混沌とした、ともすれば遠のきそうになる意識の中で、私の脳裏にフラッシュのように花びらが閃く。
ぽっぽっぽっと、かすかな音をたてて、小さな小さな花が咲く。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ…ああ、もう数えられなくなる…。
やがて目を開けると、君の心配そうな顔が覗き込んでいる。
「悪ぃ…きつかったか…?」
恐る恐る私の表情を窺う君が、なんだか可愛らしく思えて、私はちょっと笑ってゆっくりと首を振る。君はホッとしたように微笑み、私の隣に身体を横たえる。ふと見ると、私の胸に小さな花びら。肩に、下腹に、腿に、小さな赤い花びら―――。
「花が…。」
「え?」
怪訝そうな君。
「花が…散ったみたいだ…。」
呟くように思わず口にすると、君が顔を上げて、そっとその赤い痕を指でなぞる。
「ああ…花びらみたいだな…。」
君は再び私の上に重なり、私の胸にくちびるを落とす。二度三度と…そして、数え切れないほどに。
「…散らすんじゃねぇ…咲かせるんだ…。」
やがて顔を起こした君が、私を優しく見つめて囁く。
胸の花びらは、花の形。赤い小さな花。君の瞳の色に似た、花が私の胸に咲いた。
「俺の花を咲かすんだ…おまえに…。」
引き合うようにくちびるが触れ合い、深く深く重ねられる。
私の中に花が咲く。
君の瞳の色を映した、小さな赤い花が咲く。
私の心に花が咲く。
君という名の花が咲く。
FINE.
|