最終更新日:2009.6.16
奈良自治体問題研究所
住民で考える住みよい「まちづくり」
奈良自治体問題研究所は、住民、自治体議員、自治体労働者、研究者などが力を合わせて、自治体や地域の問題について調査・研究や学習を行う組織です。
当研究所小井事務局長が衆議院国土交通委員会で道路特定財源特例法改正案をめぐって参考人陳述を行いました
研究所の案内
新年のご挨拶
自治体問題研究所 理事長 吉田 恒俊(通称麓人)
10年目の節目の年に
明けましておめでとうございます。
当研究所は1992年(平成4年)7月30日に研究会として発足し、7年6ヶ月の地道な活動を経て、2000年(平成12年)1月に研究所として発足しました。それから丸9年が経ち、今年は10年目になります。節目の年に何か記念行事でもというご意見がありましたら、是非具体的にご提案をお願いいたします。
さて、最近の非正規雇用と大量解雇を見ておりますと、政治は何のためにあるのか、ということを根源的に問い直したくなります。政治は外敵を防ぎ国の安全を守るため、ということを第一義にいう人もありましょう。中東のガザに対するイスラエル軍の侵略と住民虐殺を見れば確かにその通りだとも思います。しかし、今の日本の現状においては、何と言っても国民の生存を守ることが第一義になることは大方の人が認められるのではないでしょうか。急激な経済情勢の変化の下で解雇され、この寒風に宿も食もなく放り出された人達を救わないようでは政治とは言えません。特に労働者派遣を解禁した政治の責任でもあり、政治は自らの責任を取るべきです。
私は、昨年新年ご挨拶で、ワーキングプア(働く貧困層)が大きな社会問題となっており、住まいも金もないネット難民や9年も続く自殺者年間3万人の存在を指摘して、今の日本は「飢饉」と言えないでしょうかと述べました。その後の一年を見て、さらに事態は深刻になっていることは、最近の非正規労働者に対する大企業の解雇と炊き出しに並ぶ長い行列を見れば明らかだと思います。
政治は何をしているのでしょうか。地方自治体は何をしているのでしょうか。かえって、生活保護申請を窓口で払いのけることによって、困窮する人をさらに追い詰めているのではないでしょうか。政府は目先の対応をしているように見えますが、根本的に非正規労働者をなくすための法改正には不熱心です。
さすがに既存の労働組合も重い腰を上げ、マスコミも年越し派遣村に並ぶ人達を好意的に報道する中で、坂元哲志総務政務官の「本当にまじめに働こうとしている人達か」という心ない発言には厳しい批判が浴びせられ、謝罪に追い込まれました。
お正月をテントの中で過ごされた人々やボランティアの人達に深い敬意を表すとともに、会員の内外で、現代の貧困とどう立ち向かうべきか、地方自治体はどんな役割を果たせるのか、などについて、議論していただければ幸いです。
合併問題もその中で論議すべきではないかと思います。住民不在の合併論議はもやは許されないと考えます。道州制も本当に1000万人もの自治体が住民本位の政治をやれるのかという根本問題から考え直すべきです。アメリカの州でも平均500万人で、制度的にアメリカの州は独立国と同じです。軍事と外交だけを連邦に委託していますが、それ以外の権限はすべて各州が持っていると言われます。州には独自の裁判所もあり、州毎に三権分立が制度として存在しています。日本の道州制をアメリカの州と同様に考えては大きな間違いです。
誰でもいいからという通り魔殺人事件の背後には、現代日本社会の貧困と格差や社会的援助の欠如という問題が横たわっています。自由と平等、人間の尊重と、世界平和と人類の幸福をめざした戦後民主主義と日本国憲法に支えられてきた私たちの社会が今崩れようとしているのではないか、我々は新憲法の下での64年間何をしてきたのだろうかという深刻な反省を迫られているのではないでしょうか。
真剣にかつ迅速に構造改革路線を改めて、憲法がめざしている福祉国家の方向に政治の流れを切り替える必要を感じます。同時に私たち自身の生き方や考え方をも問われています。そこでのキーワードは共生と連帯そして自立ではないでしょうか。自立と共生、矛盾するようでこの二つが両立しないと本当の連帯はあり得ません。
今年はさらに環境問題がクローズアップされるでしょう。企業にも実践を求めると同時に、我々一人一人が環境に負荷をかけず、ものを大切にする生き方が求められています。車の買い換えまでの年数が延びていることはいいことです。私は、経済成長が鈍化することは環境にはいいことだと思うのです。生産をすることはそのために自然が破壊されていることを意味します。極端な言い方をすれば、食糧が確保されるならば、経済活動は大幅に減ってもいいと思います。なぜなら経済活動は必ず自然を破壊するからです。
最後に、前年もニュースは事務局担当者のがんばりで毎月欠かさず発行されました。大学講座も2つの講座を開き参加者に好評でした。今年は当研究所のさらなる活動向上をめざし、若手会員の加入と、もっと若手の人達に活躍していただけるよう期待します。