WOC2007(ウクライナ)レポート(8月29日アップデート)

29日
 ウクライナから帰国した。当初の困惑もいつのまにか消え、「なんか素朴でにくめない国だなあ・・・」という名残惜しい印象でウクライナを後にした。1997年からこの方、スコットランドを除くと北欧かスイスで世界選手権が開催されてきた。その中で日本、そして今年のウクライナ。改めて、自分たちはよくやったとも思うし、ウクライナを見るとやりすぎたかなとさえ思う。
 日本チームの成績を振り返ってみると、目標として掲げたことのほとんどを達成することができなかった。中には不運もあったが、この2年間の準備不足だと思われる部分も少なくない。2005年、2006年と連続で予選通過者を出し、やや取り組みが甘くなっていたことは否めない。一個人としては残念がるしかないが、組織の責任者の一人として、また一先輩として夏休みも終わりに近づいたというのに山のような宿題が積み上げられた。


25日
 久しぶりに朝から雲の出た涼しい天気となった。北欧ほどではないにしても、少しでも曇ると気温の上昇が少なく、ランナーにとっても走りやすい気温となる。日本チームにとって今回唯一の決勝となった男子のリレーは、25日の午後、ロング決勝と同じ会場、キエフ市郊外にある野外民俗博物館で行なわれた。
 今日の夜に出発の予定の僕は、まず自分のホテルをチェックアウトし、荷物を日本チームの宿に預けにいった。7:30近くなっていたと思うが、まだ7:20のバスが来ていないようで、選手の長い行列ができていた。僕が乗る予定の8:25のバスは10分前には来ていた。早めに乗り込んで一人で座っていると、次第に混んできたところで乗り込んできたミナ・カウピが隣空いてるかと聞く。彼女はいつも肩くらいの髪を三つ編みにしている。髪につけていたのは、キティーちゃんの髪止めだった。「かわいいね」というと、「私くらいの女の子用ね」とよく分からない冗談を返してきた。時に彼女の方から、時にこちらから話しをする。英語が苦ではないのだろうが、レース前の選手は、特別親しい人やチームメイト、コーチ以外とは話をしたくないものだ。これから世界選手権のリレーの3走を走るというプレッシャを感じさせない様子だった。そのバスが、会場に近づくと、彼女は左手の森の中の様子を偵察するように真剣なまなざしで見始めた。


▲レースが始まった。まずは女子のリレーだ。1走は、ロシア、スウェーデンがトップを走り、コーチングゾーンを通過。やや意外な展開に会場はどよめく。


▲しかし、昨年の優勝チームと同じメンバーで臨むフィンランドのハパコスキも1分半ほどの差でトップに食い下がる。


▲2走は、フィンランドのヘリとスウェーデンのエンマの争いで始まるが、ヘリが貫録でトップに立つ。


▲それを追って、ノルウェーとエンマ(スウェーデンが続く)。エンマはこういうところで弱い。


▲三走ミンナは、ノリにノって、独走。こういう時のミンナは強い。このままトップでゴールすることは間違いないと思われる。

▲果たしてミンナはトップで帰ってくる。旗を持っているのはヘリ。ウィニングランの用意。


▲12時に男子のスタート。トップはフランス、チェコ、イタリア、エストニアあたり。紺野も悪くない位置でスタート。


▲紺野から松澤へ。この時点でトップとの差は10分だが、予定よりだいぶ下の順位の27位だ。レースの厳しさがわかる。

▲ロシアの2走アンドレがトップを走る。独走に近い状態で、ノビコフへ。


▲2走男子は熾烈な争い。1位ロシア、2位ノルウェーの後、3−6位の大集団(フィンランド、スイス、スウェーデン、フランス)


▲2走松澤は前半大きくミスして順位を下げる。そして3走加藤へ。加藤は最後のスプリント勝負を制して順位を3つあげ27位に。


▲そうこうするうちに、ロシアのノビコフがフィニッシュ。2連連続の優勝はすばらしい。


リレーに向けて
明日のリレー。男子は39チーム。史上最高の参加チームである。男子のゼッケンは24。つまり前回の順位が24位であったことを表す。女子は今回は残念ながら登録選手が2人なので、リレーチームは初参加の83年以来初めての不参加となる。

コーチのロブのコメント
 15位は高い目標だが、現実的には20位が目標となるだろう。20位は十分達成しうる。コースは易しい。しかし、タフなレースとなるだろう。テレインは速いし。気温も暑い。それは多分アドバンテージとなるだろう。気候を気にせず、最後までしっかり走れるかがポイントになるだろう。誰もが暑く、きついはずだ。
 紺野は、一走として、冷静なレースをすることが鍵となる。リレーの走り方で重要なのは、まず自分のルートをプランして、その上で他の選手の動きを見ながら動くことだ。
 これまでは残念な結果だったが、自分たちの力を見せる最後のチャンスだ。アグレッシブでありつつ、冷静に!

1走:紺野のコメント
 初めて1走を走るので、まだ考えがまとまっていません。プランがまとまっていないが、集団をとらえて最後まで走れればと思う。
2走:松澤のコメント
 過去の地図を見て、十分な検討をした。いろいろな状況も考えた。レース観戦を楽しんでほしい。
3走:加藤のコメント
 冷静に慎重にレースをするだけです。

番場選手のコメント
 リレーを走れないのは寂しい。次回は必ずチームを組める人数を揃えてやってきたい。

小暮選手のコメント
 女子が二人だと、チームというより個人参加という感じがあるので、世界選手権は日本チームとして臨みたいので、国内のレベルも、もちろん自分もレベルアップしたい。今年は、何年ぶりかのひどいレースだったので、世界に通用する強い身体と頭を作って臨みたいです。30歳後半まではいけます。

23日:ロング決勝
 せめてロングの決勝の日だけでも涼しい一日を、という期待も外れて、朝から暑くなりそうな気配がむんむんする好天に恵まれた。キエフ市街地の外れにある野外民俗博物館である。スプリント予選が行なわれた公園の南にあたる。
 女子は、昨日も圧倒的な強さを見せて個人戦11個目となる金メダルを獲得したシモーネが優勝候補の筆頭である。一方男子は、前回チャンピオンのヤニ・ラッカネン、2005年日本でのチャンピンのアンドレ・クラモフなど、誰が勝ってもおかしくない状況にある。
 男女ともほぼ9:30がトップスタート。

▲昨日のミドルでは13位と、ふるわなかったオーストラリアのハニー・アリストン。今日は順調な走りで、会場そばのスペクテーターコントロールに現れる。ここで地図交換の後、約2kmのループを経てフィニッシュとなる。


▲日本の世界選手権も暑かったが、今回もそれに匹敵する酷暑である。会場そばのコーチングゾーンでは、通過する選手に、コーチが飲み物や食べ物を提供するほか、水を掛けて、身体を冷やしてやる。


▲そうこうするうちに40番目スタートのミンナ・カウピが、トップタイムを更新してコーチングゾーンに現れる。このペースなら、初の世界チャンピオンタイトル獲得か、と期待がかかる。


▲その約5分後、女王シモーネが現れる。4人の大パックである。シモーネのすぐ後ろ(ブルーと白のウェア)に2分後スタートのフィンランドのヘリ・ユッコラが。日本の時とは逆の展開である。あと2km。シモーネの逆転はあるのか。そしてこの時点でトップにたったヘリがそのままミンナも押さえて優勝なのか・・・


▲ミドルでは予選、決勝ともふるわなかったノルウェーのハウスケンは、今日は最終スタートで気合いの入った走りを見せる。

 
▲コーチングゾーンで、ヘリに追いつかれたシモーネだが、最後の2kmでヘリをちぎってゴールレーンに向かう(左)。いつ見てもきれいな走りだ。最終コントロールで建物(写真右)を大回りして、タイムロスしたヘリだが、シモーネのタイムを上回ることは確実。後はミンナとどちらがはやいかだ。きわどい勝負に、アナウンサーもオフィシャルタイムを参照。
 結果は80分17秒、史上初めて二人のチャンピオンが誕生した。


▲男子はしばらくチェコのミカエル・スモラがトップにいたが、ロシアのアンドレ・クラモフが圧倒的なタイムでコーチングゾーンを通過。このまま優勝かと思われるが・・・


▲今日もノルウェーのノルベリはがんばった。
昨日4位に続き銅メダルを獲得。男子では、ミドルとロングを掛け持ちする選手は少ないなかで両種目入賞は快挙だ。


▲アンドレがトップタイムでゴールした時、唯一それを上回る可能性があったのが、スイスのマチアス・メルツ。そのマチアスは、プレウォーニングもなく、するっと最終コントロールに現れた。3分近い差で余裕の優勝である。2003年のスイスのトーマス・ビューラ以来3つ目の金メダルをスイス男子にもたらした。


▲クーリングダウンをしていると、役員に囲まれ記念撮影をせがまれるミンナ。さすがに嬉しそう。


▲2年ほどまえにワールドカップを経験したウクライナだが、ITを中心に運営の問題が指摘された。地元役員に混じって多くのイベントアドバイザー・アシスタントが運営をバックアップ。


22日:ミドル決勝 
 ミドル予選は女子ではシモーネがヒートBでヘリ・ユッコラに負け2位、ミンナ・カウピに至っては11位通過というやや波乱の予選であった。男子はノビコフ、ジョルジョ、そしてフブマンが順当に1位通過を果たしている。そして22日、ミドル決勝は予選と同じようなほぼ平坦で、砂丘状の凹凸があり、しかも通行可能度も見通しも悪い森で行なわれた。女子の前半スタートはノルウェーのハウスケンなどがいるにも関わらず40分程度のタイムしかでず、どうなるかと思わせたが、さすがに上位陣は固い。

▲予選11位で通過した、13番スタートの村越イチオシのミンナ・カウピがそれまでのタイムを大きく更新する26分で会場のスペクテータ区間を通過。ビッグタイトルで唯一勝っていないWOCで初優勝かと期待をしたが・・・


▲相変わらず強い。シモーネ。全盛期の大鵬か巨人のよう。圧倒的なタイムでトップでスペクテータ区間に姿を見せる。


▲ヘリ・ユッコラもいいタイムだったが、シモーネには及ばなかった。

▲スウェーデンのヘレナ・ヤンソン。ラストスタートであったが、すでに勝負あり。やや寂しい最終コントロールに向かう。


▲19番スタートのスイスのミューラ。好調な走りで一時はトップに立つが・・・


▲村越イチオシのノルベリだが、やや期待はずれの成績。2年前の北欧選手権ではミンナとともにあっと驚くパフォーマンスだったのだが、世界選手権ではもう一つ。


▲昨年、ジョルジョの4連覇を阻止したノルウェーのホルゲ(左)だが、今回は今一つ。


▲それにしてもジョルジョ強し。3連覇がとぎれた後の優勝。世界のトップクラスでそれだけのモティベーションを維持し、またきっちりピーキングをしてくるのがすごい。今回も圧倒的な2分前のノビコフをとらえて優勝。フィニッシュレーンではガッツポーズも。


▲そしてノビコフ。すばらしい走りもジョルジョの前には曇ってしまう。
それにしても、ウクライナの森は見ての通り。日本の東京郊外の森よりもひどいのでは・・・その中で予想通りのタイムのコースを組む方も、走る方もすごい。


▲そしてフラワーセレモニー。シモーネは個人戦だけで11個目の金メダルである。


Side B of Ukraine 「キエフの休日」
 昔「天国にいった酔っぱらい」という歌があった。ウクライナも慣れてくると天国のようなところだ。「酒は(食い物も)安いし、ねえちゃんはきれいだ♪(おまけにメリハリボディーだ)」ヨーロッパとはいえ、長くソ連支配が続いていたせいか、発展途上国的な雰囲気が残っている。駅前の雑踏も、空港のタクシーの客引きも(値段をふっかけてくるところも)東南アジアのようだが、慣れてくると、その猥雑さがなんとも楽しい。

▲地下鉄駅前の「バザール」の様子。向こうに見える近代的なショッピングセンターと対照的

 公共交通は安い。地下鉄は0.5フリムナ(1フリムナは25円くらい)。たったの10円!だ。
選手たちがいるツーリストホテルも、私たちがいるホテルスロバチも旧市街地から見てドニエプル川をはさんだ対岸にある。中心部まで地下鉄で4駅。
 
▲世界一長い地下鉄のエスカレーターなのだそうだ。右は旧市街の古い街並み。雑踏は雑踏だが、中心街は古い建物が残り、ヨーロッパらしさを感じさせる。ちなみにこの通りには、グッチやらルイ・ヴィトンなどのブランドショップが軒を連ねていた。そういうビルの地下に、1食400円くらいで、主食とサラダ、飲み物が食えるセルフサービスレストランがあるのがウクライナらしい。
 下がそのセルフサービスレストランにて。




▲バスも安い。香港あたりに走っていそうなミニバス。1フリムナらしいが、釣りがいるときは、運転手が無造作に手に持った札束やフロアにおいた小銭で釣りを払う。「東南アジアのミニバス」なので当然混んでいる。乗って後ろに押しやられてしまった乗客は別に知り合いでもない乗客に1フリムナ札を差し出すと、その乗客は当たり前のように、それを運転手に渡す。釣りがあると、逆の経路で元の乗客の元に釣りが戻る。たまに「スパシーバ」の声が聞かれる。
 後ろの乗客から差し出された札を運転手に渡すと、自分もウクライナ市民になった気分だ。
 パリから来る飛行機で隣の席が日本女性だった。なんでも父親がウクライナにいくなら今だ、と言われて両親と旅行に来たのだそうだ。10年くらい前にタイムを取っていた時、「東欧にいくなら今(ヨーロッパのひなびた田舎が堪能できる)」みたいな記事があった。その東欧もソ連崩壊以後、すっかり西欧化してしまったようで、それがさらに東の旧ソ連領内まで移ってきたのかもしれない。こんなウクライナ社会を見てみると、確かに「来るなら今」と思えしまう。

21日
 全ての予選が終わり、今日が開会式。多くの選手にとっては、これからが本番だが、日本チームにはもう男子のリレーだけが残っているに過ぎない。
 彼らが、リレーに向けて、予選総括のミーティングをしている時、僕は理事会に参加後、ヨーロッパ外諸国のミーティングに参加した。世界選手権の時には必ず地域のミーティングが開かれる。一つが「ヨーロッパ会議」そしてもう一つが「ヨーロッパ外会議」だ。このこと自体をとっても、オリエンテーリングがいかにヨーロッパ中心のスポーツかはよく分かる。ヨーロッパ外のミーティングでは、通常、儀礼的な情報交換が行なわれるだけだが、今回はワールドカップのあり方、地域発展のためにIOFがすべきことなど、実質的な議論のやりとりがあった。
 明日は、アジア地区のミーティングが開かれる。参加国は少ないだろうが、アジアは現在のIOFにとって、オリエンテーリングが世界的スポーツになる上での重要な地域だ。
 17時から開催された開会式は、キエフの中心街のはずれに位置する公園で行なわれた。東欧諸国のセレモニーは退屈なアトラクションが延々と続くケースが多いのだが、今回は挨拶の数こそ多かったものの、一つ一つは短く、また何より英訳された部分が少ない(!)せいか、45分という比較的コンパクトに終わった。
 アトラクションも、ドイツの二番煎じながら車いすの障害者によるダンスと、民族舞踊で、かなり楽しめるた。

▲ホテルでのミーティングの風景。

 
▲(左)開会式のアトラクション。障害者と健常者のペアによるダンス。なかなか素敵。開会式後、会場の石像の前で記念撮影する日本チーム。


▲開会式で旗手を務めた加藤。主催者から、記念のパン?が各チームに贈られた。

20日
 最後の予選、ミドルのスプリント。僕はIOFの理事会のため会場にいくことはできなかったので写真は無し。結果はこちら、
男子は小泉、加藤、紺野、女子は小暮、復調しつつある番場が出場した。
 テレインはモデルにもなかった砂防林のようなテレインだが、通行可能度は地図で見るより1段階づつくらい悪いらしい。秋田のワールドゲームズのテレインに似ている。
 小泉はヒートBでトップのチェリー・ジョルジョ26分に対して、50%増しの39分。少なくないミスをしたようだ。加藤はトップ28分に対して38分。ボーダーまでは6分以上の差があるので、昨年に比べてもパフォーマンスは落ちている。
 一方病み上がりの番場は、体調が十分とは言えず、1番でミスをして、そのまま気力が萎えてしまったようだ。会場では、アナウンサーが「(最終スタートの)ヨーコ・バンバがいるので、(ノルウェーのアンネ・マルガリーテ・ハウスケン(その時15位)は危ないぞ!」というアナウンスが流れたが、結局トップの倍以上のタイムの26位に終わった。
 これで世界選手権個人戦の全ての予選が終わった。今回は男女とも予選通過はゼロに終わった。2005年に築いた「予選は通過して当たり前」がとぎれてしまったこと残念に思われる。
 毎年の世界選手権による負担、他の中堅国の台頭など、結果がふるわなかった理由はいくらでもある。しかし、次回は是非それらを乗り越えて、胸を張って帰国できる成績を残してもらいたいものだ。
 最後のレースリレーは今週日曜日・・・・


8月18日
 夜行便でパリに着いて、そのままウクライナへ。かえにきているはずのオーガナイザーの役員が見えない。周りを見回しながら歩いていると、空港でうるさくタクシーの運ちゃんにつきまとわれる。適当にあしらっているうちに、WOC2007の垂れ幕発見。向オーガナイザーのバスで、日本チームの泊まっているツーリストホテルに直行でやってきた。番場は思ったよりも元気だったが、この2日ほどほとんどジェリー以外のものを食べていないという。
 すでに、選手たちはスプリント予選に出かける時刻だったので、僕も荷物をチームの部屋において、そのままチームと一緒に予選会場に出かけた。ホテルのロビーに集まっていると、オーガナイザーの少年が案内役で、まず地下鉄に乗って30分。それからバスに20分ほど乗って会場に到着。途中バスが足りなくなって、番場とまどかは危うくチェックインタイムに間に合わないところだった。「どんなことでも起こりえます」とトリに言われていたが、その言葉以上の状況かもしれない。 昨日のスプリントのモデルでは、モデルたるべき公園の部分が使えなかったとか、開いているはずの時刻にはもうスタートの撤収が始まっていたとか、考えられないことがいくらでも起こる国のようだ。
 スプリントに出たのは、男子は、松澤、小泉、加藤、女子は番場と円香。男子は皆ボーダーまで約1分半くらいだった。1分半と言えばスプリントでは10%。圧倒的に短い距離でのスピードが足りない。ボーダーに一番タイムが近かったのは、番場で30秒。少しづつ体調も回復しているようなので、明日の走りに期待したい。
(ブログ記事再録)

▲こうして、役員の先導で都会の地下鉄からバスへと乗り継いで、会場へ。オーガナイザーに不安があると自然とチームどうしの助け合いも生まれる。ロブが乗り換えのより効率的な方法を教えてやったり、選手どうしで、隣の車両に乗った他のチームの選手に「次は降りるぞ」と目で合図をしたり。選手にとってはそんなこともこの世界選手権の思い出なのかも。

  
▲スプリント予選の最終コントロール。左は松澤、右は小泉。


▲同じく加藤。いずれも予選通過のボーダーまで1分半程度。コースも簡単だったので、スピードがなければ全く太刀打ちできないことを身をもって実感。

  
▲女子は番場と小暮が出場。左は番場。2日間ほとんど固形物を食べていない。ボーダーまで30秒という結果は、調子がよかったらという想像をかき立ててしまう。右は小暮。

19日

ロング予選。森は下のようなところ。日本の八ヶ岳あたりを思わせる広葉樹のきれいな林だ。斜面の急さ加減も日本のようだ。写っているのは、ニュージーランドチーム。右は今回2番目に高齢のロブ・ジョセップ。カッシーと同じ世代?


 
▲ロング予選の小暮。砂の地盤が浸食された細かい地形に悩まされたが、悩まされたのは小暮だけではない。彼女は途中でシモーネ(右)に追いつかれたが、シモーネパックごとミスってコントロールを探し回った。コントロールの後では、シモーネと正面衝突したとか。それでもシモーネはミンナ・カウピを2分も押さえて堂々の1位通過。
 番場は残念ながら、ミドルに向けて、ロングは欠場。


▲最終スタートの松澤はテレインの特徴からして期待が持たれた。トップ57分に対してボーダーが68分。昨日のスプリントに比べれば、それほどタイトなボーダータイムではない。姿を見せてからフィニッシュまで1分半はかかる。やきもきして待っていると、その時15位のエストニア選手のオフィシャルが、「松澤の中間タイム知っているかい?」とやはりやきもきしながら聞いてきた。なんでも最終コントロールのそばで反対斜面に登り4分もミスをしたらしい。松澤のスタートから67分。そのオフィシャルはほっとして戻っていった。


▲紺野も足を生かし切れず、成績は今ひとつぱっとしなかった。

 ロング予選はスプリントに比べるとトップからのタイムも開き、日本選手にも十分可能性があっただけに残念。どんな時にも、自分の力を信じてベストを尽くすとともに、またミスを最小限にする用心深さが必要だ。

20日
 最後の予選、ミドルのスプリント。僕はIOFの理事会のため会場にいくことはできなかった。結果は、