背中

 


「止せよっ。離せ……」

後ろから抱き寄せるカーシュを、イシトは反射的にはね除けようとする。
本当に離して欲しいなんて、思ってなどいないくせに。

離せと言われたことなどお構いなしに、耳元に口づけるカーシュ。

彼は知っているのだ。
イシトの本当の望みを。
だから彼は、抱き締める腕に力を込める。
イシトの細い顎を掴み、顔を傾け、その唇に触れる。
やがて身体ごと振り向かせ、深く深く口づけるとしても、いつも抱き寄せるのは背中から。
それがイシトの望みだから。

抱き寄せられた腕の中で、一時安らぐイシトではあっても、そこに溺れてしまえば、それは自分ではなくなってしまうから。

「離せよ……」

そう言わずにはいられない。
背を向けずにはいられない。
たとえどれ程、カーシュの腕を欲していても。

カーシュはイシトの背を抱いた。
それがイシトの望みだと、彼は知っているから。



Fine.

 

 


日頃お世話になっておりますHayakawa様の、カーイシ&セツエド(FF6)サイト「異形都市裏通り」1周年記念に、取り急ぎ書かせていただきました。
本当は昨日だったんですよね(^^ゞ。
「取り急ぎ」なのでこんな小品になってしまいましたが、カーイシ部門では、私、なんとか責任取らせていただきませんと(笑)。
と言うわけで、Hayakawa様、改めて1周年おめでとうございました!

イシトは、カーシュとは自立した関係であり続けたいと望んでるんじゃないかと、私、常々思っております。カーシュは、ちょっとそれが不満ではあるんですけど、それでもイシトの気持ちを尊重してくれるんでは、と言うか、そういうカーシュ、希望します。
いや、聞き分けの無いカーシュって言うのも、魅力なんですけどね(^^ゞ、ヤツは嫌われたく無いでしょうから(笑)。

2002.11.9