月曜日のミラノ。誰も仕事なんてする気がない。それならドゥオモから24番のトラムに乗ろう。3両連結の電車はミラノの街中を西へ向かう。終着駅は“AXUM”。そこには「カルチョのスカラ座」と呼ばれるスタジオ・ジュゼッペ・メアッツァが日曜日の喧騒が嘘のように、静寂な陽射しの中に聳え立つ。
ジュゼッペ・メアッツァに面した唯一のリストランテとBarを兼ねた店に入り、カフェを頼む。けだるい6月の午後だ。昨日の敗戦を反芻するような濁った瞳の男性客がふたり。カンパリ・ヴィッテルを飲みながら、カウンターに寄りかかり天井を見上げている。外に出ると、ちょっとくたびれたジャケットを着た親父がテラスの椅子に腰掛けていた。今日何度目の休息なのだろう。連れは犬一匹。親父の足元に寝そべっている。
淀んでいて、ふわりとして、ゆるやかな時間。そんな空気の午後は嫌いになれない。スタジアムの平日も悪くない。
ワタシはインテリスタだ。日曜日は地下鉄1号線のLOTOからここへ来た。階段をかけあがるとバスが待っているのでここにたどりつくのはたやすいことだった。でも試合のない日はそういうわけにいかない。だから今日は、24番AXUM行きのトラムに乗る。
そう、この行為を“AXUMismo”とでも名付けよう。試合のない日にスタジアムを訪れ、そのまわりに流れる時間の中にたたずむことを。今夜はちょっと冷えるかもしれないけれど。