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 建築の世界は、特に“複雑で分かりにくい社会”ではないかと思います。どのような作業を経て計画が進むのか、そして、そのステップにおいて、何を考えて行けば良いのか、そんな事についてお知らせしたいと思います。建築する時の”道しるべ”にでもなればと思います。(建築道、知るべ〜!ではありません。)(^_^)

 世間一般に見聞きしている事と異なった文面があるかも知れません。建築士の“つぶやき”入りでもありますが、”設計実務マン”のアドバイスとしてお読み下されば嬉しいです。

ご多用の方は、太文字、色文字だけ読んで下さい。


壱.基本設計って?ヤマザクラ(littlehouse_ok)

 敷地の有効利用や間取り外観や様式などを考えて、基本的な方針を具体的に決定する事を“基本設計”と言います。

 建築主や使われる方と設計者が、いろいろな面について、一緒に検討や思案を重ねて計画を練り、そしてその成果である基本設計図に纏める事がこのステップです。

 基本設計が完了すれば、そこでの暮らし方や使い方の大要は決まる事になりますので、大変重要です。大きな変更の為、引き返すような事の無い様、充分に検討します。目の前の設計者・建築士に要望を出しにくい空気が有るかもしれませんが、遠慮無く意見を出すように心掛けます。

 “設計者には余り素人が、口出さないほうが良い”などと思う必要は全くありません。建築を知らないのは当然ですから、余分な心配をなさらないでドンドン希望を出します。実施設計に入ってから、あるいは、図面が出来あがってからのご要望は大変困ります。希望はできるだけかなえてあげたいとはいえ、多くの図面への記載や関連を全て組み立てなおさなければならず、修正の手間は相当掛かります。(費用も時間も厭わないのであればよいのですが・・・)

  ◇ 今迄の状態を詳しく観察 ◇

 住宅においては、家族の生活のしかたや家事の能率などが、工場では、生産ラインの事や職員の働きやすさ、ブティックでは、販売戦略としてのプレゼンテーション、客の呼び込み装置などについて、今の実態をしっかり把握する事が出発点ではないかと思います。使い勝手を良くし、能率を上げて無駄を省くためには、詳細な分析が必要です。

 この作業が大雑把だった為、あの時もっと良く考えておけば良かったね、という事が無いように、あるいは有ったにしても、ほんの些細な事で済むようにしたいものです。

 ◇ 必要な物品の寸法など ◇

 住まいでも、会社のビルでも、そこで使う機械や家具は早めに決めておきたいものです。設計側は、寸法・重量・電気容量などを詳しく知っておかなければなりません。無駄なスペースを用意してしまったり、入るつもりでいたが駄目だったなどと言うことのないように、できるだけ早めに決定しておきたい事柄です。

藤の花(四季_ok) ◇ いろいろな要望をだす ◇

 設計側は、基本設計を行う前に、敷地や法規制などの調査の他、ご希望内容をお尋ねし、設計する為の「条件収集」をしますから、こんな感じあんな建物と、本や街で見た実例を挙げて知らせるのも、大切な情報になります。

 要望にはさまざまな事柄があり、一度に集約出来難い場合も多いものです。実現できそうも無い事も、えらく費用が掛かりそうな事も有るかもしれません。又、相互に矛盾してしまうような内容かも知れません。でも、それらを“メモって”おき、要望事項として設計側と打ち合わせます。

 “今までの実態の観察や把握”などから、“優先事項”も同時に考えるようにしますと、スムーズな条件の設定が出来るようになります。

 設計する側は、ご要望の内容を入れながら、今まで培ったノウハウを入れて、快適になるだろうと思える提案をします。店舗や医院などでは、より、先鋭な計画を行う為に企画(経営)コンサルタントに参画させる場合もありますが、その場合にも、設計側は建築の設計側として、連携し協力しながら提案や検討を行っていきます。

 ◇ コストの重点や配分を考える ◇ アジサイ(フリー素材集_ok)

 ご存知のことと思いますが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」ができました。建築基準法のレベルを“最低の技術基準”として、もっとずっと高性能のレベルを明示しています。豊かな生活の為、これからの計画レベルの指標になる事と思います。

 今までの建築基準法にも、法文では「最低の基準を定める」となってはいましたが、基準法に適合していることは、“高いレベル”であるかのように錯覚されてきたと言われています。多くの場合、“最低レベル”で設計していたと言うわけです。建設コストの掛け方で建物の品質は大きく変わりますから、どんな性能に多くのコストをかけるかが大切になります。

 建物の用途や建てる目的により異なるのですが、どんなところにウエートを掛けるかを考える時、キーワードとしては以下のような事項が挙げられます。

  1. 使い勝手、バリアフリー(ユニバーサルデザイン)
  2. 気に入るデザイン、空間
  3. お客様空間、プレゼンテーション
  4. 断熱や防音、防振
  5. 健康建材や空気環境、風通しなど
  6. 耐震性や構造強度アップ、耐久性
  7. 防火性、避難誘導などの安全性
  8. 設備の充実と耐久性や機能性
  9. 省エネで太陽熱利用、風や太陽発電
  10. メンテナンスを楽にする

 1.〜10.まで、大切な事ばかりで、全てを整えた建築にしたくなりますが、やむをえない事ですから、あまり予算を掛けない事項を決める事になります。

 予算を掛けないといっても、最低の処置はしておかない事には、建物の性能が大きく損なわれますので、並みの事はしておくということになります。例えば、ソーラー利用は割愛、来客空間、断熱性は一般並で良いから、乳母車や車椅子に支障の無い様に、又、耐震性やメンテナンスには特にウエートを置きたいという風に考えます。

すずらん(フリー素材集_ok) ◇ 計画案を充分検討する

 提出された“計画案”を充分ご検討下さい。そして、会社内や家庭内で話し合われた事柄を出来るだけ多く伝えてやる事によって、計画案に磨きが入ります。迷っている事柄なども大切な情報となりますから、構わずに伝えるようにします。

 冒頭にも記しましたが早い段階のこの基本設計の時に、多いに迷い、検討する事が極めて大切な事柄です実施設計に入ってから基本条件が変わったり、工事中に変更したくなりますと、費用も時間も大きなロスになってしまいます。”建築は最初ほど大切”と言われる所以です。

  必要な日数を確保する

 基本設計の期間を詰めますと、建築主の方の検討がおろそかになりがちで、お勧めは出来ません。急いだ為に、後で変更や振り出しに戻る場合が多いからです。費用と時間の無駄になります。

 やっとまとまった基本設計が済んでしまえば、すぐ出来てほしいですが、実施設計や行政申請、工事見積もりなどにも日数は掛かりますので、スケジュールの設定は慎重にしたいです。
小規模な工事でも、ほとんどの工事期間が、5〜6ヶ月位掛かっています。したがって、スタートから8ヶ月〜1年位は掛かるのが大多数の建築です。

 必要以上の期間を用意するのでは、建築主にとって時間が無駄になりますが、現場で造る材料が適切な品質に成る為には、養生期間がどうしても必要です。(モルタルなど左官塗り壁などは、特に手順を踏んだ工事と養生が欲しい。)

 期間が短いと熟慮したり手間を掛け養生したりしてはいられないという事になりますから、
設計も含めて急がせては、建築主のお得にはなりません

 

 ◇ 地質調査や測量などの依頼 ◇金魚鉢(フリー素材_ok)

 計画の早い段階で、地盤調査をしたいです。歴史的な面や地域の地層から、「感」だけで処理できる程度の場合は、まれにはあるのですが、強度や経済性の為の適切な基礎の設計を行う為に、ボーリングを行う事を原則にしています。建築基準法の改正で、地質調査は必須となりました。

 登記所にある昔からの公図は、現況の敷地を正確にあらわしていない場合が多いものですから、測量の必要性が出てきます。登記に関係する場合には、測量士に依頼します。建築の設計に必要で厳密さが要らない場合には、設計者が平板測量やレベル(勾配)測量をおこないます。

 ◇ 敷地境界線などを確認します ◇

 境界線や境界杭の確定の為には、建築主や隣家の立ち会いが必要となります。トラブル防止の点で大変重要でありますので、省略や他人任せには出来ないことです。過去の資料や測量図などの用意や、測量士の協力、役所の立ち会い等を必要とする場合があります。

 建設現場に長く住まわれている場合にも、冠水や崩落、交通振動には注意します。事前に対策が打てる場合があるからです。土地を購入する際には、悪天候の時にこそ、現地に出向いて観察してみます。

 ◇ 法律的な資料の収集を急ぐ ◇ 

 市街化調整区域や土地区画整理地区あるいは農地など特殊な区域や地目の場合には、多くの資料や証明書などを収集したり、役所と協議をしなければならない事もあります。費用やスケジュールにも影響されますし、きつい制限にぶつかる場合もありますから、早めに調査と資料収集が必要になります。

弐.実施設計って? 夏海辺の傘(手作りcandy_ok)

 実施設計とは、基本設計を踏まえて、見積りや工事に必要となる設計図を、詳細部まで思考しながら作成します。又、構造計算や設備の設計、外構の設計なども行います。基本設計での概略寸法を詳細寸法にしたり、建具や材料などの仕様・メーカーや品番を指定して詳細部迄決定します。

 ◇ 実施設計の程度は・・・◇

 簡単な建物では、見積りや工事に当たって、特別に支障にならない位迄の図面作成を行って、後は「施工側におまかせ」というやり方も、一般的に行われています。

 特に複雑な計画内容や、厳密な工事の要求の為に、1/10などの多数の詳細図を用意して工事を依頼する場合もあります。業務料は増えますが、当然ながら、詳細な図面が整備されるほど宜しい出来栄えに直結しやすいです。

 ◇ 実施設計でも打ち合せ? ◇ 

 基本設計がまとまれば、後は、実施設計図が完成するのを待って戴くだけの場合もありますが、造作家具や詳細部の材料、鍵の掛け方、設備の詳細などについて打ち合せを行います。

 打ち合せの内容が固定的に決っていれば簡単ですが、建物の用途や必要条件毎にそれぞれ異なるものですから、疑問に思ったり不明な事はどしどし質問して、コミュニケーションギャップを無くす必要があります。

  建築という極めて多くの制約のなかでの計画ですので、或る程度からは、設計側にお委せ戴く場合が多いのも現実であります。

 ◇ 阪神大震災と構造設計 ◇  朝顔(ふりー素材_ok)

 平成12年の建築基準法の大改正で、構造の設計は、大幅に強化されました。従来、”木造”の建物は構造設計が充分なされてきたわけではありませんでした。3階建てはともかく、建物の捩れの検討はほとんど検討なされず、筋違い部分の接合もかなり大雑把なものでしたが、法改正により、接合の金具類が大幅に増え、且つ、頑強に設置するようになっています。

 そんなに金具は要らないという建築屋さんも居ますが、実大実験やそのビデオを見られたり、阪神大震災の実情を思い出せば、どなたも、自然の恐ろしさとそれを防ぐ実務の難儀さを認識させられます。構造の基準が緩くなった歴史はありませんので、グレードを上げて備えておきたいです。

 阪神大震災後には鉄骨造や鉄筋コンクリート造の設計法も修正されてきました。新たに幾つかの検討事項も増えております。
相変わらず、施工上の欠陥や粗雑な工事結果の実態が指摘される場合があり、工事監理や行政からの検査の強化がなされています。

 ◇ 脇役ではない設備の設計 ◇

 建築を人間に例えるなら、屋根や壁は「皮膚」で、設備は『内臓器官』で、骨は「構造体」ですね。その内臓器官である設備にも障害が多く発生しやすいのですが、設計者も含めて、その設備に対する関心や認識がまだまだ低いと思っています。

 小規模の建物の設備には、機器の概略位置と機器指定の図面を作成し、後は設備施工者の「心配り」を期待して良しとする場合が多いのが一般的です。けれども、設備の技術も高度になり、複雑化してきておりますので、業務料との相談になりますが、規模に関わらず、『設備設計事務所』にできるだけ参画してもらうのが良い方法です。

ひまわり(フリー素材_ok)行政へ認可申請をする

 実施設計図が出来上がりますと、建築主の印鑑と申請証紙代を用意し、確認申請書を役所に提出します。役所では、諸法規などに照らして、“確認(許可)”を出しますが、何カ所もの課などを経由したりする場合も有りまして、一般的には、2〜3週間位、規模によっては1カ月半以上もの期間が掛かりますので、スケジュールには、この期間も折り込んでおきます。(住宅の確認申請では、1日〜1週間位で済む場合があります。)

 建築についての法規は、建築基準法、消防法、県条例、営業関係法、都市計画法、公園法、などなどと大変多くの法律やそれに関連した通達や告示に関係します。又、担当の部署における行政指導などもありまして、申請した設計図の部分的な変更が必要になったりするケースが時々あります。

 工事期間中に行政課員の立会いなどが有った時、「確認申請書」を用意して置かなければならないことになっております。役所から許可された確認申請書は、金融機関などの用件が済み次第、工事監理者がお預かりします。竣工引渡しの際、他の工事関係書類と共に提出しますので、登記などに使用した後は、大切に保管しておいて下さい。

 ◇ 近隣関係へも配慮します ◇

“日影規制”などの『集団規定』について、多くの紛争事例が有りますように、特に、近隣関係には出来る範囲で配慮する事が大切です。建築基準法などを遵守していても、近隣関係紛争が生じないという事はありません。
 
『建築側に任せてあるので関与したくない』と思い勝ちになりやすいですが、発注者・建築主は社会的に第一人者ですので、作業などは建築側に行わせたとしても、近隣問題には前面に出て行かざるを得ない場合があります。
こじれますと、受忍限度と建築主の権利との衝突ですので、法曹界の協力を得ないことには解決しない事もあります。できるだけ、充分な対話を行って穏便に済ませたいものです。

 

赤とんぼ(フリー素材_ok) 参.施工者の決定と契約

 設計図が完成しますと、「見積り依頼」「施工者決定」「工事契約」等の作業を行う事となります。

 計画している建物の規模や内容、その必要とされる建築技術などから、どのような施工者にお願いするかを検討します。特別に決めている場合でも、先ずは見積もりをしてもらう場合が多いです。

 デザイン的に難しい、あるいは情緒的な面を多く持った計画の建物には、『特命』発注の方が熱心な施工を期待することが出来る場合があります。

 複数の見積もりをもらって決める“見積もり合わせ”という方法もあります。競争をしてもらうようなものですので、金額は下がりますが、施工の“ノウハウ”を、事前にどう評価するかが大きなポイントになります。見積もりの精度、価格、品質確保へのイメージから判断する事になります。

 見積り合わせの場合、発注に当って見積もり依頼先と予算金額はもちろん極秘にします。依頼した施工会社間での話し合いで決められる”談合”でも困りますし、建物の品質確保に関わってくるような、無謀な過度の受注競争をしてもらってもマズイです。他の依頼先や予定金額の質問を受けた際には、「貴店独自のご判断でお願いします。」という回答が適切と思います。

 ◇ 見積りの依頼をするには… ◇ きのこ(手作りcandy_ok)

 見積りをお願いするには、「見積要項書」を設計監理者が用意致します。工事金額の支払い方法や見積期間などの条件的事項を、建築主との打ち合せを経て作成します。後に、契約書にも添付致します。

 提出してもらった見積もりの総額を見て、最も低価格を提示した施工者にお願いしたいのですが、内容を良く検討しないといけない場合があります。

 何十頁にも及ぶ見積書は、一見、全て正しく記載されているようには見受けられますが、拾い落としや仕様の見落としも多いのが現状です。部品や工種が多く、又、短期間に計上しなければならないものですから、ベテランの方でも完璧な拾いはなかなか難しいのが実情です。

 細目工事での詳細な科目計上が無い見積もりで契約なさる場合には、後々の心配事が増えます。設計図も大雑把、見積書も概要的な一式計上になっていますと、建築主は何をどのように注文なさったかは、記録が無いことになります。契約した時の単価がありませんと、設計変更により精算する際、工事金額があやふやに感じられるはずです。『事前の“信頼”、事後の“信用”』ですので、詳細な見積り算定書が必要です。

 ◇ どう依頼先を決める?

 見積もり比較の場合には、各社の『判断と観測』から金額に差がでてきます。1割やそれを超える差額は良くある事ですし、各細目の専門工事毎の割合を各社比較しても、バランスは一定ではありません。

 又、見積書の最後には、“諸経費”という費目があります。現場監督員の人件費や施工会社の固定費、営業利益が入っている科目で、10%前後の計上が多いです。その程度の金額では工務店経営は成り立たないはずですが、“もうけ”とみなされて値引き要求に会いやすいのか、どこの施工会社もその位の金額しか計上しません。で、その必要な不足分は、各細目工事に入っていることになります。

 予算金額の超過の場合には、個々の費用との検討から、仕様グレードの変更、や、後期工事にできるものは別途としたり、造作とした家具を既製品に変更したりして調整します調整なしで、「幾ら幾ら負けてね」は、結果的に得策ではありません。残念ながら)「負けさせたんだから、工事は適当に処理しても良い筈だ!」と思ってしまう請負者がいても、非難ばかりはでき難いかもしれません。

 手間ひま掛けて見積りし、提出してくださった見積書を詳細に検討します。判明している「落とし」や「錯誤」を修正してもらいます。建築士・設計者は検討の内容をお知らせ致しますので、それを踏まえて、見積書の内容とその会社への期待度から、建築主が契約相手を決定します。契約書には、この際に調整した記録や質疑回答を全て添付し、後々、変遷・変更を調査できる様に整備しておきます。

秋の花(手作りcandy_ok) ◇ 工事契約はどうするの? ◇ 

 工事の請負契約には、先の見積もり要項に従い、設計図面や契約約款、資料添付をした契約書を作成してもらいます。発注者と施工者は、契約書の内容をチェックの上、契約の押印をします契約印紙は発注者と受注者双方が負担します。又、通常は、設計者も立ち会います。

◇ 品質確保と工事期間について ◇

 品質確保と時間は本当に密接な関係があると言っても過言ではありません。「工程数を増やして丁寧に」やれば長い時間が必要になることは明らかです。ゆとりある工期の場合には、伝統の味を出す左官工事などの湿式工法等は「養生」が出来ますので、愛着の深い建築材料を用いることができます。工期」の設定は、建築の仕様決定などにも大きな要素となります。

 四.工事監理って必要?葡萄(フリー素材_ok)

 近隣関係の問題や不特定多数の人々が使用する上での安全の問題などがあったり、さまざまな事柄を内蔵している建築の為に、「建築基準法」でほとんどの建設について、『工事監理』を必要としています。

◇ “監理”と“管理” ◇

 工事“監理”とは、設計の内容を実現させる為に、設計図に基づき確認したり検査を行うことを言います。従って、現場の職方の労務や安全管理などの”管理”とは、違った仕事なのです。

  以下は工事会社にやってもらう
現場管理です。

     @各専門工事への指揮や統括 --------- 図面の内容の説明と指図、連絡 

     A工程の遅れ防止の管理や養生-------- 適切な工事を、工事期間内で竣工させる

     B工事公害の防止 ------------------ 近隣に多大な迷惑とならないような対策で工事

     C施工方法の計画 ------------------ スムーズにうまく施工できるような手立てをする

     D材料などの品質や施工精度の確保----- 現場に入ってきた材料の確認と施工結果の確認

     E施工図や竣工図の作成 ------------- 設計図を基に、さらに詳細な施工用の図面を用意

     F現場の安全衛生管理など ------------ 死者や負傷者が出ない様、安全策を施す

 施工会社が行う“品質管理”の面では多くの点で“工事監理”と重なってみえます。
工事側の方は、上記のように
≪建築メーカーとしてのチェック≫であり、工事監理者(設計者)の方は、発注者側の要請でおこなう確認チェック≫言えます。

“現場監督”の中には、設計意図や工事品質に適切でない施工内容でも、現場予算を優先して『 工事監理者の指摘が無ければパスしたもの 』という、無責任っぽい感覚の持ち主もいないわけでは有りません。又、充分気配りをして、設計図の”行間(線間?)を読み完成度の高い施工を目指す”ベテランの現場監督もいます。

 ◇ 工事監理にもいろいろな方法が… ◇

 工事期間中ずっと現場に常駐して監理する場合もありますが、一般的には、非常駐の「重点監理が行われています。建物の性格や計画内容、依頼内容などから、その内容ややり方が異なるわけです。

 一般的な、設計側が行う“監理”は以下のような項目があげられます。

      @ 基礎や躯体(骨組み)の確認や指導、現地施工立会い、検査

      A
 図面に表示されてる、建築法規の規定の実現を確認する

      B 設計図で指定されている材料や機器が使用されているか確認したり、その証明書を要請する

      C 色や柄の選定やコーディネートをする

      D 施工者が検討して作成した施工図を、(現場監督員と共に)チェックする

      E 定期的に行う現場での会議に出席し、打ち合わせを行う

      F 躯体が建ちあがった時(上棟)や、竣工間近にも検査や確認を行う (建築主も立ち会う)


 設計施工の場合、自分で自分を厳正にチェックする事は難しい場合が多いですから、最近では、ガス会社や電力会社、専門検査会社などが、“第三者検査”と銘打って住宅の検査を5回位、有料でチェックする事をやりだしています。

 これは、行政申請(確認申請)のみ設計者に委託したり、工事会社に設計から全てを依頼する場合には“必要な検査”かもしれませんが、設計者が設計意図を実現させる為の“工事監理”とは、内容の面では大きく異なります。

 構造体がメチャクチャなテレビに取り上げられるような欠陥住宅は防止されると思いますが、一般規定の内容が単にやってあるかどうかのチェックですから、シンプルな内容です。

 費用には大差がありませんし、工事監理は法律で規定されている極めて重要な業務・ステップですから、”建築主側の設計者に依頼する”のが得策と思います。

 
建築主が設計事務所を選定して、設計や契約、工事監理に当らせるのが、最も、正常と思われるのですが、専業設計事務所の活用が充分なされていない為もあり、社会問題が絶えることはありませんでした。(最近は、国土交通省が建築基準法を改正して、この工事監理を強化するようになりました。)
 

暖炉(手作りcanndy_ok)  ◇ 工事監理ですべて、◎ですか?

 (住宅などの場合)1週間に1〜2回・全工程で25回程度の、非常駐の工事監理では、厳密な意味では、充分な指摘や依頼ができない場合があります。為に、現場サイドの勝手な判断で工事をされてしまう事も絶対無いとは言えません。例えば、施工した部位の結果が悪く、本来であれば、解体撤去の上、再び施工しなければならないところを、簡単な補強で覆ってしまう事なども考えられはします。

 工事監理や行政の検査だけで、全てが解決できないのが建築の難しさです。設計図の意図を実現させる為には、施工者のノウハウや専門工事者への指導、現場監督の心配り、各専門工事者の熱心さが大変重要になるからです。

 施工請負会社は、各職種の工事者をほとんど全てを下請け・外部に委託し、その専門工事者との間で、価格と内容を取り決めて工事を行うわけです。
 元請けが安価に発注する為に、充分な設計仕様の伝達や品質指導を行わない事も有り得ます
。ほんの一部の施工会社と思いますが、隠蔽になったり指摘されなければ良しとして済ましてしまう事があっても不思議では有りません。

 建築メーカーとしての請負者の工事のチェックは、専門工事の場合にも当てはまりますから、“管理”と“監理”が全ての部門でキッチリなされれば、”設計ミス”以外では、工事における重大な品質問題は発生しないという事になります。

 ◇ 現場監督の活躍で決まる? ◇ 施工家

 現場管理は、施工品質の管理をしながら、労災事故への防止配慮や工期・工程の調整、実行予算管理など多くの処理をリアルタイムに行なわなければならない、かなりきつい職種です。

 専門工事の人と設計監理者がいれば請負会社は要らないのではないかという見方もあります。指揮者が指揮をしないで現場にもこないのであればその通りなのですが、指揮統括の必要がある以上、請負者と現場監督は必要です

 スポーツの世界では、監督の力量が大変重要視されていますが、工事現場の『支配人・社長』でもある「現場監督」も同様です。もっともっと、スポットライトが当たるようにして、十分なやりがいを持って、下請け任せではない「現場管理」にあたってもらいたいと思います。

 工事現場での”スキル”の大切さと、その発展を願う意味をこめて、“施工家”という言葉を使ったらどうかと言う人もおります。

  工事中の変更と費用は?  雪かき(手作りcandy_ok)

 着工後、建物の内容をより良くする為、設計図を調整して施工する様、現場に依頼や指示をする場合がまれにあります。工事金額に変更が出る時や建築主の管理などに影響があると思われる場合には、事前に建築主と協議を行ってから対処します。軽微な変更や調整は、工事監理者の判断で行い、必要なことは記録の上、後で報告しています。

 地盤調査を行っても、工事をしてみると、同じ敷地のなかでも支持地盤の深さが、場所により異なっているケースがしばしば見受けられます。特に山地や河川の近くに多くみられるという感じを持っておりますが、このような場合には、基礎の寸法を大きくしたり、杭打工事における杭材の長さや本数を変更しなければならない事もあります。

 工事途上での設計変更は、スケジュールや工事費、変更手続き費などに大きく影響する場合があります。やむを得ず、工事の変更を行う場合には、精算時のトラブル回避の為、できるだけ、費用やスケジュールの変更協議が完了してから着手するようにしています。

 部分的な変更工事や僅かな追加工事の費用は、契約書添付の内訳明細書での実質単価で清算します。契約書に単価の無い新種の工事を行う場合には、提出された見積書を、監理側で独自に調査、検討をして報告します。

 建築主からの”変更や追加の工事”で、設計監理の業務報酬をお願いする場合があります。打ち合わせの他、設計図の作成や行政申請、工事者との交渉を要するなど、業務量が少なからざる場合にはやむをえませんので、請求させて戴いております。

 工事契約の前には、見積もり書をチェックしていますが、契約書添付の工事費内訳明細書と設計図との相違などが有った場合には、設計図書や見積り要項書を優先するというルールを採用しています。

門松(手作りcandy_ok)  ◇ 竣工後は定期点検を! ◇   

 竣工後、快適に活用する為に、浄化槽・消防設備・特殊設備・高圧電気設備などは、必ず、保守管理契約を締結します。その他の一般部分も、定期的な点検を行い、大雨や台風の後は必ず点検しておきます。

 初期不良などはもちろん無料修繕でやってもらえます。
余りひどくならないうちに、修繕工事を行う事が必要です。
建築は完成した時から劣化が始まってしまい、残念ながら、時間と共に良くなる事は余りありませんので、
観察とメンテナンスを充分行って戴かなくてはなりません。
各種の保証書は大切に保管し、機器類の取り扱い説明書は良く読んでおいておくことも心がけます。

終り
ひなまつり(手作りcandy_ok) 2002.04.20改

拙い文章を最後までお読み戴き、誠に有難うございました。

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