トロント日記あれこれ
2000.10.11
今週の法学部からの一大発表として、
これまで卒業後の学位の呼び方を変えようという提案がありました。
(また興味のない人には申し訳ありません)
カナダのロースクールに入るには、おおよそこんな風なプロセスを経る必要があります。
(0)教養学部等のUnderGraduate(例えばBachelor
of Art 略してBA)
1年目は専攻を絞らず、政治・経済学科など、
二年目以降の専攻については必須単位数だけが決まっている。
ここでは法律教育は存在しない。
(1)いわゆるロースクールでの法学士(Bachelor
of Law 略してLLB)
法学部の中心(140人×3学年−トロント大学の場合)はこれ。
(2)ロースクール修士課程(Master of Law
略してLLM)
20人×2学年
(3)ロースクール博士課程(JSD)
10人弱×3学年
(蛇足ながら、カナダで弁護士資格を得るためには、
(1)を得ていること、及びカナダの市民権が必要となってきます。)
しかし、50年続いてきたこの
学位のつけ方は英連邦(Commonwealth)及び
アメリカ等のグローバルスタンダードから外れている、
というのが大学側の説明です。
すなわち、アメリカ等の各国では、(1)にあたる部分が
JD(Juris Doctor)と呼ばれているため、
LLBの卒業生はカナダを出て、アメリカの大学やら弁護士事務所で
職を得ようとすると、ロースクールを出ていないとの
誤解を受けてしまう、ということが多々あったようです。
注)この学位信仰はカナダの特徴だけではないと思うのですが
名刺に刷り込むだけでなく、卒業証書が、
(自宅はもちろんのこと)職場にも訪問者に分かるように
飾って並べてあることからも分かります。
一方、法学部としても、
日本では信じられないくらい、アメリカ、イギリス、
オーストラリアなどからの優秀な教員獲得に力を入れているのですが、
こうしたリクルート活動にも支障をきたす、
という大学側のデメリットもあるようです。
というわけで、今年度の3年生の卒業から、LLBとJDの称号の選択を認めよう、
というのが学部の決定だそうです。
翻って日本の法学教育を考えてみると、非常に中途半端ですね。
私の英文履歴書には、Bachelor of Lawとあるんですが、
4年間の中で教養と、法学教育がごちゃ混ぜになっていますよね。
最近、司法審議会と提携した文部省の検討会議の報告書を見ると、
ロースクールの出来た暁には、卒業生の資格には
JDまたはLLMにふさわしいものを、
という提言内容がありましたが、やっぱり法学部を残す場合の
教育区分が非常にあいまいだなという感想を持っています。
私は、これを機会に、法学部は3年制のロースクールに専念しても
いいのではと思っています。
参考資料 司法制度改革審議会