2000/6
私は、今年56歳になるサラリーマンです。
あまり体が丈夫でない妻と、81歳になる母親との3人家族です。
元気な柴犬「らぶ」は、この家族の中にいます。
6月、この時期、ツバメが子育てに、忙しく飛び回っています。
その光景を見ていますと、
私達も、2人の息子を育ててきた、あの「無我夢中」だった頃のことを思い出します。
おかげさまで、2人の息子も、就職やら結婚やらで、元気に巣立って行ってくれましたが、残された
私達は、まるで、軒下に残された、巣立ちが終わった後のツバメの巣状態。
何か気がぬけたような、妙に静かな3人暮らしとなりました。
そして、そこに降ってわいたように、私へのガン宣告。
今までは、どちらかと言うと、仕事仕事で来た人間でしたから、
病気が理由とは言え、自分の座を、他の人に譲る無念さ。
日々衰えていく、仕事への情熱、気力。
そして、わけのわからない不安、さびしさ、いらだち。
そんなある日。
「らぶ」との出会いがありました。 場所は、田舎の、とあるスーパー。
そこの自転車置き場の横の、客のいないペット屋さん。
その店の外に置かれた、小さなゲージの中で、彼は、退屈そうにしていました。
過保護とか、育て方が間違っているとか、言われそうですが、
81歳の母親は、孫をかわいがるように、彼をかわいがり、
妻は、「この子は、きっと母親から何も教えてもらえなかっただろうから」と、まるで、我が子を見る
ような目で、毎日相手をしています。
そして、私は、
そんな2人と1匹に囲まれて、失いつつあった大切なものを取り戻しつつ、励まされながら過ごす
毎日です。

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