余談ですが、「金太郎一家」
                                


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  2002年8月

  我家に、今、7匹の金魚がいます。
  「金太郎」というのは、その7匹の中で一番大きい金魚の名前です。

  話は、今から3年前の、平成11年の夏に戻ります。

  犬嫌いだった妻の同意も得ず、念願だった大きなシェパードを飼い始めた私。
  犬が来てからも、連日、妻から、「世話をするのは私なんだから」と、
  猛烈な抗議を受け続け、挙句の果てには、「犬アレルギー症」で、病院通いをさせる
  騒ぎにまでなってしまいました。

  そして、結局、犬は2週間ほどで訓練所に里帰り。その代わりに金魚でも飼おうかと
  いうことになって、近所のペットショップで金魚を買って来たのです。
  夜店の金魚すくいで見かけるような、5センチくらいのものを、1匹30円也で、
  10匹買って来ました。

  飼い始めて1週間くらいで、3匹が相次いで死んでしまいましたが、残りの7匹は、
  大変元気で、今も、私達の目を楽しませてくれています。

  10匹の金魚は、最初、小さなスイレン鉢の中にいました。
  体が小さかったので、その鉢の中ででも、のびのび泳いでいましたが、2年経った頃
  から、急に大きくなり出して、いつの間にか、その鉢が狭く感じるようになりました。

  それに加えて、また飼うことになった(今度は、妻の同意も得て飼うことになった)
  我家の犬達が、これまた、やじうま根性旺盛で、スキを見ては、その鉢の所へ行って
  は、覗き込んだり、中の水を飲んだりと、金魚達を、驚かせてばかり。
  日中、その光景を何度も見ている家人から、「事故が起こる前に、安全な、大きな鉢
  に、移してやった方が良い」と言われ、早速、骨董物の大きな瀬戸物の火鉢を見つけ
  て来て、それに移してやりました。

  瀬戸物の火鉢が住み心地が良いのか、その後、すくすく成長してくれて、一番大きな
  金魚は、今、15センチ位になっています。
  夏場は、出勤前の私が火鉢を覗くと、一斉に寄って来て、
  顔を水面に出して、口をパクパクさせて、エサをねだります。
  
  その可愛さに、ついつい、調子に乗った私。
  「よし、名前を付けてやろう。一番大きいヤツは、金太郎。その次の子は、金子。
  その次の子は、金次郎で、その次は金三郎。その次は金四郎。
  そして、その次は金五郎」
  金魚のオス・メスも定かでないのに、いい加減な話です。
  これを知った家人からは、馬鹿にしたような笑いの後に、冷たい視線が。

             

  いつの日からか、我家では、この火鉢の中の金魚達を、
  「金太郎一家」と呼ぶようになって、その世帯主を「金太郎」と呼んでいます。
  食欲も旺盛ですから、「これ以上大きくなると、今度は分家か」と、
  冗談交じりに話している、きょうこの頃です。

  




 2003年7月6日

  水槽の水を入れ替えようと、金太郎たちをバケツに移している時、金太郎の異変に
  気づきました。
  金太郎の体が、フグかオコゼのように大きく膨れて、ウロコが立っているのです。
  もともと他の金魚たちより、ひとまわりもふたまわりも大きかった金太郎でしたが、
  この膨れ方は、異常です。
  仲間と元気に泳いではいるのですが、何か痛々しく感じました。

  インターネットでいろいろ調べてみると、どうも「まつかさ病」のようです。
  原因は何だろう。他の子たちにも感染するのだろうかと、今まで、金魚たちの病気
  のことは全く頭に無かった私ですので、ちょっと動揺しています。

  金魚も人間と同じで、体力が低下した時に免疫力が無くなって病気になるようです。
  「まつかさ病」の原因は、特定されているものは無いようですが、原因のひとつと
  して、エロモナス菌の感染だと言われています。この菌は常時、水の中にいて、
  特別に問題のある菌ではないようなのですが、金魚の体力が低下すると、病気の発症
  原因となるようです。
  それ以外の原因として、内臓障害も考えられるようです。
  ひょっとしたら、私の、「エサのやりすぎ」かも知れません。
  いずれにしても、日ごろから水をきれいにして、エサもきちんとやって、しっかり
  管理してやっていれば病気も防げただろうにと、大いに悔やまれます。
  特に金太郎は、いつも私たちを楽しませてくれていましたから。

  いろんな方のホームページを見させていただいて、治療法を教えていただきました。
  中には、「まつかさ病はエイズみたいなもので、治らない」というショッキングな
  ホームページもありましたが、「塩水浴で、大体の病気は治る」と言われていた、
  ある金魚屋さんのホームページを見て、「地獄に仏」の気持ちでした。
  早速、その人の言われるとおりにして、金太郎を移してやりました。

  「仲間と離れてさびしいだろうけれど、頑張って病気を直そうね」



 2003年8月19日

 
 誠に残念なことですが、金太郎が亡くなりました。

  朝、金太郎がいる水槽をのぞいて見ると、底の方で、静かに横になっていました。
  「仲間と離れてさびしかっただろうなあ」とか、
  「病気が治らず、苦しかっただろうなあ」とか、
  「これで、ゆっくり休めるかなあ」とか、いろいろ考えてしまいました。

  16日の送り火の日、水を替えてやろうと金太郎を見ると、少しの水の動きで、
  横滑りするような泳ぎ方をしたり、逆立ちするような姿勢になったりして、自分の体
  なのに自由が利かないという感じでした。
  「最後の水替えになるなあ」と、妻と話していました。
  それからの金太郎は殆んど動かず、呼吸しているのかいないのか、よく見ないと分か
  らないという状態でした。

  4年前、犬アレルギーに苦しんで病院通いをしなければならなかった妻と、折角飼い
  始めた犬を手放さなければならなかった傷心の私を慰めてくれたのは、この金太郎
  たちでした。
  金太郎のいなくなった後の6匹の仲間たちは、金太郎と一緒にいた時よりも元気で、
  今、のびのびと泳ぎ回っています。
  際立って体が大きかった金太郎でしたから、おそらく、その体に物を言わせて、
  エサを独り占めしたり、他の仲間たちを威嚇したりして、我が物顔で泳ぎ回っていた
  のかも知れません。

  今日一日、金太郎のことを思っては涙ぐんでいました。
  歳を取ると涙もろくなります。
  会社から帰ってから、金太郎を荼毘に付して、私の好きなモミジの木の根元に埋めて
  やりました。
  今度生まれ変わった時には、妻が飼いたいと言っているチワワになって、
  また、わが家に戻って来てくれるかなと、そんなことを思ったりしています。

  体長20センチ、体重250グラム。 享年4歳。
  やすらかに眠って下さい。 合掌。