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これからの建築や街はどうあってほしいですかユニバーサルデザイン   

 住まいや建物に求められる要望は同じようにも思えるのですが、洋服や食事と同じく、十人十色です。それぞれの価値観と生活態様の為に、様々な住宅デザインが街に展開されています。在来の日本家屋式、都市住宅型、ヨーロッパ様式などなどですが、それらの形態や意匠の中に埋没して見えにくい“その生活の装置”について考えた時、“生活”そのものや“人生”をもっと研究する必要を感じています。

 最近とみに、“バリアフリー”や“ユニバーサルデザイン”、“ノーマライゼーション”などの言葉がよく見うけられるようになりました。高齢社会の到来で、介護保険を始めとして、その用意を緊急に必要としている今日であると思います。人は必ず歳を取り高齢になります。
 
 人生最後の時期を、安泰に快適に過ごしたいのは誰しも同じ事と思いますが、今までは、そこに注目される事無く、慣行的な住まいづくりになりがちだったのではないかと思います。

 バリアフリーなんて段差を無くし、手摺りさえ付ければ良いでしょうと思いがちでしたが、高齢者や障害者の方のご意見や状況をお聞きしてみますと、それほど簡単では無く、多くの問題や社会的現状の立ち遅れを知らされる事にもなります。今まで、勉強不足でおざなりだったなと反省もさせられています。

 高齢者の方がしりもちをつき骨折で入院を1ヶ月でもすれば、ほぼ確実に、“痴呆症っぽく”になると言われています。ご本人はもちろん、家族の方の大変な苦労が始まってしまうわけです。生活の拠点である住居が整備されていれば、危険は確実に減少し、より快適な生活になるはずですから、高齢の方が住まわれている場合には“ころばぬ先の杖”として、耐震補強やメンテナンスを兼ねて、バリアフリー化しておく、あるいは、最初から充分考慮した計画や工事が大切ではないかと思います。

 足や関節が不自由になっても、出来るだけ自立した自分の生活が出来るように、家族の援助や介護も楽に行えるような住まいであることは、オプション仕様ではなく、基本的な条件でなければならないように思います。

 それと同時に、自分の家だけバリアフリーであっても、出かけた先のお店でケガや骨折をされる恐れが充分ありますから、正しく、社会的に推進され、街全体がユニバーサルデザインになってほしいというのが生活する人々の願いになります。

 静岡県は、平成11年からユニバーサルデザインの推進と啓蒙活動に取り組みだし、平成12年には、シンポジウム開催や啓蒙の為の県民講座を開催しています。大学の公開講座やNPO法人の活動などでもアピールが行われていますし、(通称)交通バリアフリー法も用意されました。
 
 いろいろ教えていただく内容からですが、これからは、街や建築などの都市環境ばかりではなく、衣服や生活道具など全ての面において、”安全で、バリアが無く、機能性が良く、価格が妥当で、自然環境に良く、そして美しい”そんな(夢みたいな)品物や環境が求められるようになり始めています
 
 従来の概念からすれば、「急に言われても、とてもそんなには出来やしない。」と思ってしまいやすいのが、正直のところ提供側・製作側の本音ですが、今まで認識してやってこなかった事柄ですので、充分な自信が無いのはやむをえない事です。

 住まいづくりや店舗造り、洋服や食器、家具など、ありとあらゆる道具達や社会システムが、ユニバーサルデザインを目指して提供されていけば、それが、すぐ完璧なデザインやシステムではなくとも、豊かな環境へ確実に進化してゆくのではないかと思います。

 建築側は特に、常にユニバーサルデザインを念頭において計画してゆかねばならないと思います。同時に、建てられた建築空間に対して、使い勝手や意匠に関心を持ち、意見や希望、評価を出して戴く事で少しづつ発展してゆくのではないかと思います。

“ユニバーサルデザインってなんだ”は、快適な道具や環境の提供、人々の気配りや“平等”、”やさしさ”の世界のようです。

( 2001.01.01 )


※ 最近になって、最も分かりやすく、適切方向性を示してくれている、すばらしい本が出版されました。
学芸出版社から川内美彦著『ユニバーサル・デザイン“バリアフリーへの問いかけ”』定価2,000円
です。発行日は2001年4月30日です。図書館にも蔵書されつつあると思います。

 ユニバーサルデザインの提唱者、ロン・メイスなど、運動発祥地アメリカの関係者60人とのインタビューを行いながら、解説と啓蒙をしている著書です。きっと、お役に立つと思います。( 2001.06 )


目次

第1章 ユニバーサル・デザイン
    1.1 ユニバーサル・デザインとは
    1.2 ユニバーサル・デザインまでの道のり
    1.3 ユニバーサル・デザインの進展
    1.4 疎外するデザイン
    1.5 バリアフリーVSユニバーサル・デザイン
    1.6 ADA(障害をもつアメリカ人法)
第2章 ユニバーサル・デザインの性質
    2.1 インビジブル(目立たない)
    2.2 アジャスタブルとアダプタブル
    2.3 選択肢(利用者中心の選択肢、多用な席とサイトライン)
    2.4 テイスト/好みに合わせたデザイン
    2.5 ユニバーサル・デザインと“みんな”−ニーズの視点で
    2.6 地域性の反映−2階建て構造のユニバーサル・デザイン
    2.7 まだら健常、まだら障害−ニーズへの肉薄
    2.8 ニーズの衝突−専門家の役割
    2.9 利用者のニーズを探る努力−子供裁判所
    2.10 マーケティング用語としてのユニバーサル・デザイン
    2.11 一般品と特殊品
    2.12 単体・システム・全体のユニバーサル
    2.13 ユニバーサル・デザインとコスト
    2.14 車いすマークがいらない社会
第3章 ユニバーサル・デザインに関わる言葉
    3.1 七つの原則
    3.2 ビジタビリティ
    3.3 ユーザーフレンドリー
    3.4 トランスジェネレーショナル/ライフスパン
    3.5 インクルーシブル
第4章 ユニバーサル・デザインを実現するために
    4.1 必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)
    4.2 教育−消費者と専門家の役割
       多様さを認める教育・専門化への教育・消費者への教育
    4.3 プロセス/改良していく“姿勢”−事前検討と事後評価
       /しくみのデザイン
    4.4 規格化、基準化
    4.5 企業・政府・NPOの関わり
    4.6 ユニバーサル・デザインの課題
    4.7 日本にユニバーサル・デザインは定着するか
第5章 ロン・メイス

 ( 視覚障害その他の理由で印刷媒体では利用が困難の方のために、パソコンによるリーダー用にテキストデーターも配布しています。)


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