きっちりと引き結ばれた唇。
固く閉じた眼。
その手はきつくシーツを握りしめる。
いつもそうだ。
幾度肌を重ねても、共に迎える朝を何度過ごしても。
おまえはいつも、堅いつぼみ。
そっと瞼に口づけると、かすかにおまえの蒼い瞳がのぞく。
薄赤いおまえの唇をそっと唇で覆い、少しずつ少しずつ強く押しつけていく。
「…んっ…」
わずかに緩んだその隙間から、おまえはやっと進入を許すのだ。
肌を合わせ、白くなめらかな胸元に手を這わせば、おまえはかすかに身をよじる。
シーツを握る手に、さらに力がこもる。
俺の唇が胸元を探れば、おまえはぴくりと身を震わせる。
口元から声にならない吐息が漏れ、頬が羞恥に染まる。
色づき始めたつぼみのように、おまえは少しずつその身を開く。
身体の中心に手を伸ばすと、おまえは再び身を固くする。
決まり切った儀式のように、俺は深く口づけながらおまえを愛撫する。
空いた手で胸元を撫でると、おまえはたまらずに俺の背にすがる。
いつもそうだ。
わかっているのに。
それでもおまえは唇を噛み、声を殺す。
判っていて、俺もまた囁く。
「…なぁ…俺の名前…呼べよ…」
赤く染まった頬。
少し潤んだ眼をキッと俺に向け、おまえはまた堅く眼を閉じて横を向く。
これもまたおきまりの仕草。
だが、今日の俺は少し意地悪く、乱暴に指を使う。
「…あっ…!」
少し身体を退くおまえを押さえつけるように抱きしめながら、俺はもう一度耳元で囁く。
「なぁ…」
「…あ・・あ…っ…」
おまえは堪らなくなって、かすかに喘ぎを漏らす。
やがて、おまえは俺を迎え入れる。俺の背に回されたおまえの手が震える。
「…っ…う…っ…あ…ぁ…っ」
おまえの甘い吐息は、何よりの媚薬。俺はすぐに昇りつめる。
「…うっ…あ…イシト…!」
「…カー…シュ……カーシュ!」
俺の名を呼ぶおまえの声を聞きながら、一瞬気が遠くなる。
***
「あ…済まない…」
しがみつくように俺の肩に頬を押しつけていたイシトが、不意に顔を離す。
「何だ?」
俺は怪訝な顔でイシトの顔を見下ろす。恥ずかしそうに顔を赤らめて、イシトは俺の肩をそっと撫でる。
「爪…立ててしまったようだ…」
言われてみると、かすかに痛む。俺もそっと指先でその傷をなぞり、思わず笑みが漏れる。
「いいさ…おまえが応えてくれた証だもんな…」
「バカっ…!」
イシトが真っ赤になって横を向く。
こんな時間が、俺は好きだ。
「…何をじっと見てるんだ…」
知らずに、イシトの横顔を見つめていたらしい。イシトがちょっと咎めるように俺を見上げる。まだ頬には赤みが残り、怒った顔を作りながらも、口元は緩んでいる。
「…きれいだと思ってさ…」
「…バカっ!」
イシトは言葉に詰まって、また顔を赤くして横を向く。
そんなイシトを、つぼみが花開いたみたいだと、いつも俺は思うのだ。
Ende.
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