンジ記 | 自己紹介 | 中国診断業務 | 中国語版経営管理マニュアル | mail |
| このところ中小企業再生支援業務が多くなっています。ところが、製造業の指導ができる人が少なく、お困りの方が多いようです。そのため、日頃の再生支援業務で感じたポイントをご紹介します。 |
2009.3.15更新
| ポイント1 会計事務所を変える 破綻懸念先に陥る企業に共通する特徴は、依頼している会計事務所の能力の無さ、責任感の無さです。 毎期、決算書を作成しているのですから、その企業の経営状態がどのように変化し、いつごろ破綻するか分かるわけです。その状態を見過ごして、何のアドバイスもできない会計事務所は直ぐに変えた方が好ましいといえます。 さて、再生支援で企業に入って、まず問題となるのが、正確なデータが出てくるかどうかです。私の経験上、このデータが出てこなく、関与会計事務所からもあまり協力が得られません。そのため、支援担当者が決算書や経営資料、工場内の状態から読み取らなければなりません。そのときに、製造業の決算書が読み取れる能力、工場の問題点が確認できる能力の支援担当者を見つけることが重要になります。 そして、リスケジュールなどの措置が決まったら、最終的に会計事務所の変更が必要です。これは、再生支援協議会や銀行などから言い出せないことがあるため、経営者自らが判断し、実行に移す必要があります。 |
||||||||
| ポイント2 銀行の責任 前回会計事務所について、記載しましたが、今回は銀行について記載します。破綻懸念先の決算書をみて明らかにおかしな、投資や資金調達が見受けられます。詳しく、公開したいのですが、守秘義務があるため、公開できないのが残念です。おかしな投資先とは、メインバンクが絡んだと思われるリゾート先の名前や必要以上のゴルフ会員権の保有が目立ちます。また、返済能力以上の資金を数度にわたり借りている例などがあります。 どこの銀行が良い・悪いと聞かれる事がありますが、どの銀行も良い所と悪い所があります。銀行で言うよりも、同じ銀行でも支店によって良い・悪いがあります。 再生企業の一部は本当なら、銀行の支店を変えるべきかもしれませんが、再生案件まで行った後では不可能です。そのため、健全なうちに取引銀行を見直すことをお薦めします。 支店間で能力差があると言いましたが、それ以前に製造業が苦手な銀行があります。あまり良くない支店であると感じた場合でも、その支店の支店長が交代したときに良くなる可能性があり、またその取引銀行とじっくりと話すことにより、問題が改善されます。ただし、製造業が苦手な銀行は、話が通じないことが多々あります。もし、自社のメインバンクが製造業が苦手と思った時は、迷わず他の銀行と話してみると良いと思います。他の銀行と話すうちに今のメインバンクが良いか悪いかが分かります。 企業破綻の原因の一部に、銀行の責任が問うべきものがあります。その対策は、企業側が事前に取引銀行を審査し、必要があればメインバンクを変更することです。 |
||||||||
| ポイント3 実務経験のないコンサルタントは再生支援ができない これは、製造業に限ったことかもしれませんが、再生企業は計数管理が出来ていません。例えば、製造現場に入って能力を調べようと考えても、 支援者「今日いくつ作りましたか?」 作業者「....」 支援者「それでは、この工程では最大いくつ作れますか?」 作業者「...、ものによって違うから、どう答えれば良いのか?」 支援者「それでは、今作っているこの製品は1時間にいくつ作れますか?」 作業者「うん〜..200ぐらいかな?いやちょっと待てよ...」 というやりとりになってしまいます。このやりとりになってしまいそうな企業は、再生支援対象の企業の予備軍と考えて下さい。 ところで、再生支援業務で要求されるのがスピードです。製造業で改善計画を作成するためには、最低限各工程の能力把握がなければなりせん。前述のような企業の場合、各工程の能力把握を行なう必要があるのですが、早急に改善計画を作らねばならないため時間がありません。 その中で作る計画は、経験に裏付けられた勘に頼らざるを得ません。「私なら、ここまでできるであろう。」「その改善の手段は、これとあれを使おう。」これが、製造業の改善計画の骨子にならざるを得ません。もちろん、再生対象になっている企業は、支援者ほどの能力を持ち合わせておりません。そのために、アフターフォローが必要となってきます。 少し、ボヤキますが、この「私ならの計画」を作ることは、支援者にとって相当な精神的苦痛を伴います。僅かな日当の仕事で、企業の明暗をわける計画を作るのですから。 再生支援企業も全く努力していなかったかといえば、そうでもないようです。インタビューをすると、大手のコンサルタントから改善指導を受けた企業の比率が高いようです。インタビューの結果から感じることは、処方箋が間違えていること、より高い報酬をもらうために時間をかけて取り組み、企業が途中で投げ出していることを感じます。 |
||||||||
| ポイント4 在庫対策(1) 4件の企業再生支援を手掛けていますが、全ての企業に共通するのが在庫の問題です。「これは不良性資産ですね」なんて言っても企業はそれを隠し続けます。何故隠すかというと、貸借対照表上で資産として計上しているものが、売れないものであるとなるなら、それは破棄しなければなりません。そうすると、資産総額が減るため、バランスをとるため負債または資本を減額しなければなりません。そこで借りたお金を返さないので負債は減らないため、資本が減ってしまうわけです。資本金1千万円の企業が、2千万円の不良性資産(在庫)を持っていたらどうなりますか。その不良性資産を破棄した時に、資本が1千万円−2千万円で△1千万円となってしまいます。これが債務超過です。 よく土地を買った時の値段が下がって、債務超過に陥る例が言われていますが、中小製造業の場合は土地などの固定資産より、在庫などの棚卸資産が原因となる場合が多いです。 |
||||||||
| ポイント5 在庫対策(2) 今回は、棚卸資産の見直しについてです。 金融機関の方が最も困っている課題かもしれません。ある地銀のことですが、私の前に大手のコンサルタント会社から、破綻懸念先のコンサルをしてもらったそうです。その中で、在庫が多いという指摘があり、経営者に対して指導したのが「在庫を減らしなさい。」という指導があったようです。その後、金融機関の担当者は在庫額の把握を企業と一緒にしましたが、在庫が増えるだけで、減らなかったそうです。在庫の原因を分析せずに、減らし方を指導せずに、在庫が減れば楽ですね。有り得ないですが、 では金融機関の方はどのように、在庫の評価をすれば良いのでしょうか。最も良いのは、プロにお願いすることです。製造業なら製造業のプロのコンサルタント、小売業なら小売業のプロのコンサルタントです。プロが身近にいない方は、どのようにすれば良いのでしょうか。 1.商品点数を調べる 商品点数が多い場合は、棚卸資産が商品点数に比例して増加しています。 商品戦略を見直し、商品点数の圧縮を行ないます。 2.生産期間を調べる 生産期間の1/2乗に比例して在庫が増えます。すなわち、競合の2倍の生産期間であれば、 1.4倍の在庫量になるわけです。 3.棚卸資産表を作る 今の棚卸資産がいつから動いていないのか、調べる必要があります。 例外を除いて、1年以上動いていない棚卸資産は、全てお金にならない資産であると考えて下さい。 4.生産方式を調べる 生産数量に応じて、定期・定量などの生産方式を用いているか。 5.外注先 外注先の数がおおければ、仕掛かりが増える。また、外注先の入出庫管理をきっちり行なえているか。 6.生産の進捗確認 先入れ先だしを行なっているか。 7.生産ロットサイズの確認 出荷数と生産ロットの大きさが適正か。大きすぎる場合は在庫の原因となる。 8.段取り時間の把握 段取り時間が長ければ生産ロットサイズが大きくなる原因になる。結果として在庫が増加する。 他にもありますが、ざっとこのようなことをチェックします。 |
||||||||
|
ポイント6 企業再生が必要か 現在、国レベルでは、ダイエーの再生でもめていますが、地方都市でも中小企業の再生についてもめています。 先日、ある講演先にて、知人の経営者が噛み付いてきました。市場の合理性にまかせ、駄目な会社はそのまま破綻させるべきだということを仰っていました。その方が誤解してることもありますが、特定企業に対して、行政が関与することが公平性に欠けるという点が重要です。 まず誤解してた点としては、「中小企業の再生に行政が資金をつぎ込む。」「再生しても、駄目経営者はいずれまた破綻する。」という点です。まず、一つ目の誤解に関しては、再生計画の作成支援を行政が行ないますが、再生にかかる費用などはその企業が今後出す収益の中から捻出するため、行政がだす資金は少ないということを誤解していました。二つ目の誤解は、再生時にほとんどの場合が経営者の交代がある点です。 さて、公平性に欠けるという点ですが、例えば連鎖倒産の心配がある場合、健全な企業まで巻き添えをくうという点では、この企業を助けなければなりません。また、人口3万人程度の町で、従業員数200人の中小企業が破綻すれば、その家族を考えると700人前後の人が収入に困るのです。これは、この町の人口の2%を超えます。取引先も含めると、3〜5%の比率になると思われます。首都圏の方、大企業の方は、なんだ200人程度の会社か、と思われるかもしれませんが、この町にとっては雇用の維持という面でこの企業の存続問題は重要です。そのため、この場合も再生しなければなりません。 さて、連鎖倒産の心配がなく、雇用している従業員もほとんどいなければ、再生案件として、あがることはありません。企業の立場に立てば、同じ会社であるのに、対応が異なるのは公平性に欠けるとも考えられます。この場合、金融機関もそれほど貸出をしていないために、自然淘汰されることと思います。 私が判断できることではありませんが、キーワードは地域にとってろいうことになると思います。地域にとって必要な企業は再生させる必要があると思います。 |
||||||||
| ポイント7 ファンドを使う銀行を信用するな! ファンドを使った企業再生が主流になりつつあります。これは、金融機関が持つ債権を、その債務価格の数分の1程度の価格でファンド会社に譲渡する方式です。 譲渡により、金融機関は損をすることになりますが、全く返済されないよりは、少しでも現金に変わったほうがよいという訳です。何故そのようなことをする必要があるかというと、金融機関から金融庁に報告義務があり、ファンドに譲渡することにより不良債権の処理が進むために、そのような方法をとります。 以上で分かるように、ファンド会社を使うことは企業再生ではなく、金融機関の再生になります。その企業が再生案件となった、根本原因を分析せず、企業の課題を分析せず、具体的な改善計画も作成せずに、ファンド会社に債権を譲渡していれば、その企業は何も変わりません。また、債権は数分の1で譲渡されたとしても、企業の債務額は全く変わらずにあります。 ファンド会社の利用と共に、再生計画を立案する必要があります。再生計画を立案せずに、ファンド会社に債権譲渡がある場合は、その金融機関をあまり信用されないほうが良いと思います。 |
||||||||
| ポイント8 金融機関との信頼関係 企業再生現場に入って、時々「金融機関=敵」とみている経営者に出会うことがあります。敵というまで過激なものでないにしろ、金融機関と信頼関係が築けない経営者は、企業再生ができるものではありません。 確かに、過去から決算書に隠していた問題があるにしても、正直に金融機関の支店長に、まず相談するべきであります。私の経験上からお話しすると、少々大きな問題でも、企業経営者から支店長に誠実に問題をお話しすれば、その段階でベストなアドバイスをしてもらえているようです。一方で、隠し通そうとした場合、我々プロが決算書を見て、現場にでれば隠しきれません。 一つの事例として、多くの棚資産を計上している再生企業で、当初売れるものと解説していた棚卸資産が、実は売れないものであったということがあります。金融機関は棚卸資産が資産価値があるものとして、企業の評価を行っていましたので、評価をしなおさなければなりません。評価をしなおした結果、大幅な債務超過という結果になりました。 金融機関は、信頼関係の上で、企業と取引をしています。信頼関係が築けない経営者は、自然と淘汰されます。(2005.4.23) |
||||||||
| ポイント9.経営危機に陥った時どうすればいいのか 経営危機に陥ったら、まずは運転資金の確保です。そのため、金融機関とどのような関係を築くかが重要になってきます。前回記載致しました「金融機関との信頼関係」もそうですが、他に次のことが必要です。 1.資料提出を行う 2.具体性の高い経営計画を立案する 3.顧客別売上・部門別損益が具体性の高い経営計画に不可欠 4.不良性資産の情報開示を行う 5.経営者責任を明確にする 6.短期・中期・長期の経営課題と経営改善計画を立案する 簡単に書きましたが、経営者が個人的葛藤の中で、上記のことをしなければなりません。特に、4の不良性資産の公開は、怖いですが、いずれ表になることですので、金融機関の支店長を信頼し、早期に公開することが必要です。 (2005.7.29) |
||||||||
|
ポイント10 ファンド会社へ債権を譲渡する場合の問題点 今日は相当泥臭い話を書きます。 以前ファンド会社に債権を譲渡する金融機関は信用するなと書きました。講演でもその話をしたことがあり、金融機関の方からの反論もいただきました。一つのケースを記します。 ファンド会社に移行する前の、銀行の担当者は、明らかに逃げる姿勢がみられます。債権移動前に、金融機関から派遣されてきた担当役員が再生計画を作りましたが、あまりにもお粗末なものでした。公的金融機関も納得できるものでもありませんし、当の企業の代表者も納得できるものでもありません。何故そのような計画が出来たのか推測すると、「金融機関の担当者は債権移動の命令を受けている」「移動の時期についても上層部から指示がでている」「債権の移動にあたり障害となるようなことはオープンにしたくない」ということではないかと思います。また、ファンド側も金融機関の上層部と話ができているため、「ことを荒立てたくない」ということではないかと思います。 再生計画の何が駄目であったかと申しますと 1)不良性資産の内容・金額を明確にしていない 2)再生対象企業の外部環境を全く分析していない 3)再生対象企業の内部環境を全く分析していない 他にも、問題がありますが、この3点の問題は、非常に大きなものです。 次に、ファンド会社からコンサルタントが派遣されてきました。そのコンサルタントは、特殊な領域の専門家であり、「企業再生が分からない」と堂々と話す状態です。そのコンサルへの報酬は、再生対象企業から出されることになります。彼らは、銀行指導で作った再生計画に欠陥があると指摘し、再生計画の立案に着手しました。そこでも、どうも上記3つの事項が抜けているようです。まだ、この事例の結論はでていませんが、相当暗い結果に終わると思われます。 次回この事例からファンド会社に債権が譲渡される場合の対応方法を考えていきたいと考えます。 (2005年10月8日) |
||||||||
|
ポイント11 ファンド会社へ債権を譲渡する場合の問題点(2) 前回記載しました事例から、ファンド会社に債権が譲渡される場合の対応方法を記します。 まず、基本的に企業の経営者やスタッフが、自ら勉強し、自らの力で切り抜ける意思が必要です。残念ながらこの案件は、再生支援協議会などの公式な機関を通して依頼がきたものでなく、前述の経営者とスタッフが自らの力で切り抜ける意思がないと判断し、現在私は手を引きつつあります。 自らの努力以外にどのようなことが必要か考えると、よいアドバイザーを得ることも重要です。再生に入っていること、前回記載したファンド会社の問題点を考慮すると、残念ながら以前のメインバンクと、ファンド会社は信用ができません。そのため、それ以外にアドバイザーが必要です。そこで最も重要になるのが、会計事務所の存在です。今利用している会計事務所からアドバイスがいただけないのなら、直ぐに会計事務所を変更する必要があります。また、再生支援協議会に訪問し、アドバイスを求めるのもよいと思います。 もうひとつ、政府系金融機関と取引があれば、政府系金融機関からアドバイスをいただくのもよいと思いますが、あまり細かなフローは期待しないほうがよいと思います。いずれにしても、自らの努力が不可欠です。 (2006年4月15日) |
||||||||
|
ポイント12 財務評価 企業再生で私と並行して、監査法人から財務評価をしていただいた経験が2回あります。その2回の評価の視点が全く異なっていたことに驚きました。簡単に言うと、一つは企業を継続して運営することを前提に財務評価をしていますが、もう一つは企業を売却することを前提にして財務評価をしています。経験がある方は、おわかりになると思いますが、この2つの視点の違いは企業価値が全く異なる結果になります。例えば、生産を終了した製品で保守部品を持たなければならない場合がありますが、企業を継続して運営する視点では、適正な数量の範囲内であれば、優良な資産となります。その保守部品の供給が赤字であるか黒字であるか関係はありません。保守を約束して製品を作っているため、その約束は重要な企業活動です。しかし、企業売却を前提とした場合、保守部品の供給が儲かればよいですが、儲からなく、いつ出荷されるか分からない部品の供給は価値がないと判断されます。その結果、保守部品は不良性資産と判断されます。 重要なことは、財務評価の前に、その企業を存続させて運営できるかどうかの判断となります。残念ながら、私の知る限り監査法人は、企業の存続を見極めることができませんので、再生に関わるほかの方がジャッジせざるを得ません。(2006年12月8日) |
||||||||
| ポイント13 経営者の心理的な側面の支援 再生業務に楽なものもありますが、相当厳しいものがあります。支援している私自身も「駄目か?」と思うことがありますが、ギリギリの状態で切り抜けることが度々あります。神仏を信じるわけではありませんが、経営者に「お墓参りには行ってください。」と時々話します。やはり目に見えないものが働くことがあるのかもしれません。 再生の初期段階で、経営者の体調が思わしくないようになることが、よくあります。お酒を飲まれる方は、お酒の量が増え肝機能が低下したり、精神的に不安定になったり、睡眠不足から体調が悪くなったりするようです。このギリギリの状態で、我々支援者は、経営者の精神面の支援を行う必要があります。私の場合は、一緒に怒り、笑うことが良いと考えています。他に良い方法があれば、どなたかか教えてください。怒る場合で、時々演技もします。不安定な状態で怒れない経営者のために、従業員を叱ったり、金融機関を交えた会議でわざと不機嫌になったりします。また、ヒステリー状態に経営者がなったときは、なだめなければなりません。 顔色を伺うという言葉は適切でないかもしれませんが、常に相手の目を見て話し、相手の心理状態を考えながら行動することが大切です。 (2007年4月1日) |
||||||||
| ポイント14.再生業務を知らない金融機関 金融機関の支店によっては、再生支援対象企業を上げることが悪であるように思っているところがあります。この場合、金融機関の支店内で処理を済ませようとして、本店の審査役にまで案件をあげないことがあります。本店の審査役は再生支援の経験があるため、スムーズに進めることができるのですが、支店長レベルでは知識も経験もないため、かえって企業にとってマイナスのことを行う場合があります。 具体的に言うと、企業が再生に陥った根本原因を探らないため、根本的な原因が分からずに見掛けだけの金融支援を行い、企業の業績を悪化する場合があります。また、企業経営者に再生計画を作成させ、金融支援を行う場合がありますが、再生にまで企業業績を落とし込んだ経営者が満足なプランが作れるはずがありません。また、コンサルがついたとしても、そのコンサルの実力を金融機関側と企業側が判断できないために、コンサルにお金だけ払って、再生計画が出来ない場合があります。これらは、実際にあったことです。 さて、あなたが金融機関の支店の人間であれば、早めに本店の審査役に案件を回した方が適切です。あなたが、企業経営者で再生業務を知らない支店が窓口の場合は、地元の再生支援協議会を訪れてください。 人の力を頼ることも、必要であると考えてください。(2007.5.6) |
||||||||
| ポイント15.自信を持ち心を鬼にする 企業再生計画を作り、アフターフォローを実施していると、従業員や役員の中で、企業の建て直しに協力的な方と非協力的な方が必ずでます。この非協力的な方をそのままにすると、再生の足を引っ張ることになる場合が多いようです。問題社員をその場で、適切に処罰する。文章にすると簡単なのですが、経営者はこのような教育を受けていることはありません。また、自ら行っている再建にも自信が持てないでいます。その状態で、処罰に踏み切ることは、後ろから背中を押してあげる人が必要になります。支援者は、心を鬼にし、良いことは良い、悪いことは悪いと社員に伝える必要があります。 さて、処罰の与え方ですが、単なる失敗に関しては、顛末書を提出させます。中小企業では顛末書と始末書の区別をつけていない場合が多いようですが、顛末書では謝罪の必要がなく、問題の共有化を図るため、事の顛末を報告します。次に、意図的に問題を起こした場合や、社会常識的に反する行動を行い問題を起こした場合は、始末書を作成させます。始末書は、反省文であるだけでなく、問題社員を解雇するときの証拠にもなります。企業再生に取り組む中で、外部環境の変化などで再生計画を修正する場合が生じます。そのときに、優良な社員を辞めさせ、問題社員を残すと規律が保てなくなります。そのために、問題社員から真っ先に退場してもらわなければなりません。退場していただくときに、始末書の枚数が有効になります。 もう一つ、罰だけでなく賞も与える必要があります。お金で賞を与えられれば良いのですが、そのようにはいきませんので、「全体の会議でその人ではなく、その成果を徹底的に褒める。」「組織変更のときに、より重要な仕事を任せる。」などを行います。(2007年6月1日) |
||||||||
| ポイント16.経営責任(1) 企業再生計画が完成する直前に、経営責任が必ず問われます。おそらく、この経営責任の取り方、考え方が様々な形があると考えます。立場によって、経験によって、責任感によって、捉え方が異なります。そもそも、経営責任とは何故必要かということを考えると
4の金融機関の担当者の項に、多くの方が違和感を感じると思いますが、実際これが理由とされているケースが多々存在すると感じています。1の社会的なケジメがもっともらしい理由のように感じますが、私の経験を分析すると2〜4が、主な理由であると考えます。 今まで携わった経験から、今後少し経営責任について述べたいと考えます。 (2007年7月2日) |
||||||||
| ポイント17.経営責任(2) 経営責任のとり方の最も一般的なケースが、経営者交代になります。この場合、息子など血縁者がいれば、スムーズに対応できますが、居ない場合や、後継者がまだ若い場合など問題が生じます。 一般的に役員は、債務の保証人になります。再生規模が大きな企業の場合、血縁関係でない者に保証人までさせることは困難です。 次に、育ちの問題があります。日本の教育課程は、勤め人として優秀な人材の輩出はできますが、優秀な経営者の輩出はできません。そのため、経営者は学校教育を受けている段階で後継者教育を行っています。いわゆる帝王学になります。機会があれば詳しく述べますが、サラリーマンの家庭や公務員の家庭では、帝王学の教育を行っていないため、経営者が育成できないことになります。大企業のようにスタッフがそろっていれば可能ですが、中小企業の場合一般の家庭で育った者に経営を行わせることは困難です。 これらのことにより、血縁関係の者がいる場合、経営者交代により経営責任の明確化が可能となりますが、居ない場合別の手段を探さねばなりません。次回はこの別の手段について述べたいと考えます。 (2007年8月21日) |
||||||||
|
ポイント18.適正な役員数への転換 再生計画を作り、再生に向かう段階では、意思決定を早くするために、役員は最小限が良いと思いますが、ある程度出口が見えた段階で、適正な役員数への転換が必要になります。どれぐらいが適正かというと、難しいところですが、製造業の場合は感覚的に次のようであると思います。 売上 5億円 2名(社長と後継者) 売上 10億円 3名(社長、営業系役員、技術系役員) 売上 20億円 4名(社長、営業系役員、技術系役員、総務経理系役員) 売上 30億円 5名以上(社長、各事業部責任者、総務経理系役員) なぜ、適正な役員配置が必要かというと、再生から立ち直った褒章的なもの、指揮命令系統の見直し、より高度な専門的な経営を行うため、再生に陥った過去を振り返り同族性を排除するためなどが理由になります。中小企業で本来、同族的な経営は悪いことではありません。しかし、再生対象企業となった経営体質の企業では、徐々に同族性の排除が不可欠です。それがなければ、また以前の体質に戻る懸念があります。 (2008年4月19日) |
||||||||
|
ポイント19.人間関係を読む 製造業は部署の数が多く、人も多いため、人間関係が複雑になります。特に再生対象になっているということは、指示命令系統、連絡・報告・相談体制、などが相当混乱しています。この状況を立て直すためには、規律の回復が不可欠です。例えば、売上の低下に歯止めがかからないというケースがありました。状況確認を行うと、営業の組織を何度も変更し、営業マンと経営者間の信頼関係が希薄に成っていました。経営者を信頼できない営業に、企業業績への貢献を行えということに無理があります。信頼関係がないところに、動機付けはできません。 人間関係を読むとは、組織の建て直しのためのキーマンを見つけることになります。私の経験上、組織の建て直しのキーマンはその組織のたたき上げの人物、質問に対して適格な回答をだせる人物、地味であっても組織の中でコミュニケーションができている人物になります。決して、外部から引っ張ってこないことです。次に、今までの仕事のやり方の問題点を探し、その問題点に関してキーマンと情報交換し、キーマンに任せることです。コンサルの役割は、キーマンが動き易いように、後方支援を行うことです。 (2008年6月7日) |
2004.5.08 中小企業診断士中村公事務所