中小企業診断士からみた上海・蘇州視察記

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 2002年に1回、2003年に4回、2004年に5回、2005年に2回、2006年に3回、2007年に4回行きました上海・蘇州・杭州をご紹介します。
 中国進出企業が増加し、上海視察、蘇州や無錫などの江蘇省、杭州や寧波などの浙江省、華東地域の視察企業が増加しています。これらの視察でみること、聴くことが、正しいのかと考えれば、視察団のメンバーが今ひとつ物足りなさを感じていると思います。中国人と仲が良くなるにつれ、彼らの回答に嘘を感じることがあります。視察した情報が正しいかどうか検証することなく、中国進出をして苦労をしている企業もあります。これらの日系企業のために、私が自分の目で見て、耳で聞いてきた情報を掲載しています。参考情報として、活用していただければありがたいです。上のほうの情報が古く、下の情報が新しいものになっています。

2008.5.24更新


外白渡橋からみた風景

 さて、最初に後日談をお話しします。
 ご存知の方も多いと思いますが、燕と三条市が、県に上海事務所の要望を出されたらしいです。診断士の立場としてみた場合、これは最も適切な要望であると考えます。今、中国市場は無視が出来なくなるほど大きくなり、それを支えているのが、北京地域と上海地域と香港地域になります。その市場を得るために、県の事務所設立を要望するのは、当然のことだと思います。
 ところが、県の方何人かとお話をしていると、上海に関する知識が講演会などを通して得ているもので、偏った情報と5年前ぐらいのイメージしか持ち合わせていないのに驚きました。もう一つ新潟県は大連に事務所があるのですが、ここは金属関係の生産拠点として良いのですが、マーケットが小さすぎるのです。私がお会いする県の方は、どうも大連に拘っているようであり、上海には興味がなさそうです。
 話が前後しますが、講演会が何故偏った情報かというと、講演されている方が、「中国マーケットを視点にして講演されているか、生産拠点に視点を置き講演しているか。」「どの地域の話をしているか」「どのレベルの方とお付き合いをした情報なのか」「その統計データがどのようにして算出されたのか」「講演者が経済的な知識をもっているか、経営的な知識をもっているか」などによって全く内容が異なるからです。日本は狭い地域で、社会階層を持たないことから、日本人には理解しにくいのですが、中国ではいろいろな切り口で物事を見ていかなければいけないということです。そのため、講演ではなく、「百聞は一見にしかず」ということで、視察をお薦めします。

 中国語のホームページにチャレンジ始めました。
http://homepage2.nifty.com/n-shindan/index.htm
 少しずつ、ページを拡充しますが、このページを見るためにはインターネットエクスプローラの中国語をダウンロードしなければなりません。
チャイナドリーム

 今から30年ぐらい前、マクドナルドが銀座に初めて出店してから、現在は日本全国にマクドナルドを見る事が出来ます。これは、日本一の繁華街の銀座で人目に触れることにより、他の都市にも出店する機会を得たということと、高度成長に乗って東京の文化が地方に移ったということであると考えます。
 同じような状態が現在の上海であります。小売業、飲食業の上海での成功が、5年後、10年後に中国全土での成功に繋がることを予測して、多くの外資が投入されています。
 南京路には、マクドナルド、吉野家、ユニクロ、日本式ラーメンチェーンなどが見られ、ユエン(観光地)では、中国式の建築物の中にケンタッキー、スターバックスコーヒー、モスバーガー、回転寿司などが見られます。
 これは、小売業に限ったことだけではなく、製造業においても同じ事がいえます。ドイツのサスペンションメーカーのサッカスは、上海にモデルラインを構築し、今まで取引が出来なかった自動車会社と上海で取引を行なっています。この上海での取引の成功は、中国全土に限らず世界中の同系列自動車メーカーとの取引ができる可能性ができたということになります。
 これら、チャイナドリームは企業に留まらず、多くの定年退職をした、又はリストラにあった日本人を呼び込み、上海で3カ月間ブラブラし、創業の機会をうかがっているそうです。
上海の中小企業問題

 本年1月6日の日本経済新聞に世界流通大手の中国進出について、書かれていました。ご覧になったかたも多いと思いますが、序文だけ抜き出すと
 世界流通大手が中国進出を競っている。上位50社のうち既に米ウオルマートストアーズ、仏カルフール、独メトロ、イトーヨーカ堂、イオンなど7割が進出。規制緩和を追い風に、急成長する消費市場の開拓を狙う。
と書かれています。
 上海にも、カルフールができており、カルフールなど大型店が進出すると半径1.5kmの小売業が全滅しているそうです。大型店の登場から、大型店同士の価格競争が始まっており、そのあおりを受けて昔からの小規模店舗が閉店しているそうです。
 日本でも、中心商店街の問題が取り上げられますが、上海では、全く無防備であった小売業が大手小売業のいきなりの登場により苦境に陥っているようです。
上海の労働者

 日本の著名な方の講演で、「中国の一人っ子政策で甘やかされて育った若者が、そろそろ社会人になりはじめ、かれらが中国を駄目にする。」という中国崩壊論を言われていました。本当に、そうなんでしょうか?講演に限らず様々な著書で脅威論、崩壊論なんでも出てきますが、決して誤りではありません。でも、ある意味では正しくて、ある意味では誤りのようです。どんな、素晴らしい講演でも、どんな本を読んでも、その内容と違う世界が中国にあるのです。その理由の推測は後日にするとして、唯一正しい内容は、「中国人は謝らない。」だけかもしれません。
 一人っ子政策世代が甘やかされているか、中国の労働者の観察内容を報告させて頂きます。
 工場の労働者は、地方の農村から来ており、社会的階層が低い農業労働者階層から、生産労働者階層の戸籍を得るために、懸命に仕事を行なっています。農業労働者階層の教育水準が低いために、企業の教育費用がかかりますが、一旦覚えた仕事は一生の仕事として頑張ります。
 商業の労働者は、専門学校(高卒程度)を卒業した上海周辺地域出身の労働者であり、18歳で卒業後上海で職を得ています。専門学校の例として、調理師などがあります。
 ある商業労働者階層の例を示すと、卒業後、試用期間を経て上海で職を得ると同時に両親が引退して働かなくなっています。両親への仕送りは毎月2000元程度であり、それを稼ぐために昼と夜の仕事を行ないます。彼らの生活費の詳細はわかりませんが、彼らの所得が、1000〜1500元であることを考えると、昼と夜の仕事をしても、1ヶ月3000元も稼げないと考えます。そのほとんどの所得を両親に送っていると考えられます。彼らがする食事は、1食1元程度のようであり、自らはそれほど裕福な生活をしていないと考えます。
 住居は、日本のアパートのようなものだと思いますが、2部屋に、同世代の友人が3人ぐらいで同居しているようです。その同居の中でも上下関係があり、年上が兄・姉の役割をしています。また、一人っ子政策が始まった世代である20歳以下の世代でも兄弟がいることがあります。この点を聴いた所、「罰金を払えばよい。」と簡単に説明していました。
 ようするに、一人っ子政策がどこまで浸透しているかが問題であり、決して全てが一人っ子ではないということです。また、労働者階層を見る限りは甘やかされていないようであり、日本人が希薄になりつつある上下関係も存在しているようです。
南京余談

 2月23日のニュースで、「中国・南京がイメージ転換図る」というものを見ました。南京市は蘇州市と同じ江蘇省にあるのですが、歴史的な問題により日本人からのイメージが非常に悪いようです。私の知人でも「中村さん、南京だけはやめた方がいい。あそこは日本人に冷たいですよ〜。」と言われる方がいます。
 本当にそうなのでしょうか?南京には行った事が無いので、分かりませんが、南京出身の若い世代の方とお会いした時に、特別日本人に悪い感情を持ち合わせていないように感じました。さすがに、歴史的な問題の話をその方に聞けなかったですが、はたしてどうなんでしょうか。南京にビジネスで行かれた事がある方がいらっしゃれば、教えて頂ければありがたいです。
 そんな南京ですが、日本企業が進出していない訳ではなく、進出企業があります。前述のイメージ転換は更に日本企業の誘致を促した意図だと思います。
 南京進出で有名な企業はシャープですが、JETROの資料では37社ぐらい進出しているようです。但し、上海から4〜5時間かかるため、上海から日帰りできる蘇州に比べて進出企業数が半分以下のようです。
 それでも進出企業があるということは、相応なメリットがあるはずです。やはり、現地に出かけて実際を見なければ分からないものかもしれません。

蘇州概要
 上海から車で1時間30分程度で行ける距離に蘇州があります。観光でも便利なように、ビジネスでも便利な条件です。私が視察を行なったのは、蘇州工業園区というところであり、中国政府とシンガポール政府の特別開発区です。
 特別開発区の話は、次回にするとして、蘇州全体の話をさせて頂きます。蘇州は呉の国の都であった都市で、三国志では孫権の国になります。三国志を読まれた方は、よく分かると思いますが、水路が多く水路に沿って柳が植えられている美しい町並みです。昔の新潟もこのような感じであったかもしれませんが、蘇州はまさに水都です。蘇州の姉妹都市の一つが金沢市であり、金沢にならって、昔の町並みを残し景観を活かすために、建築規制を行なっています。
 蘇州は、上海から近いというだけではなく、「上海−蘇州−無錫−南京」という陸上交通の通過点にあります。電機・電子関係の方は、よく聞いた事がある地名だと思います。仮にこれを「家電ロード」と呼ぶと、上海には全家電メーカー、蘇州には三洋電機・松下、無錫には松下・SONY、南京にはシャープと連なっています。また、「エレクトロニクスロード」と呼ぶとなると、蘇州に日立製作所・TDK・日本板硝子・村田、無錫に東芝・アルプスなどが加わります。
 日本の経済を引っ張ってきたエレクトロニクス産業がこれだけこの地域に出ていることは、日本の富をこの地域が相当吸収したことになります。香港を中心とする華南にも進出が多いので、華南と上海周辺の華東を下記に比較します。
(中国進出企業地図;稲垣清著より)
<華東に進出している電機機器製造業>
 上海  111社
 江蘇省 67社(蘇州、南京、無錫、南通、常州、昆山など
<華南に進出している電機機器製造業>
 香港   29社
 広東  137社(珠海、深セン、広州、など


蘇州工業園区の風景
 この蘇州の中国国内における地位を見た場合
<外資導入順位>
 1位 上海
 2位 蘇州
 3位 天津
 4位 広州
<国内総生産>
 1位 上海
 2位 北京
 3位 広州
 4位 深セン
 5位 蘇州
 6位 天津
蘇州工業園区 

 視察に行ったのですが、又聞きの話もあり、少し間違っているところがあるかもしれないところがあることをご容赦お願い致します。
 まず、蘇集には当初シンガポール政府との共同の開発区があり、それが現在の蘇州工業園区に繋がっています。シンガポールと言っても華僑の国なので、現地政府とのやりとりがスムーズであるのかもしれません。例えば、日本とシンガポール政府が共同に開発した工業団地が日本にあったと仮定して、日本がシンガポールと日本以外の企業にも工業団地を開放するとなると、外交問題になると思います。それを現在蘇州工業園区で行なっているのですから、華僑が凄いのか、中国が凄いのか、いずれにしても我々日本人には真似ができないことです。
 現在、工業園区には、シンガポールの企業が4%、日本の企業が10%、ヨーロッパの企業が25%、北米の企業が31%となっています。(2002年11月訪問時の資料)日系の企業としては、2002年10月まで103社、総投資額が12.9億ドルになっています。主な企業としては、富士通メディア、日立半導体、日立ディスプレイ、日東電工、YKK、アドバンテスト、ミツトヨ、TDK、住友ベークライト、クボタなどです。これらの企業から分かるように、進出企業の61%が電子電機です。(日系以外も入れて)もう一つは、食品の企業が5%程度ある点も特筆すべき点であると思います。これらの電子電機、食品の企業が進出している背景として、インフラ整備が進んでいる事以外に、水の問題があります。豊富な水資源と、比較的良好な水質であることが、これらの企業誘致に成功している要因の一つであると思います。
 それ以外に投資を誘っている背景としては、上海まで60分と近いこと、人件費が上海の2/3程度であること、インフラ整備が整っていること、税制などの優遇措置を受けられることが挙げられます。
蘇州工業園区(2)

 蘇州工業園区のイメージは日本人ではなかなかつかないと思います。園区は日本人の工業団地づくりのイメージではなく、都市づくりのイメージです。園区には、工業団地以外に、文化地区、コンベンションセンター、ホテル・商業地区、住宅地区を備えて、大きな都市になりつつあります。4月3日に訪問したときは、温水プールが出来ており、その施設内の日本料理店で昼食をとりました。近い将来に、温泉施設も作りたいらしいです。
 さて、4月3日の訪問で蘇州工業園区の特徴ができたように感じました。ハイテク工業団地という印象がより強くなり、半導体とLCDを中心とした工業団地になりつつあります。
 近年、蘇州が日系企業に人気があるといわれていることも、実感しました。昨年の11月であれば、蘇州−上海は高速道路で50分で行けましたが、今は1時間20分ほどかかります。それだけ、人が動き、物資が動いていることになります。
SARSに関して

 SARSに関して、中国政府は思い切った動きを取り始めています。映画館などの娯楽施設を閉鎖しているとの情報が流れていましたが、その内容を日本のマスコミは報道しません。報道するのは、感染者の数と、マスクをしている人々です。もっと、判断できる情報が欲しいと思っています。

 さて、上海の友人に確認したところ、4月の末あたりから、映画館どころか全ての娯楽施設が閉鎖されているようです。カラオケスナックも当然ですが、レストランも一部閉鎖されているようです。その閉鎖は、経営者の判断で行なっているのでなく、公安が来て、「今日から当分閉鎖しなさい。」と指示をしているようです。経営者はいつから、営業を開始していいか分からず、とにかく公安が「良い。」と言うまで待たなければならないようです。ホテルも必要以上の営業を控えており、一部の商業・ほとんどのサービス業の従業員が自宅待機をしているようです。上海の労働者は近郊の農村・都市から来ているため、実家に帰っているのかと思えば、帰ることもできずに、ただテレビを見て待っているようです。

 さすがは、社会主義国と関心しますが、上海は北京のようにならないという意気込みと、短期間で終息させるという中国政府の意気込みを感じます。

 さて、何故北京が流行して、上海であまり流行していないかとういうことですが、私の推測では経済圏が別であるためと考えています。広州は香港の経済圏であるため、広州の流行は容易に香港に広がると考えます。また、北京は中央になるため、香港から人が行き来するため、伝わっていったと思います。但し、上海は香港と別の経済圏になるため、香港から北京やシンガポールなどを通してからでないと入りにくいと考えます。そのため、北京に先に広がって、そこから学んで上海は上陸を阻止していると考えます。
 一方、そこまで危機感がなかった台湾に今急速に広がっていると考えます。
 上海のSARS 5/3時点累計報告者数=2人、疑わしい数=15人
 台湾のSARS 5/1時点累計報告者数=89人、疑わしい数=不明

 現在、上海に日本人がどれだけ残っているか不明ですが、4月末に大半が帰国したと思われます。
 SARSによる、ビジネスの影響が出始めているようですが、日本企業が必要以上に過敏になっているようです。例えば、機械部品であっても、部品梱包時に感染者の飛沫が入っている可能性があるということで、梱包を空けないらしいです。

日本企業のSARS対策
1.正しい情報を入手する
 取引先がある地域の感染情報を日々確認する
 中国取引先に感染者が発生した場合の連絡体制を明確にする
 中国取引先のSARS対策を確認する
2.資材調達
 自社在庫量を確認する
 中国取引先の生産状況を確認する
 中国取引先の資材調達状況を確認する
 中国取引先の資材保有量を確認する
3.販売計画
 SARS終息時期にを予測し、それによる販売計画を修正する
SARSに関して(2)

 SARSに関して、当事務所ホームページを通じて、多くのメールを頂きましてありがとうございます。SARS対策は、こちらのページに記載しています。
http://homepage2.nifty.com/nakamurakimiya/shanghai.htm
 このたびのSARS(2)については、ホームページで情報公開しておりません。メールマガジンのみの公開です。
浙江省と農業問題

 上海から南にある浙江省蕭山に仕事で立ち寄りました。蕭山は上海から車で2時間であり、上海から南西に杭州まで行き、東に戻るような形で杭州と紹興の間に位置します。
 浙江省方面は、上海から蘇州に向かうのに比べて路面が悪く、快適な旅であるとは言えません。但し、工事が行われているため1年も経てば相当改善されると考えます。そのため、蘇州より進出企業数が少ないが、上海への物流の将来性を考えれば、進出には一番良い時期かもしれません。
 上海から浙江省に向けて、田舎風景が広がり、この時期(3月末)だと至る所に菜の花が植えられています。また、畑の所々をビニールで囲っており、チンゲン菜などを作っています。(上の写真は、蕭山に向かう高速道路から撮影した菜の花畑;畑の向こうに裕福な農家の住宅が見える)
 最近中国の農業問題が指摘され、中国北部の痩せた土地の農業の低生産性が、今後の中国を左右するといわれています。一方で、湾岸地域の肥沃な土地で、農業を営んでいるところは国際競争力があるといわれ、この浙江省に向けての旅でその事実がうなずけました。江蘇省の実家で農業を行っている友人に確認したところ、「なんでも作っている。」との回答がありました。中国風のオーバーな表現と思い、詳しく作物を聞いてみると「米、とうもろこし、枝豆、ナス、油菜(菜の花)、黄瓜(キウリ)、西瓜(スイカ)など」です。
 中国との「椎茸、葱」の農業問題が記憶に新しいと思いますが、これは山東省からの輸入であり、南の肥沃な温暖な地域からの農産物の輸入が近い将来考えられます。それも、商社を通さずにくる、無農薬・低農薬の野菜です。これが、ユニクロの狙っているところだと言われています。上海から蘇州に向かっていくときに高速道路沿いに、大きなユニクロの調達基地が見られます。

診断士の視点
 新潟県は対中国で、工業面に意識を集中させすぎであり、農業など幅広い経済を考えるべきです。特に、経済統合に向かって自由貿易が加速する中で、江蘇省、浙江省などの温暖な地域から、安全で低価格な農産物の輸入が予測されます。

農業については7月の中国訪問時に調査してきます。
 前回農業問題についてご紹介致しましたが、7月2日〜5日に農業関連の追加調査に向かうことになりました。まだ、明確になっていませんが、スポンサーが付いた場合、ここでご紹介することができなくなってしまします。

 さて、このたびは、自動車事情についてご紹介します。
 昨年11月から5ヶ月経過した時点での訪問ですが(4月訪問)、まず最初に感じたのが自動車事情です。自動車の交通量が増えた上に、車種が多彩になったようです。昨年11月はフォルクスワーゲン・サンタナが圧倒的に多かったようですが、トヨタ、ホンダ、日産、アウディなどが増加したように見受けられます。また、ベンツなどの高級車も見られます。
 上海市内の道路工事が減少しましたが、郊外にでれば工事が多く、凸凹が気になります。また、女性ドライバーもみられ、若い女性ドライバーに引かれそうになりました。
 これら自動車は高額所得者に限らず、庶民も長期ローンで購入しているようです。データの出処は分かりませんが、通訳の話では120人に1人の自動車保有であるそうです。また、中国でも若葉マークが存在し、大半が若葉マークのようです。
 交通マナーの悪さで有名な中国でしたが、少しずつ改善が見られるようです。小学校では、交通教育が始まっており、北京オリンピック、上海万博に向けて政府指導のもと交通マナーの改善を図っています。

診断士の視点
 自動車市場の成長が話題になっていますが、道路標識、街燈などの整備が進むためそれらの市場の成長もあると思われます。また、自動車搭載工具などの市場も成長します。

ホテルの部屋から撮影した交通事情
交差点の途中で自転車・バイクが止まり、バスとタクシーの間をすり抜ける機会を伺っている。
 7月2日から7月5日の強行スケジュールの上海から戻って参りました。
 帰国報告を兼ねて、SARS後の中国をご紹介致します。
 いつもながら、今回も水田さんの所
http://www.mzz.co.jp/
にお願いし、チケットを手配していただきましたが、今回のホテルの上海国際機場賓館は、なかなか良かったです。ほとんどのスタッフが片言の日本語が喋れること、浦東空港から直通バスでノンストップ(約1時間)で着くこと、料金が安く、中国ホテルにしては従業員の教育がしっかりしていることが挙げられます。そのため、日本人ビジネスマンが良く利用しているようです。但し、観光向けではなさそうです。
 このホテルのSARS後の稼働率が現在50%程度だそうです。そこから、日本のビジネスマンの中国での活動状況が推測できます。
 さて、SARS後の中国ということですが、今回も私の中国イメージが覆されました。行きの成田からフライトで(新潟便は運休中です)、1〜2割しか席が埋まっていないこと、5月に1ヶ月間上海の飲食店などが閉鎖されていた事前情報などから、上海経済の停滞を予測していたのですが、以前(3月末〜4月初旬)の活気のままであることに驚きました。
 私の頭の中で、中国は日本の経済圏に組み込まれていると考えていたのが、あさはかな考えであり、もう既に上海は、一つの大きな経済圏の中心であるといえます。そのため、日本人の来客が少なくてもスナック、ホテルなどの一部業種だけの影響であり、他は関係がないのかもしれません。
 ほとんど心配がないSARSを懸念して、商談を中断している日本企業は、今後の挽回がたいへんでしょう。関係がない方は、関係がないでしょうが、、、
 2日間の活動で、台湾人のちらほら見かけています。
 中国は、SARS勝利で更に自信をつけたと思います。但し、張りぼての自信がところどころに見受けられることがありますが、、
 今回の訪問は農業調査であり、ご希望の方には後日レポートをお送りします。
夏の上海

 夏の上海は、日本人ビジネスマンには相当厳しい環境です。気温が高いだけでなく、湿度も高いようで、日中はあまり出歩けません。中華料理が大丈夫な方は、まだましですが、あまり中華料理が得意でない方は、夏バテに気をつけなければなりません。
 とりあえず対策として、「帽子をかぶること」「日中はタクシーを利用すること」「日中の外出を控えること」があげられます。ホテル内は涼しいのかというと、やはり昼間はエアコンの利きが悪くなり、少し暑いです。
 上海市内の一般家庭でもエアコンの普及が進んでいるようです。新しい集合住宅で普及しているだけでなく、大通りに面した古い住宅でも、室外機を見る限り3割ほどエアコンが普及しています。また、スーパーマーケットでは、扇風機が多く並んでいます。日本の扇風機のような感じではなく、もう少し頑丈でパワーがありそうです。
 ここよりも、更に暑いといわれる「南京」「重慶」などの3大釜の中はどれくらい暑いのか考えると、ぞっとします。
歴史認識
 難しい問題に触れなければなりませんが、歴史問題は中国国内の地域により社会階層によって、相当違うようです。
 一方で、日本人の中で多くの方が、中国人が日本人に悪感情をもっていると思われています。南京余談でも書きましたが、私の知り合いの南京の方は、日本人に特別悪い感情を持ていません。また、一部のエリート階層の方を除いて、庶民は日本人のことを悪く思っていません。南京出身の友人に、歴史問題を尋ねてみました。
 「教育課程で、歴史上の日本人について教えられている。かといって、我々が特別日本人が嫌いだと言う訳でもない。それは、我々の親の世代でも同じである。」という、回答が得られました。

外灘歴史記念館前の壁画
 2度ほど、使った事があるホテル「上海大厦」からガーデンブリッジを渡ってすぐのところに、「外灘歴史記念館」があります。そこには、100年程度の歴史的な写真があります。中国語と英語の記述があり、語学が弱い私には書いてあることがよく分かりませんでしたが、上海の歴史の中で日本人が関わっていたことが分かります。ただし、残念なことにそこを訪れる人は、欧米人ばかりであり私が訪れた時には日本人は1人もいませんでした。
 歴史を理解すること、それはビジネスにとっても重要であります。
 もっと、詳しく学びたい方は、下記図書をご一読ください。非常に良い本です。
 北京大学 超エリートたちの日本論 工藤俊一著 講談社
LOTUS SUPERCENTER (易初蓮花)

 LOTUSはシンガポール系のスーパーマーケットです。2003年3月に、出来立てのLOTUSに行っていました。また、7月にも、別のLOTUSに行きましたので、上海市内に何箇所かあると思います。上海市内の大型ショッピングセンターとしては、このLOTUSとカルフールになります。カルフールも何箇所かあります。
 このLOTUS、カルフールともに、無料送迎バスを郊外に走らせ集客を図っています。市内から離れた農村の家族が、休日に無料で上海市内観光ができるということです。これが、効果があるようで、観光のついでにLOTUSで買い物をするそうです。
 LOTUSでは、地下に1300台ほどの無料駐車場をかかえており、中国が車社会になってきたと同時に、中小小売店の衰退を感じます。LOTUSは、巨大な売場の中に、大きなパッケージの商品を多数ならべ、販売しています。販売単位は、小さくても500グラムのパッケージです。おそらく、週末に来て多量に買っていくのだと思います。
 生鮮食料品は、LOTUSもカルフールも弱いようです。本、自転車から、蛙・スッポンなどの生きた食材まで何でも売っていますが、食料品は日持ちがするものを中心に販売しています。その理由として、生鮮の仕入ルートが弱いことと、生鮮食料品は市場の力が強いためのようです。 
蘇州工業園区に進出しているN社の事例

 N社は、設備産業に属する中小企業であるが、進出の背景は国内の取引業者の将来性がないことである。N社の取引業者は、N社より小さい会社であり、N社以外の仕事の受注が減っており、近い将来N社以外の仕事がなくなった場合、おそらく大半が倒産するであろうと考えられる。そのため、将来を見越し中国で部品が調達できる取引業者を探す必要があると話していました。
 この事例は特殊であると考えるが、今後似た進出動機で中国に来る企業があると考えます。

診断士としての視点
 少し準備不足で進出しているように感じる。自社の得意としている製品・技術の中国での市場性や、中国の加工メーカーの実力の把握が不十分であるように感じた。視察を重ねるうちに、中国企業でも品質を維持するために、自社で部品から一貫生産している企業が多く、下請け企業を使うには品質上の問題があるという実態を多く見ている。そのため、N社においても部品からの一貫生産を行なわなければならないかもしれない。その時、今の進出体制と大きく異なり、計画を根本から見直さなければならない。
ビール戦争とビール会社の視察(1)

 2003年9月に訪問した時点で、聞かされた話で「サントリーが上海のビール市場の50%を獲得した。」という話があります。50%が事実かどうか確認していませんが、私が行くようなレストラン(上海の中流階級以上がいく市民のレストラン)に行っても、サントリーを注文する人が多いようです。2000年頃の上海ではビールよりも、白酒、紹興酒が多く、それも暖かいビールが出てきたのですが、今は圧倒的に冷たいビールです。地元のビール会社は姿を消しているようであり、青島、サントリー、アサヒがシェア争いをしているようです。
 サントリーの戦略はというと、味を中華料理に合うように変えているのと、バドガールならぬサントリーガールが比較的大きなレストランにいて、「サントリービールは如何ですか?」と勧めていることにあります。

蘇州にあるニュージーランド系のビール会社
 2002年11月に視察に行った報告になります。このビール会社が蘇州に進出した背景は
1.水に恵まれ、水質が良いために、蒸留コストが安い
2.上海までの物流に便利であり、上海で知名度を上げることにより、中国全土に進出が可能である。
3.蘇州地域に競合がなく、蘇州での知名度を上げることが容易
4.中国国営のビール会社が過去に存在したために、資材調達の問題が少ない
ということにあります。

次回ニュージーランド系ビール会社の生産の特徴と診断士の視点です。
ビール戦争とビール会社の視察(2)

 前回、強いサントリービールとニュージーランド系ビール会社の話をしましたが、その続きで、ニュージーランド系ビール会社の生産の特徴と診断士の視点です。

蘇州にあるニュージーランド系のビール会社

生産の特徴
 1)徹底的な自動化により品質を安定させている
 2)労働力は荷造り出荷工程に集中している
 3)生産能力は20万トン/年
   推定生産数=7.5百万ボトル・缶/月×500cc×12ヶ月
        =45kリットル/年=4.5万トン/年
 参考:日本国内のビール工場の生産能力
  アサヒビール神奈川工場   15万kリットル
  キリン岡山工場       40万kリットル
  キリン取手工場       40万kリットル
  キリン栃木工場       33万kリットル

診断士の視点
 生産能力の半分も稼動していないことにより、良好な経営状態でないと推測する。中国国内のビール会社は600社、1999年の生産量が2054万トン、5〜7%で成長しているといわれ、その中での同工場のシェアは1%未満である。蘇州の人口は、575万人であるといわれ(新潟県の約2倍)、蘇州市内への供給工場としては、適正規模であると推測する。今後、シェアの拡大が不可欠であり、それにあわせる形で追加投資が必要である。
衣料品販売事情

 最近、新潟県内でも上海を中心とした中国市場が形成され、日本企業のビジネスチャンスが出来てきたという、調査報告が出されています。この調査の幅、奥行きに多少の疑問を感じています。確かに、伊勢丹などの百貨店ができ、カルフールやLOTUSのような外資系大型ショッピングセンターができ、その中で販売されている価格は日本の価格と近いです。また、イトキンのように最大の繁華街「南京路」でビルを構え、比較的高い価格の商品を販売し、成功している企業もあります。でも、そのような商品を買う購買層が何人いるのか。その購買層が全てをそこで買うのか。そこまで報告がなされていません。上海では、ユニクロでさえ高級品です。
 12月19日に、上海の在住者につれられて、衣料品販売店に行ってきました。神戸の方は理解できると思うが、昔の高架下が大きな建物の中に入っているとイメージすればよいです。6坪〜8坪程度の商店が、3階建てのビルに300店舗以上入っています。価格は、パンツ50元(750円)、セーター30元(450円)、コート・ジャケット200元(3000円)程度です。品質が悪いかといえば、多少傷があるが、それほど悪くはありません。価格は、最初1.5倍程度の値段が出されますが、交渉によりそこまで下がります。そのため、昔の高架下という表現を使いました。
 上海在住者が日常的に、衣料品を購入しているのはそのような商店であり、決してガイドが案内するような商業施設ではありません。日本人は、上海のカルフールの人込みに圧倒されるが、私の行った前述の商業施設は、その1.5倍程度の人込みです。
 私の知り合いで、いつも5000〜6000元(7万5千円〜9万円)の札束を持っている上海在住者(中国人)がいます。その方でさえ、私が行ったような商業施設で買い物をしています。
 もう少し、視察方法、マーケット調査方法を多角的にし、係数把握を行なわなければなりません。
TQCの展開

 昨年までの景気後退により、日本の製造業が生産よりも製品開発に力をいれ、TQCという言葉が死語に近づいているように感じます。その前に、QCは一部業界を除いて死語になりました。ところが、中国に行くと「TQC」という言葉をよく目にします。
 中国で成功している日系企業の多くが、TQCに力をいれ、掲示板には、生産実績、歩留り・良品率の状況、QCサークル活動実績などが貼り出されています。
 数年前まで、日本的品質管理は中国では無理だと言われていましたが、現在は一部の企業でそれが根付いて成果をあげています。日本的な品質管理が無理ではなく、日本的な教え方が無理であったために難しかったといえます。
華東地域vsベトナム

 1月の25日〜28日にホーチミンに視察に行ってきました。SARSの問題・電力不足の問題から中国一極集中のリスクを回避するためと、ASEAN地域のFTAの発展をにらんで、日本企業のASEAN進出が見直されています。その進出のターゲットがベトナムに向かいつつあるようです。そのため、良い時期の視察でしたが、冒頭に述べたように、日本で得られる情報と全く違う世界がありました。
 ベトナムの魅力ででてくることとして「勤勉な労働者」「手先の器用さ」「外資の優遇策」「市場の成長率」などが挙げられます。紙面の関係で労働力だけ述べますが、私が感じたことは、中国人と変わらないということです。
 このたび視察を受け入れていただいた東和製作所などの企業では、200〜300人の中から優秀な労働者を選び、1年契約で雇用しています。契約満了時に、優秀な人材は継続雇用を行うが、悪い人材は雇用を終了します。定着率が高いため、勤勉な人材が企業内にいます。
 一方で、街にでれば3年ほど前の中国のように、観光客に粗悪品を販売する個人物売りが多く、また物乞いなど、過去の中国を見るようであした。外資系企業が少なく、就労場所が少ないため、東和のように勤勉な人材の確保は可能であるが、外資系が増えてきたときに中国と変わりがない世界になると推測します。
 また、機会があれば続きをご紹介します。視察レポートが必要な方は、メールでご連絡をください。
(22)鳥インフルエンザ
 中国視察でいつも楽しみにしているのが、食であります。特に、好きなのが「鴨」「アヒル」「鳩」「海老」「蟹」「スッポン」なのですが、このたびの視察は、鳥インフルエンザと重なっているため、鶏肉がほとんど口にできませんでした。ケンタッキーや鶏肉料理専門店に行けば、鶏肉はあるのですが、ほとんどレストランがインフルエンザの影響で鶏肉は置いていません。5日間の日程で、僅かに食べたのが、アヒルの舌の空揚げでした。でも、このアヒルの舌はなかなか美味しいものでした。
 その他の影響ですが、浦東空港を見渡すと観光客が少なく、ほとんどがビジネスでの出張のようです。鳥インフルエンザはビジネスに影響をあまり及ぼしていないのかもしれませんが、観光に大きなダメージを与えているようです。新潟からの航空機の状況ですが、行きも帰りもおよそ、50席ぐらいが埋まっていました。
(23)上海鉄道事情
 車の台数が増えたため、タクシーの移動が思うようにならなくなってきました。今回気付いた点は、大きな交差点ごとに公安がたっていることです。公安がしていることは、歩行者と自動車双方に、交通ルールを守るように指導していることです。中国では、市民が公安に従順であるため、大きな交差点では、交通ルールが良くなりましたが、一本裏に入れば車、自転車、バイク、リアカーが混在した状態であり、その切れ目を見つけながら人が道路を横断しています。今回、知人の駐在員の会社がある奉賢区江海鎮まで電車・バス・タクシーを乗り継いで行きました。電車での移動は混雑していますが、快適です。奉賢区江海鎮は、上海中心地から40kmほどであり、虹橋空港から南に30kmほど行った地点にあります。
 電車路線図の黄色線の中央にある中山公園駅を出発し、南にいき赤い線の電車に乗り換え、終着駅までが電車の路線です。
電車路線図 中山公園駅で乗った電車
乗換駅 漕渓路駅から歩いて10分 地下鉄上海体育館駅
 これら、電車の移動は6元です。タクシーを使うと、おそらく40〜50元ぐらいになると思います。この終着駅から、タクシーで奉賢区江海鎮まで行きました。タクシーの走行距離は23.6kmで、52元です。不思議なのは、上海市内のタクシーの初乗運賃が10元であるのに、上海郊外では8元であったことです。終着駅周辺は、マ
ンションが立ち並ぶ美しい街でした。
終着駅 地下鉄は途中から地上に 終着駅周辺の風景
 帰りは、タクシーが捕まらないため、乗り合いバスに乗った。非常に汚いバスであり、さすがに怖かったので、写真撮影は行わなかった。
 バス、電車はスリに気をつけなければならないのが、難点です。
(24)SIAL CHINA(1)
 パリのSIAL(シアル)が行なう世界最大級の食品トレードショーで、偶数年のパリ開催以外に、世界の主要な食品市場で行なう見本市の中国版が、SIAL CHINAです。第5回目が2004年3月30日〜4月1日 上海国際エキスポセンターで開催され、そちらに行ってきました。
 出展企業数:公称900社、実数600〜700社
 国別出展企業数
1.USA     33社
2.フランス    26社
3.イタリア    22社
4.韓国      16社
5.アルゼンチン  13社
5.オーストラリア 13社
7.タイ      11社
26.日本       1社
 中国に詳しい方にとっては、興味深い数字です。全ては紹介しておりませんが、多くの国の企業が、中国の食品マーケットを狙い展示している事がわかります。SIALの主催国のフランスと同じぐらい、アメリカやイタリアが熱心であり、次いで韓国の出店が多いようです。一方で、日本は日清製粉の一社だけであり、まだ中国の食品マーケットを市場として認識しているとは言えないようです。
 展示とは別に、上海市内のスーパーマーケットを覗くと、多くの日本製品が置いていますが、大規模に食品ビジネスを展開している企業としては、サントリーに代表されるビール会社とグリコなどの一部の企業だけです。
(25)SIAL CHINA(2)
 前回に続いて、2004年3月30日〜4月1日 上海国際エキスポセンターで開催さた、SIAL CHINAの報告です。
 中国の流通市場に於いて、上海の役割が非常に重要視されています。今年は、大相撲の講演、F1開催など中国全土から上海に人が集まってきます。また、様々な展示会が日常的に行なわれ、多くの企業人が上海に集まってきます。その上海の流通で存在を知られるということは、今後中国中に出展する機会が得られるということです。その中で、仏系スーパーマーケットのカルフールの存在が抜きん出ており、上海の消費者にとって、カルフールで販売していない商品は2流品であるという意識があるようです。例えば、吉野家が上海で知られるようになった理由は南京路の店ではなく、カルフール内に出店したことによります。
 今回視察したSIAL CHINAは、前述のカルフールのための展示会と印象が強くありました。展示会だけでなく、カルフールとメトロとの2つの大型商談会が準備されており、その商談を円滑に進めるために、各社が出店しているようです。

 次回は、です。SIAL CHINAでの隠れた日系企業です。

 5月に上海で吉野家の牛丼を久しぶりに食べました。一緒に行きました食品関係のお客様がいうには、以前の日本の牛丼と同じ素材だそうです。
(26)SIAL CHINA(3)
 前回に続いて、2004年3月30日〜4月1日 上海国際エキスポセンターで開催さた、SIAL CHINAの報告です。 SIAL CHINAでの隠れた日系企業のお話しをさせて頂きます。

 以前にSIAL CHINAに出店している日系企業が日清製粉1社だけと述べましたが、実は日本語の書いている食品を至る所でみかけます。ある中国系企業のブースで、よく見慣れた珍味の袋が何種類かありました。「これは、お前のところで作っているのか。」という質問に対して、向こうは「そうだ。」という回答をしました。日本に帰国後、その珍味を買ってみると、販売者名としてその珍味会社の名前がありますが、製造会社名は表示されていませんでした。 ひょっとすると、コンビニなどで売られている食品の多くの原産国が中国であるのかもしれません。
 珍味以外には、米菓、こんやく、山菜など日本語がかかれた商品が並べられていました。
(27)中国関連の相談事例

 中国の方から、日本語で電話があり、コンピューターのプレス部品の見積りをお願いしたいので、FAX番号を教えて欲しい。その数分後、中国の会社からFAXで図面と見積もり依頼が届きました。会社概要はないかと問合せましたが、そのようなものはないと言われました。

 つい最近の相談です。あなたなら、どう対応しますか。

 「中国に詳しい知り合いに相談する。」という行動を取る方が多いと思います。この相談者も私が中国に詳しい人と思って相談に来ました。私の場合は、この相談を複数の方に相談するようにお薦めしています。何故なら、巷に中国通という人が溢れ、その人それぞれが、違った回答を出すからです。この中国通の中には偽者の中国通もいますし、特定地域に詳しいがそれ以外の地域に詳しくない者(これが大半)もいます。営利目的で活動し、自らの利益に繋がるようなアドバイスをする者もいます。また、中国駐在の経験者の中に、大げさ主義の者もいます。大げさ主義とは、日本の本社に自らの能力を強く訴えたり、知人に自分の能力を過大に評価してもらうために、中国でどれほど苦労しているか、自分でなければ中国ビジネスの困難を切り抜けられないなどの話をする方たちです。
 複数の相談者として、私の場合は、JETRO、県の中国事務所、県の国際部、産業支援機関で中国の経験がある人などに相談します。
 今回に受けた相談では、私の知識がない海南省の話であり、産業支援機関の中国経験のある方にも相談しました。同時に、中国企業の与信調査の必要性と、調査方法を相談企業に教えました。
 また、取引に繋がるのであれば、銀行への相談、実際に現地企業への訪問を勧めました。

 私の持っている海南省の知識は、リゾート地、最も反日感情の強い地域ぐらいです。さて、その知識は覆りますかね。
(28)電力事情とその対応

 既に上海近郊の華東地域に進出した企業は夏場の電力不足に悩まされています。昨年の夏の時点でも、昼間のホテルの空調がストップしていました。
 今年は、浙江省にある企業の話として、4日働き3日休む、休日も他の会社とシフトし、土日出勤もあるとありました。食品関連企業なので、冷蔵庫の電気はどうかと質問をしてところ、その電気の供給は大丈夫だと言っていました。
 この根本原因は、やはりエアコンなどの電気製品の普及にあるようです。今まで、テレビ程度しかなかった家庭に、冷蔵庫・洗濯機・エアコンが入り、何千万人が一斉に電気を消費するようになったのです。当面、この電力不足は解消できそうにありません。
 できれば、中国企業への生産委託などは、6月頃までには終わらせる必要があります。7月以降は涼しくなっても、夏場の生産能力不足から納期問題が発生します。
 新たに中国進出する企業は、この電力に関することをヒアリングする必要があります。ポイントとしては、
 1.進出先の工業団地。国家レベルか省レベルの工業団地か?
 2.進出先に既に進出している日系企業からのヒアリング
が中心になると思われます。特に2番ですが、中国人は返事が良いので、問題があっても、問題なしと答える場面が多々あります。同じ立場の企業からヒアリングすることが一番です。
(29)3種類の決算書

 時々、企業の与信管理が問題にされます。日本にいながら、中国企業の決算書を入手することも可能な時代になりましたので、決算書をもとに与信管理を行なう企業もでてきました。
 中国と付き合いが古い方は、中国の決算書が当てにならないことが良く分かっていますが、新しい中国しか知らない方で時々決算書の見方を知らない方に出会う事があります。
 中国では、最低でも3種類の決算書があると言われています。その3種類とは、「納税のために政府に提出する決算書」、「顧客に見せるための決算書」、「従業員に見せても良い決算書」と言われています。多いところでは、7種類ほどあるところもあるそうです。
 さて、決算書を見るときに、「どこ向けに作った決算書であるか」それを確認する必要があります。
 私が入手する決算書は、調査会社が政府向けに作った決算書を入手するため、実際より過少な規模、低めの業績を示したものであり実際の経営状態と大きく乖離しています。あくまでも、参考程度として、決算書を取り扱います。
中国人は謝らない

 今回のデモでも、明らかになりましたが、中国人は謝らないというのは定説となっています。全ての中国人がそうかというと、日本にいる中国人や、少数民族はそうでもないようです。中国は、多民族国家であるため、「謝る=自分の非を認める」ということは重大な問題であるかもしれません。
 今回の日本の外務省のように、謝らせようと考えると、何故そのような結果になったかの理由を一生懸命に説明し、謝罪をすることはほとんどありません。
 国同士の問題であれば別ですが、企業内のあまり重大でない問題であれば、無理に謝罪させずに、相手が自分の問題に気付いた点で許してあげることも一つの手段です。(2005.4.23)
従業員を信用していいのか

 中国だけでなく、海外の視察に行くと、苦労話を延々とする日本人駐在員に出会います。確かに、事実に基づいた話ですが、それが本当に苦労なのか、疑問を感じます。
 例えば、様々な形で地方政府に税金を取られて苦しんでいるという話をする駐在員がいます。一方で、その駐在員は、従業員の採用権限を持っており、彼が採用した人間は非常に無駄が多いことがわかります。そんなに業績を意識していないのに、わけの分からない理由の税金には厳しいなんてことがあるのでしょうか。
 彼の本音は、「いかに僕が苦労をしてるか聞いて欲しい。その苦労が会社を支えているんだ。視察に来た皆さんはどうか僕のことを尊敬してください。またできるなら、本社にそのことを伝えてください。苦労話に感心したレポート待っていますよ。いいレポートがあれば、本社に送れますから、、」というところでしょう。

 但し、このような駐在員の傍に優秀な中国人スタッフがいることが多いようです。苦労をしているのは、中国人スタッフの場合が多いかもしれません。

 さて、中国に進出している企業の経営者の皆様、あなたが聞く従業員からの情報は本当に正しいですか?駐在員が、不正をごまかしていないですか?
 海外の失敗は、この従業員を信頼しすぎたことによるものが意外と多いのではないでしょうか。(2005.7.29)
本業以外に手を出さない

 当たり前のことだと思っていたのですが、これで失敗する人があまりにも多いので、あえて書きます。
 本国(日本)で行なっている商売と異なる商売に、中国で手を出す方が多くいます。この大半は、その後の状況を聞くことがなくなっています。
 おそらく、現地の方に上手い話を持ってこられ、それに乗っかったのだと思います。この上手い話が、自分の本業であれば、どこまでが本当で、どこからが出まかせか判断できるのですが、本業から離れた仕事であれば、この判断ができません。また、本業であれば、不足する経営資源について分析でき、リスクを判断し投資の可否を判断できます。しかし、本業とかけ離れた世界では、リスクの判断ができないため、投資した資産を回収できない。事業を行なっていくのに、経営資源の不足が判明し、次々に投資を余儀なくされる。
 どんな上手い話でも、本業以外の仕事は海外で手を出さない。これが鉄則です。(2005年10月8日)
企業対企業の付き合いができるか(1)

 2005年10月に1年ぶりの上海で驚きましたが、更に日本人が増えています。旅行客も増えていますが、ビジネスで訪問されている方も増えています。新潟から上海行きの便で、大手企業のバッチをつけた若い従業員を見て、「これだとまた多くの企業が騙されているな!」と思いました。何年間も中国で製造している大手の製造業は別ですが、大手の流通業がバッチにものを言わせ中国で取引なんてできません。そのために、経験のある商社がいるのです。彼らは、騙された経験が多く、取引の本質を見抜きますが、経験の浅いサラリーマンが会社のルール・日本のルールで動いて、商談が上手く運ぶはずがありません。
 多少高くても、商社を使うか、会社のTOPあるいはTOPから全権委任された老獪な方を派遣することをお薦めします。(2005年11月6日)
企業対企業の付き合いができるか(2)

 私が、はじめて中国で商談を行ったときのことです。JETROでアポイントをとってもらって、お会いした方が日本でいうと、秘書課の課長のような立場の方でした。お客様との関係で委任されて訪問しているのに対して、相手方は決定権がありません。そのため、先方で打ち合わせた内容が、日本に戻ってきたら全て白紙になっていました。価格に関しても、5$と約束したものを、文章でいただくと30$という価格になっています。その企業とのやりとりは、3度ほど重ねた状態で、進展できないので、商談を中断しました。
 この話を、中国で別の会社の総経理に話したところ、よくあることで担当と交渉をしてはいけないと言われました。
 日本の会社とは異なりほとんどの中国企業の担当者が、組織への帰属意識がなく、また権限をどこまで持っているか、組織のどの部署がそれぞれの事項について決定するのかなどの知識を持ち合わせていません。すなわち、日本でいう会社対会社の付き合いができないことになります。
 次回は、その例外について記載します。(2006年4月15日)
賃金上昇と中国への投資の鈍化(1)

 2006年9月20日から9月24日にかけて、2度目の大連に視察に行ってきました。その折に、JETROの通商弘報などを参考にし、まとめた内容です。

 北京オリンピックまで、中国の経済成長が続くとされています。現在、経済成長が著しい中国ですが、対内直接投資の鈍化は始まっています。下記に中国の対内直接投資の伸び率を記します。
04年 05年 06年1〜6月
対内直接投資件数 43,664 44,001 19,750
件数伸び率 6.3% 0.8% △6.9%
対内直接投資額 606億ドル 603億ドル 284億ドル
投資額伸び率 13.3% △0.5% △0.5%
 反日デモによる投資減少があると言われていますが、韓国、米国、台湾など主要投資国も減少に転じているため、中国への投資が鈍化していると考えます。減少要因としては、電子・自動車などの投資の一服感、人件費の上昇、外資優遇措置の削減が指摘されています。

地域別の対内直接投資(06年上半期)をみると
北京 上海 天津 遼寧省 広東省
対内直接投資件数 1,065 1,859 536 1,021 4,054
件数伸び率 13.5% △2.6% △14.2 n.a △2.3%
対内直接投資額 27億ドル 40億ドル 20億ドル 20億ドル 68億ドル
投資額伸び率 31.6% 3.5% 15.9% 168.6% 21.4%
 主要地域の投資の伸び率に地域差が生じています。上段の全国の表は、中央政府の発表のものであり、地域別は地方政府の発表のものであり、誤差が生じています。この、統計に誤差が生じていることからも、まだ中国の行政が確立されていないことが推測されます。
 大連市を含む遼寧省の金額の伸び率が高い理由として、欧米企業による自動車・半導体の大型投資が増加し、大連市ではフォルクスワーゲンの大型投資がありました。(2006年12月22日)
賃金上昇と中国への投資の鈍化(2)

  下記に国別の対中直接投資の伸び率(06年上半期)を記します。
香港 日本 韓国 米国 台湾
対内直接投資件数 7,028 1,293 2,168 1,575 1,743
件数伸び率 1.0% △20.2% △34.8% △12.9 △5.3%
対内直接投資額 88億ドル 22億ドル 17億ドル 12億ドル 10億ドル
投資額伸び率 9.7% △31.4% △39.5% △18.3% △12.2%
 この統計には、銀行・証券・保険が含まれていませんが、日本・韓国の投資が大きく減少しています。前回、反日デモによる投資減少ではないと述べましたが、韓国、米国、台湾など主要投資国も減少に転じていることが分かると思います。

 アンケートのサンプル数も影響していますが、下記に示すように地域ごとに、一般工の月給にばらつきがあります。大連のサンプル数が日系企業9社であり、上海が日系企業5社であることから、相対的に大連の一般工の月給が低いことが伺えます。金額にしておよそ5000円(50〜70USD)ほどの差になることから、製造業にとって、大きな差であるといえます。更に中堅技術者の差が、2万円ほど(130〜200USD)の差が生じていることから、大連の投資環境はよいといえます。
 また、労働局が公表している社会保障率にも差が生じていることからも、人件費の違いが更に生じていると言えます。中国での事業がまだ低廉な労働力による製造が主体であることを考えると、この人件費の違いは投資環境に大きな差を生じさせます。
 工業団地の賃借料は、上海が青浦工業園区、大連が開発区であり、開発区の賃借料に魅力を感じます。
 前述の上海への対内直接投資の鈍化の理由は、労務費関連によるものと推測され、大連への投資環境は、主要都市の中では良いといえます。
北京 上海 広州 大連
一般工月給(USD) 84〜164 172〜301 102〜190 102〜247
中堅技術者(USD) 223〜471 334〜593 374〜621 197〜393
社会保障負担率 30.5〜32.7% 44% 37.2% 25.1〜34.6%
工業団地借料(USD/u) 5.63〜8.72 1.0 1.24〜3.1 0.2
事務所賃料(USD/u) 34〜40 28.35 20.32 30

賃金上昇と中国への投資の鈍化(3)

最低賃金の引き上げに関して(参考:通商弘報)
 2006年度、中国関係ニュースとして、最低賃金の引き上げが話題となりました。特に大連は、最低賃金が40%のアップすると発表したものの、後から30%に再調整を行いました。下記に、各地域の最低賃金を記します。
上海市 広州市 深セン市 北京市 杭州市 大連市
750元 780元 810元 640元 670元 650元
 日系企業の圧力により、大連の賃金引上げの再調整が図られたと、日本国内で伝えられているが、実際は欧米企業による圧力ではないかと現地で言われています。
 賃金引上げ幅だけをとらえるののでなく、最低賃金で捉える必要があり、上記のように沿岸地域の中で、大連の最低賃金は低いほうです。650元は、2006年秋の時点で1万円に該当し、製造業の進出環境としてはよいと考えます。
 また、研修生など新潟県に入ってくる中国人の質の低下から、中国人の労働者の質の低下が噂をされていますが、2006年9月に訪問した研修生派遣団体の情報から、労働者の質の低下は大連ではみられないようです。

 賃金上昇と中国への投資の鈍化として、3回に分けてご紹介をしましたが、この数年投資先として有望視されていた上海を中心とした華東の伸び悩みの中で、大連の投資環境が良いことが判断できます。華東地域の伸び悩みの理由は、やはり賃金上昇が理由であると考えられ、賃金が高く質の良い労働者が確保できない地域を、日本だけでなく欧米が避け始めていると考えます。また、日本語が話せる人材が多く、親日な都市である理由も大連などの都市の魅力であると考えます。  (2007年2月24日)
日本の地域から見て中国への投資先

 賃金上昇と中国への投資の鈍化(1)〜(3)で述べたように、この数年投資先として有望視されていた上海を中心とした華東の伸び悩みの中で、大連の投資環境が良いことが判断できます。また、日本語が話せる人材が多く、親日な都市である点も魅力として挙げられます。一方で、新潟からの取引を考えると、流通経路がネックと考えます。
 空路では、富山−大連の直行便となり、船では新潟−上海−大連の便となり、機動性が損なわれます。中国との貿易が盛んになるにつれて、繊維などの市場では機動性が要求されています。ベトナム・インドなどへ製造拠点の展開が進まない理由として、この機動性が大きく影響しています。中国においても、往復の船便を利用できる環境ばかりでなく、日本からの原料供給は空路で帰りの製品は船便でということがしばしば起こっています。更に、往復空路となる場合もあり、コストだけでなく、機動性が発揮できる環境でなければ、大連の魅力が発揮できないといえます。
 新潟県の経済発展のためにも、大連へのルートの改善が必要と考えます。
 同じように、日本の地域によって、物流面を考慮すると最適な投資環境が見えてくると考えます。最近、中国市場への参入という浮ついた取組になっていますが、やはり製造拠点としての中国の活用がまだ中心になっています。大都市との連携競争から、地元産業に目をむけ最適な地域との連携を行政としては考えるべきであります。
(2007.5.6)
賃金上昇と中国国内の歪の修正

 賃金の上昇が本当に起こっているか?マクロのデータ上ではそうであるが、個別にみていけばそうとは言えない。2007年6月2日〜6月6日に上海−杭州に出張に行った折、中国企業の通訳と話したところ、彼女はこの2年ほど、賃金が上がっていないようだ。また残業をしてもサービスになっていると話している。当該企業の業績は決して悪くはないようであるが、ホワイトカラーの賃金は上がっていないようである。しかし、最低賃金の引き上げにより、ワーカーの賃金は上がっていると考える。特にこの1年物価の高騰があり、賃金の上昇幅から考え、生活は少したいへんになりつつある。
 正確な調査を行ってみなければ断定ができないが、所得格差の歪が解消されてきているように感じます。この歪の解消は、ワーカーとホワイトカラー間、都市と地方間の格差の解消になりつつあると考えます。
(2007年6月9日)
日本への輸入食品は安全か?(1)

 現在、中国からの輸入食品で米国で問題になっているが、日本の政府は水際でチェックし、国内には問題を持ち込まないとしている。これは、ある意味事実です。ある意味事実とは、例外があるということですが、日本の食品の検疫は、1年に1回行い、あとは抜き取りで検査しています。例えば、中国企業が、初回の検疫のときに、完璧な対応を行い、そのあと次の検疫のときまでは、ズサンな管理を行う可能性があります。
 これを防止するためには、輸入を行う日本企業の取り組み姿勢が問題となります。ようするに、「取引開始時に何度も足を運び、相手側の姿勢をチェックしているか?」、「初回の輸入後、定期的な訪問を行っているか?」、「自主検査を定期的に実施しているか?」など、日本企業側が正しいことを行っている限り、危険な食品が日本に入ってくることはありません。では、日本企業が正しいことをしていなければどうなるかということですが、もし違反を犯した輸入業者は、日本政府のブラックリストに乗りそれが公表されますので、今後貿易を事業として行いにくくなりますので、日本の輸入業者は、細かく綿密にチェックしています。日本政府が水際で防止しているとはそのようなことです。
 問題は、中国側の企業ですが、先ほどのように、初回だけ完璧で、あとはズサンな管理を行っているところがあるかというと、正直存在します。日本への輸出許可を持つある食品会社に2006年に訪問したとき、ラインは動いていなかったのですが、衛生管理がズサンでありました。そのとき、通訳についた中国旅行会社の方も呆れていました。彼が言うには、「中国人もこんな工場から物を買わない」ということです。何故、ラインが動いていなかったかというと、日本企業に相手にされなくなったのが実情のようです。
 (2007年7月1日)
日本への輸入食品は安全か?(2)

 前回の原稿をアップした後に、中国食品へのバッシング、究極は嘘の段ボール肉マンまで登場。しかし、日本のマスコミも恥ずかしくないものでしょうかね。前回報道した情報は嘘の情報だと、どうどうと言う訳ですから。それを中国側にだけ責任を転換するだけで、自ら正確な情報をつかめないことを反省しても良いと思うのですが、、、

 さて、日本の検疫制度ですが、それは世界にも類をみない異常な厳しさです。例えば、肉マンですが、中国製の肉マンを輸入するのに、どれだけの手間をかけているかとういうことですが、まず、日本の農林水産省が現地工場に出向き、確認をとった後に、認定をとります。この農林水産省の認定工場でなければ、日本に輸入することができません。それは、工場だけにとどまらずに、設備も認定を行います。例えば、認定工場であっても新しい認定を得ていない設備で生産しても、日本に輸入することができません。次に、生産工程図を作成し、原材料の証明を添付し、厚生労働省の検疫所と農林水産省の動物検疫の2種類の検疫の確認を行います。次に、先行輸入を行い、企業側が自主検査を行います。それが終わってようやく輸入になりますが、この輸入時点でも厚生労働省の検疫と農林水産省の動物検疫の2種類の検疫で検査を行います。以上のように3重4重の検査体制をとっているのが、日本の検疫所です。
 また、中国側でも輸出に係る検査をCIQという政府の検査機関が行います。
 このような何重もの検査体制があるため、日本政府は、輸入食品が安全だと言っています。ただ、安全だというだけでなく、もう少しシステムを分かりやすく説明しても良いと思います。
(2007年9月3日)
殺虫剤混入問題(1)

 大変がことが、起こりました。2008年1月30日にニュースとして報道されました中国製餃子の殺虫剤混入問題に関して、おそらく世界の食品事情を揺るがす問題に発展するのではないかと思います。まず、燃料用エタノールの製造のために、中国を含む世界各国で農家が食料からエタノール原料に転作している問題により、各国の食料品値上げに発展しています。中国では、食品のように細かなことを言われないためエタノール原料の作物に切り替えるということもあるように聞いております。当分、ニュースから目が離せませんが、冷静に原因究明状況を見ていきたいと考えます。

 現在、私が訪問している杭州の日本農林水産省指定食品工場に、問題に関わるJT関連の食品会社の担当者が来ています。私の友人が言うのには、非常に細かい、仕事の付き合いがしにくいと愚痴をこぼすほどです。細かな企業が問題を起こしたことに問題の根本を把握したいと思っています。現在のニュースをみて感じていることは下記4点です。

 国内食品製造業の環境改善が進む。
 企業側の自主検査体制に問題がある懸念がある。
 安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。
 食品業界全体で品質管理レベルが低い。(作りこみの品質が理解できていない)
 
 まず、国内食品製造業の環境改善ですが、中国製と書かれていない食品でも、実は相当中国製が含まれています。同じ食品で、中国製と書かなければならなかったり、書かなくてもよかったりするということは、現在の食品衛生法の問題ではないかと考えます。これを機会に、中国を含む輸入食材に、消費者が厳しい目を向け、流通業者は、不足する食品を国内食品製造業に転換しなければなりません。
 この国内食品製造業が良いことばかりかというとそうではありません。まず、増産のための設備投資が求められます。今まで大手流通業者に酷い目にあわされた食品製造業はどこまで、流通業者の話を信用するかが問題です。信用して投資をしても、1年後は再び仕事がなくなると考えると思います。次に、原価管理能力の向上です。今まで市場価格という言葉に惑わされ、大手流通業者の言ううがままに、売価低減を行った結果、赤字の製品が大半を占めます。この、原価改善が不可欠であると考えます。さらに、教育をないがしろにし、人材の空洞化を起こしている状況を直視し、これを機会に経営改善、資産蓄積に動かなければなりません。
(2008年1月31日)
殺虫剤混入問題(2)

 2008年2月8日時点でもまだ真相究明ができていないようです。食品業界は、そろそろパニックになりつつあります。様々なところに中国食材が入り込んでいますので、私の周りでも困っているようです。前回報道をみて感じていることとして、4点挙げました、そのうちの自主検査体制に問題がある件について述べます。

報道を見て感じること
 国内食品製造業の環境改善が進む。
 企業側の自主検査体制に問題がある懸念がある。
 安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。
 食品業界全体で品質管理レベルが低い。(作りこみの品質が理解できていない)
 
 企業側の自主検査体制の問題
 品質管理の基本事項の一つとして、「三直三現」という言葉があります。問題が起こったら、直ぐ現場に出向き、状況を確認することです。報道をみて、殺虫剤混入問題が2007年秋から発生していたようです。JTも生協も保健所(厚生労働省管轄全て)も、全ての団体が、2007年の秋時点で、問題の現場に行って、問題を確認していなかったようです。問題の拡大は、人為的ミスというより、三者の組織的欠陥を露呈したことと感じています。
 次に、製品流通前に、事前に製品の自主検査を輸入者が行うこととなっています。この自主検査に関して報道でほとんど触れられておりません。場合により、自主検査を怠っていたのではないかと考えられます。自主検査は、製造ロットの一部のみを抽出し、衛生上、安全上の問題を確認することであり、この自主検査だけでは、今回のように一部の製品で問題があった場合の、問題点の抽出が困難であります。そのため、企業は品質管理上、抽出できない問題を他の手段で確認しています。JTに、この点で落ち度があったのかもしれません。
 また、中国と取引している企業の大半が、中国人・中国企業を実際には100%までは信頼していません。そのため、生産の立会いを行い適切に作業が行えているかチェックをしています。報道で、中国企業を擁護する発言が出始めていますが、日本の企業と根本的に思想が違うため、何が起こるかわからないと考えています。今回の問題の商品において、日本側の立会いがなかったか、あるいは立会い方法に落ち度があったのかもしれません。

(2008年2月8日)
殺虫剤混入問題(3)

 問題発生後1ヶ月近く経ちましたが、まだ真相究明ができていないようです。中国の食品業界の方と先日メール交換しましたが、天洋の件で、中国の食品製造業で輸出向けの企業はパニック状態のようです。報道をみて感じていることとして、4点挙げました。そのうちの「安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。」件について述べます。

報道を見て感じること
 国内食品製造業の環境改善が進む。
 企業側の自主検査体制に問題がある懸念がある。
 安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。
 食品業界全体で品質管理レベルが低い。(作りこみの品質が理解できていない)
 
安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。

 安心安全をうたっている小売業が多くあります。何を根拠にしているかが、今回の事件で浮き彫りになったと考えます。安全・安心をうたうなら、品質管理に関する知識が不可欠です。しかしながら、小売業の方は結果としての品質を理解できても、製造経験がないため作りこみ段階での品質管理をするということが全く理解できません。これは、中小企業診断士でも同じであり、小売卸売業系の診断士の大半が、作りこみの品質管理が理解できません。そのため、小売卸売系の診断士は、製造業の指導ができない場合が多くあります。
 作りこみの品質管理は次回述べますが、これが理解できないために、安心・安全と唱えながらも、結局はメーカー任せにしているのが実態ではないかと考えます。そのため、安心・安全の根拠が弱いのではないかと考えます。更に、より良いものを(安心・安全なもの)求めるのであれば、直接メーカーに出向き、品質管理体制をチェックし、ラインのチェックを行わなければなりませんが、私が知っている限りこれが出来ているのは、イトーヨーカ堂とセブンイレブンです。私がお付き合いしている食品メーカーだけの話になりますが、イトーヨーカ堂とセブンイレブンはよく視察に来るようです。メーカー曰く「細かくて嫌になる」。この話を時々聞くため、家内にもイトーヨーカ堂の品質は信頼できるが、他は信頼できないと話しています。
 根拠の薄い安全・安心を簡単にPRができる日本の食品流通体制が問題であると感じませんか。

(2008年2月25日)
殺虫剤混入問題(4)

 問題発生後2ヶ月近く経ちましたが、真相究明ができていないようです。食品業界では様々な噂が飛び交っています。総括すると、「北京オリンピックに向けて、臭いものには蓋をする。」ということが噂の中身です。一部で中国製品を輸入しないのではなく、輸入できないという問題が出ています。
 報道をみて感じていることとして、4点挙げました。そのうちの「食品業界全体で品質管理レベルが低い。」件について述べます。

報道を見て感じること
 国内食品製造業の環境改善が進む。
 企業側の自主検査体制に問題がある懸念がある。
 安全を売り物にしている一部の食品流通業者で、安全をメーカー任せにしている。
 食品業界全体で品質管理レベルが低い。(作りこみの品質が理解できていない)
 
食品業界全体で品質管理レベルが低い

 「衛生管理=品質管理」という認識が食品業界で一般的ですが、大きな誤解です。衛生管理は品質管理の中の一つの分野であり、味覚、嗅覚、色覚、食感などの品質は衛生管理ではできません。更に、添加物などの原料の管理、パッケージやネーミングなどの2次品質などの管理が含まれているのが品質管理です。
 さて、一般の製造業では、QC工程図というものを作ります。これは品質を作りこみにおいて保証するのに、必要不可欠なものです。大手を除き大半の食品業界の品質管理は、出来映えの品質管理であり、出来たものの検体をとり菌数の検査を行ったり、試食して味の異常などを確認します。出来映えの品質管理も必要ではありますが、それだけでは保証できません。そのために、QC工程図を作成し、作りこみの品質管理を行います。一般の製造業で作成しているQC工程図とは、例えば原料であればどこの企業から調達し、どのような受け入れ検査を行うか記載しています。仮に、原料に関連したクレームになった場合、このQC工程図通りの管理が行われているかどうかがポイントとなります。製造者が顧客に了解なしに、原料調達先を変更し、それに伴うクレームになった場合、出来映えの品質管理ではその責任の所在が曖昧となります。QC工程図があれば、勝手に調達先を変更した製造側の責任になります。また、原料を変更する場合、QC工程図の変更を行い、顧客との間で再度取り交わしを行なうため、品質問題にはなりにくいと言えます。現在、大半の食品製造業で、安易に原料の変更が行われています。新しい調達先の管理状態に不備があると、品質問題につながります。そのようなことを、小売側に何の連絡もなく行われているのが実態です。
 また、QC工程図では、原料だけに限らず、加工条件や装置などきめ細かに管理ポイントを記載しています。もし、問題が発生した場合、どこの管理に問題があったのか、原因究明にQC工程図は不可欠です。ところが、QC工程図がなければ、作業の標準がないということになり、問題が発生しても原因究明ができません。今回の殺虫剤混入事件はまさにこの状態であると考えます。
 また、視察を行うのに、その視察における確認のポイントはQC工程図から拾い上げます。QC工程図がない食品業界では、何のための視察を行っているのか疑問を感じます。

(2008年3月22日)

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