
◆ 地盤沈下
建築の事故で最初にイメージされるのは、建物が傾く“地盤沈下”です。
ピサの斜塔が有名ですが、“前衛建築”とかでワザワザ、眼を引くために全体を傾けて設計したり、あたかもグチャグチャに壊れかけたようなデザインで建てられている事があります。よほど魅力が有るのでしょうか?
魅力どころか、本当に一大事になる沈下事故は、実は結構多いのです。25年位経った木造住宅を測ってみますと何pか下がっている事が結構あるのです。その頃の住宅の基礎には、鉄筋を入れてない工事は多かったものです。建売住宅なぞで入れてある事はマレだったのではないでしょうか?たいてい換気口の廻りにクラックが発生して、外壁の建具は建付けが悪くなっていれば、下がっている可能性があります。
多少緩い地盤でも、山土で30pくらい盛り土してよく転圧してあれば、正常になっているケースもあるかもしれませんが、近隣で杭打ち工事をされたり、重量トラックが頻繁に通過するところでは、地盤が圧密されてしまい沈下するのです。基礎や骨組がやられていなければ、リフォームもスムーズに行えそうですが、躯体が傷んでいては、建てなおすほうが得策になります。
建物周囲の擁壁や土留めが簡易に造られている為に、基礎下の土が逃げてしまって障害が出たり、ブロック塀が傾いてしまったなどという話も多く見うけられますから、地盤の“疲れ”を前提に堅固な方法で造っておきたいものです。
土地を求める際には、地盤の固さを良く調べておかないと、掘り出し物と思っていても、杭工事などに多額の費用を強いられる場合が有ります。敷地を探す時、地図や歴史、住んでいる方からの情報などである程度予測も出来ますから慎重に調べます。地名や等高線、公共施設の基礎工事をチェックして検討します。
軟弱地盤ならすぐ“杭打ち”と思いやすいのですが、“ベタ基礎”や“地盤改良”で対応できる場合も有ります。地震時に杭の頭部分が壊れる被害からすれば、杭を打てば全て万全でもありません。圧密沈下の恐れが無ければ、地盤改良を行ってベタ基礎を採用する事もあります。
【埋め戻し土の沈下】・・・・・・擁壁・建物周囲
建物周りの地盤沈下や、擁壁の埋め戻し土の造成地沈下などが多いです。一度掘り返して撹乱された土は、水締めしても埋め戻し土は圧密沈下しやすいから、埋め戻し土にセメント固化材を混ぜる地盤改良を行なうべきと思います。 (2005.12.22追記)
◆ 工事公害
「工事公害」って聞けば、すぐイメージされるのは工事騒音や交通渋滞ですが、“杭打ちの振動”も迷惑になります。近くに精密品の製造や機器を取り扱って居るところがあればなおさらです。振動で周囲の地盤をも締め固めてしまい、近隣の住居を傷める恐れがありますから、町場では、無振動無騒音の“セメントミルク工法”が多く採用されています。鋼管の先にドリルのような羽根を付け回転させて、地球にビスを揉みこむような低振動工法などもあります。
◆ 材料劣化
住いの寿命が25年と言われる日本は“建築消費大国?”です。アメリカでは、時間が経った古い中古住宅ほど高価であり、新築間も無い住居では手が掛かっていないので、材料は新しいかもしれないが、価値が低いそうです。筆者の身内が米国で住いを建てたところ、工事費はずっと安いが精度の悪い出来あがりだったようです。で、みんな日曜大工が盛んで、やり直しや補強をしばしば行って、次第に良くしてゆくようです。住宅の設計図も販売されていて、2インチ4インチ断面の木材を買ってきて、自作する人も多いとの事です。(牧場の小屋を作ってきた先祖の遺伝子が入ってる?!)
外壁の塗料やシーリング(コーキング)、材木の防腐剤・溌水剤など5〜6年位毎にメンテナンスを掛けたいところです。雨漏り同様、錆や塗膜の劣化もちょくちょく観ておく一方、“メンテナンスの費用”も積みたてておきたいです。
◆ 汚れ・錆
サッシュ廻りやシーリング付近からの汚れ、換気扇からの油の滴り、鳥達の糞・・・良く観られる外部の汚れは時折の清掃でかなり回避できるのですが、ついつい日頃の仕事に忙殺されてしまいます。出来れば、“雨の日”に合羽衣装でブラシやケレン道具をもって擦ってやれば、結構美観が保てるハズと思います。(伸縮する物干し竿にブラシを取り付けて、私も、実際にやりだしています。)
外壁の汚れを減らす方法として、庇を深くし壁には幕板を設ける、手摺上の笠木やサッシュ下の水切り皿板を壁より出す、汚れそうな部位は材料を換えるなどの方法は良く行われています。
植物の多い敷地では、苔対策もあり、吸湿性が低い外壁材。交通量の多い道路に接する場合には、煤煙の掃除がし易い外装材。デザインを優先したいところをグット我慢して情緒性の少ない材料を選択せざるを得ない場合もあります。耐汚染性塗料や、防錆能力を左右する錆止めの下地処理、スチールからステンレス等、いずれも工事費に影響してきます。
◆ シックハウス症・健康建材
住い造りの本には、必ずこの問題が取り上げられて来た為か、建材メーカーも、低アルデヒド建材を製造販売するようになりました。ホルマリンだけではなく有害物質は多種多様にあるようです。製造メーカーも健康建材の開発と商品テストに励んでいると思いますが、発展途上でマイナス面が出る場合もあります。伸縮や変色など、薬で言えば“副作用”ですが、現在この情報が豊かとは言えないと思いますので、チョット心配です。
(詳しい事は、専門HPを訪ねてください。)
◆ 設備事故・機械故障
新品なのになんか変だ、動作不良だ!って事も多いのが機械などの故障です。エアコンから“雨漏り”、照明器具の点灯がチカチカする、電気盤のブレーカーが落ちる、排水管が詰まるなどなど、残念ながら不具合が多く出るのが、水や液体に関係した工事、建具や動く物の動作不良です。
竣功前には、設備の施工会社が試運転を行って動作を検査したりデータを取ったりするのですが、ズット継続して使用して行きますと、取り付け不良があったり、部品が悪いと障害が出てしまいます。機器の初期不良もありますが、竣功直前の時間不足から、設置後の調整が不充分なままでの引渡しの場合もありますので、要注意と言ったところです。
◆ 住宅の品質確保の促進等に関する法律
“建築品質”への要求が高まり、通称“品質確保法”が平成12年からスタートしています。建築基準法の第1条は「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する“最低の基準”を定めて、・・・」とあります。最低の基準が満たされても、使い方や用途によって、不具合は一杯ありますからもっとグレードをアップしましょう、それらの性能目標を細かく定めますから、ご希望の方は、品質の良い建築を建てて下さい。と言うものです。
1.構造の安定
2.火災時の安全
3.劣化の軽減
4.維持管理への配慮
5.温熱環境
6.空気環境
7.光・視環境
8.音環境
9.高齢者などへの配慮
(“品質確保法”も専門のホームページに掲載されています。)