トロント日記あれこれ
2000.10.10
学校が始まってから、一時期全く現地の英字新聞を読む時間が
取れなかったのですが、最近は学校から帰ってから、強制的に、
喫茶店で1時間ほどかけて読んでいます。
食の秋という切り口でしょうか、「夕食にどう?」という
テーマで農業についての興味深い記事が
ここ数日連続して、掲載されていす。
(ちょっとシリアスな話題ですみません)
一本目は、牛乳の生産調整。
農家が牛乳を生産するには
農家で構成される州の乳業委員会のようなところから
生産のための権利を牛一頭あたり、
18,000加ドル(約130万円)で購入。これと同時に委員会で
決められた生産数量に従う必要があります。
この数量の枠内は高い価格で乳業委員会に販売、国内生産にまわされます。
この上限を上回って生産した場合には、
安い価格で輸入に回されるとのこと。
このやり方って何かおかしい・・・と思った方は、
国際経済法のセンスがあると思います。カナダはアメリカから
WTO(世界貿易機関)に訴えられ、見事に敗訴。
乳業委員会は解散こそしなかったものの、個々の価格交渉が可能な
やり方を模索しているとのことでした。
二本目は、アメリカ資本の食品メーカー、
小売店がカナダの農家を巻き込んで
垂直提携を図っているとの記事。
産業の寡占化への懸念はあるけれど、
国際的な価格競争に勝つためには、肥料・種子の段階から
食卓に運ばれるまで、効率的なやり方を
追求せざるを得ない、との論調でした。
途中、反トラスト法はこういう垂直統合には無関心、という
識者のコメントがあって、思わず苦笑してしまいました。
三本目は、日本の中小醤油メーカーが、大挙して
オンタリオ州の農家から有機大豆の買い入れにやってきた、という
記事。当初は、農家は、なかなか大豆の価格が
上がらない中で、政府の補助金を獲得する運動に出ていたものの、
次第に、このやり方を好むようになって、現在は全体の
市場の20%まで占めるようになっているとのこと。
日本の醤油メーカーも、来年の遺伝子組替食品の表示の施行に
伴ってラベルの表示が厳しくなることから、
遺伝子組み替え大豆とごっちゃになった
アメリカ市場から、コストをかけてでも厳選管理の
カナダの大豆に切り替えた、とのコメントが出てました。
注:遺伝子組換え食品の表示については、
13年4月から実施される予定。
(農水省ホームページより)
いずれにしても、WTO体制の下、これまでの補助金政策が
通用しなくなる中、どうやって、農業が生き残りを図るか、
という意味で、考えさせられる記事でした。
参考資料
WTO裁定内容(偶然みつけました 農畜産業振興事業団 畜産の情報 1999年12月号より)
トロントスター(記事そのものではありません)
追記 (10.25 2000)
10月24日付けトロントスターによると、
小麦についても同様の政策が取られていて、
バシェフスキー通商代表はカナダに対する
スーパー301条の発動も念頭においていると発言したようです。
ただこれは大統領選に向けた
農業団体への支援要請も絡んでいて、
かなり政治的なにおいがないわけではありませんが・・・