(建築物内での事故を主に“建築災害”って言われていると思いますが、ここでは、普段生活しているときに遭遇するので、勝手にこう名づけています。)

火災 

 火災原因のワースト6は、タバコ・コンロ・放火・焚き火・火遊び・石油ストーブからだそうです。建築を計画する上では、隣家への延焼、あるいは周囲からのもらい火への備えと、火災時の消火設備、及び、避難対策が焦点になります。

 建築基準法と消防法で、詳細に規定されていますので、先ず、完璧に法律や規定を尊守する事となります。

 火災や避難について細かく備えを規定している消防法では、火事の原因が分かったり避難上の配慮から種々の“通達”が増えてしばしば法規が改正されてきました。竣功してしまった建物でも、“遡及適用”といって、古くなった建物の消火設備や避難設備について、最新の規定に適合するよう指導をされる場合があります。
 
 建築基準法では、火災抵抗に関わる建築の骨組や防火建材、避難しやすいプラニング、消防隊の活動に支障がないような造りを求めています。

 法規で強制されていない住宅や小規模店舗、ビルでも、避難や消火設備を備えておきたいと思います。
非常照明や避難方向を2通り以上、避難はしご・ロープ、隣家間延焼、内装材を防火建材、火災感知器、消火器具などです。「備えあれば憂いなし」です。

生活騒音・楽器ペット騒音

 隣家との騒音イザコザでの事件は時たま報道されますが、集合住宅(アパートやマンション)の隣家間(上下共)の防音は、完璧ではありませんが、一応の処置が建築基準法では行われる事になっています。
 
 外部建具を閉めていれば、隣家間の話声やTV音声などの“
空気伝搬”はかなりとまるのですが、飛び跳ねたり物を落としたり、引きずったりする、“固体伝搬”はコンクリート造でも、充分阻止する為には複雑な方法が要ります。

 階上に設けた柔道場などでは、フローリングの下に、ゴムをはさんだ“ダンパー”というクッションを入れて衝撃音を落としたり、コンクリートスラブの上にグラスウールなどの緩衝材を挟んでさらにコンクリートスラブを設ける方法も行われています。

 木造住宅では、従来、畳やカーペット敷きが多かった為もありそれほど問題ではなかったのですが、フローリングの流行と共に要求が増えてきた為、遮音シート・ウレタンフォームマット、クッション付きフローリングや軽量コンクリート床などが持ちいられています。

 音については個人差も多い事や、小さな隙間でも音漏れしてしまい建築工事の対処法もやや“難”の面があること、外部音の低減が内部音の気がかりへ影響する事などからか、通称・品確法の“住宅性能表示制度”では、唯一、選択項目になっています。そしてその表示制度での“音環境に関すること”の項目では、「外部からの騒音の遮音」で、“外部開口部”に限定されています。

 理想的には、居住室のサッシュには“複層ガラスや雨戸を付けた防音サッシュ”、部屋廻りを“防音室内建具に防音壁と防音天井・衝撃対応床”でガードすることです。(簡単な話ではありますが、予算で難しくなる場合も多いです。)

生活水の漏水
 
 洗濯機防水パンの下のジョイントや水道管の接続、排水管の詰まりなどで階下に漏らせてしまったという事例は書籍にも多く取り上げられています。排水管径が細すぎたり、洗濯の洗剤泡によって排水管が塞がれてしまい接続不良で漏水した結果も多いようです。

転落・転倒・怪我  

 ベランダの手摺から子供が落ちた事故や、大勢の人が階段で将棋倒しに会ったり、駐車場ビルから車で落ちたりして新聞で報道されたりします。

 住宅内での死亡事故は、平成8年時点で7585人、そのうち65歳以上の人が70%を締めるそうです。そして、32.4%の2500人もの方が浴槽の中で溺れる事故に遭遇しているとの事、9000人前後の交通事故死も悲惨ですが、住宅内で亡くなる不慮の事故も痛ましいです。

 脚が充分に上がらない為に躓いて、転倒し骨折された話は良く聞くところです。高齢者のみならず、一般健常者にも快適になりますので、敷居や框(かまち)を無くし、明るさや色にも配慮するバリアフリー化が推奨されているところです。

 転落・転倒・衝突・滑り・挟まれ・擦り傷・火傷・中毒・ガラス負傷など、かなり多くの災難があります。“気をつける”が基本であっても、設計で手当て出来るものは出来るだけやっておきたいです。高齢者障害が出たときの事を始めとして、幼児への配慮も大切な事。樹脂ガラス等の採用、開き戸より引き戸の採用、ノンスリップ床材、手摺・手摺柵などなど、危険の少ない計画を目指したいと思います。