if・・・
〜イシトとカーシュ〜

〜代償〜

これは、まともなクロクロ小説「if・・・」シリーズの「2.〜イシトとカーシュ」の後日談であり、別館バージョンです(^^)v
ED後、全てが無かったことになって、オパーサの浜で倒れたセルジュがレナと話す。その後の物語。
こうだったらいいな、という想像の産物ですので、やりたい放題(笑)。
読んで頂くのが一番ですが、とりあえず設定としては、蛇骨祭記念パレポリ軍アカシア龍騎士団合同演習のために指揮官としてエルニドに来たイシトと、龍騎士団の方の指揮官であるカーシュは、出会い頭に大喧嘩。でも、お互い何故か初めて会う気がしない。ケンカした二人はとりあえずは笑い合う。そして演習が始まる−、と言うのがこのお話です。でも、設定知らなくてもそれなりにカーイシ好きならお楽しみいただけるかと。
1. 2. 3. 4.

 

何なのだろう。
これは何なのだろう。
仲間を案ずる気持ち。
共に戦いを生業とする者同士の共感。
そして、友情―――。
様々に理由を付けて正当化しては見るものの、そのどれもが足りない。
気が付けば、目で追っている。
大勢のざわめきの中にいても、この耳はおまえの声を拾う。
おまえの目線ひとつに、ちょっとした仕草に一喜一憂する。
まるで、初めて恋を知った少年のように―――。


―――恋?
恋だというのか?
そう思い至ったときの愕然とした気持ちを、俺は今も忘れてはいない。
幾度も幾度も否定し、打ち消し、それでも尚、惹かれていく。
何故だ? 何故、おまえなのだ?
愛して止まなかったあの女(ひと)に、髪の色も眼の色も、何一つ似てなどいないのに―――。

今にして思えば、子供じみた真似をしたと思う。
だが、表面だけの付き合いなどごめんだ。
指揮官と指揮官、それだけのやり取りで終わりたくなかった。
おまえの中に少しでも踏み込みたくて、わざとおまえを怒らせ、傷付けた。
ケンカすることしか、俺は、おまえに近付く術を知らなかったのだ。


そして、ある日突然、均衡は破れた。

***



 『パレポリ軍は、これより死炎山の北側、地点9−6より7−7へ展開する。龍騎士団は上陸地点1−2より西へ進路を取り、地点5−5付近で合流。敵を挟み撃ちの想定で行う。地点5−4に至ったら、連絡を請う。どうぞ』
 死炎山近くの海上に浮かぶ船の中で、カーシュの手にした四角い箱から、イシトの声が聞こえる。イシトがパレポリ本国から持ち込んだ無線機とか言う代物だ。カーシュは憮然とした表情でその箱の横にある赤いボタンを押した。
「判った!」
カーシュは短く言って、小型無線機のスイッチを切った。フーッと大きな溜息をつき、カーシュは複雑な表情で無線機を見つめた。

 本当は、もっと声を聞きたかった。話したかった。だが、何を話すことがあるのだろう。自分はイシト個人のことを何も知らないのだ。そして周囲にはそれぞれの部下がいる。個人的な会話など望むべくもない。
 初めて会った日、いきなりケンカになった。つい、ケンカを売ってしまった。この合同演習の打ち合わせの間に、幾度言い合いをしたか判らない。

 知りたかったから―――。
 どんなことに腹を立て、何を信じ、大切にするのか。

 カーシュは無線機をしまい、軽く頭を振った。
 「おい! 上陸するぞ! 上陸したら、死炎山の西側に回る。地点5−5で挟み撃ちにする想定だ」
カーシュは部下に声を掛け、勢いよく立ち上がった。

***


 龍騎士団との合流予定である、地点5−5を目前にして、イシトは苛立っていた。パレポリ軍はずいぶん前にその地点の見える場所まで至り、待機していた。イシトは全体を見渡せる小高い丘の上に立ち、先程からカーシュからの連絡を待っていたのだ。
「まったく、我々よりも地の利には明るいはずなのに、何を手間取っているんだ…」
死炎山の暑さも手伝い、苛立ちは増す。
「隊長! あれを!」
そばで双眼鏡を覗いていた部下"1(アイン)"が、地点5−5の向こう側を指差した。イシトがそちらへ目を向けると、突進してくる龍騎士の一団が見えた。
「地点5−4で連絡を寄こせと言ったのに! 仕方がない。我々も突入する!」
イシトはそばの部下たちに指示を送り、自分も暑い丘を駆け下りていった。


〜続く〜

 

言い訳

どうせこのシリーズはやりたい放題ですから、今回は、ちょっとハードな場面を書いてみたいなぁ・・・とか、アブないことを考えてみたり・・・(^^ゞ
早くそういう場面までたどり着きたいのに(笑)、お堅い演習場面だなんて〜!

2001.1.29