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07/06/2002
全州ケンチャナヨ

1試合と半分
全州
晴れ曇り

10時40分の高速バスで全州へ。意図したわけではないが優等バスに乗る。座席幅、前後が広く快適。しかしバスそのものはかなり古い。走行距離はものすごいのだろうかな、と思ったり。高速道路にはバス専用レーンがあるために渋滞する車をしりめに快調に走り続ける。大田の手前で休息を取る。日本にあるようなサービスエリアだ。併設されているガソリンスタンドには「はんぐっちーっ ふぁいてぃん 16強へ」の弾幕などがあまり目立たなくかかっている。こちらも外に出て一服。間違いなく気温は30度をゆうに越えているが、乾燥しているため暑さはあまり感じられない。通常は15分ほどの休息時間だが、20分は停車している。どうやら運転手のおじさんはゆっくり昼ご飯を食べていたようだ。ケンチャナヨではある。

全州スタジアム遠景バスが再び出発したと同時に猛烈な睡魔が襲ってきた。気がつくとすでに高速道路の全州出口。スタジアムはこの高速道路のすぐそばだったはずだ。はたして右手の何もない荒地に全州のワールドカップスタジアムの姿が見えてきた。ぱっと見た感想は豊田スタジアムのような風貌。あたりのなにもないというロケーションも似ている。

バスは料金所を過ぎてスタジアムの横を通る。試合までは4時間あるが街に行って戻ってくるのも少々めんどくさい。ここで降りられたらいいのだが。と、思っているとバスは一度、横断歩道にもなっているコンクリート製の韓国風の門の前で停車した。運転手さん曰く「ワールドカップ競技場です。降りる方いらっしゃいますか?競技場はあそこです」と指さす。僕はここぞとばかりバスを降りる。バスはそのまま高速バスターミナルへ向かっていった。


全州スタジアムそばのビビンバッ屋看板暑い。競技場の前は公園になっているが造成したばかりで日陰がほとんどない。いまから競技場に入ってもまだ早すぎる。時間は午後2時半。少々お腹も減ってきた。そう思ってあたりを見まわすと、道を隔てた反対側に「ちょんじゅびびんぱっ」の文字が。やっているのかどうか定かではないけれどとりあえず道を渡って歩いていく。店の横まで来ると料理をしている匂いが漂ってきた。やっているようだ。スタジアムそばには食事をするところはないという記事を読んだがあるじゃないか。

入口で靴を脱いで中に入るといっぱいのお客さんが“びびんぱっ”を頬張っている。僕はそのまま奥の部屋に案内された。めくちゅとびびんぱっを頼む。隣にはお年よりご夫婦が手持ち無沙汰に待っている。もう食べ終わったのだろうか?と思っていたが、結局びびんばっが運ばれてきたのは僕と一緒。おそらくスタジアムそばのこの店、こんなに人が集中して来たことがないものだから店の方は面食らってパニックになっていたのかもしれない。まあそれもケンチャナヨである。


スタジアム周辺食事後、日陰のない公園を通ってスタジアムへ。もう人が集まっていて、公園内の広場ではわけのわからないショーをやっている。非常にやかましい。しかしこのくらいは韓国の人にとっては許容範囲の音であることは自明だ。まわりをうろうろしていると、当日券売り場があった。値段を見てみるとカテゴリー3で8万ウォン弱。韓国のフットボール観戦の値段を考えるとかなりの高額ではある。ひとりスウェーデン人らしい男性がWCTBから来たINVOCEらしきものを持って売り場でうろうろしている。よくよく見るとインターネットで買った人用の窓口もあった。が、どのようなシステムでどのような結果になったのかは不明。噂に聞いたフェイスペイティングサービスも好評のようだ。別にしなくてもいいかと思うがしたい人はどうぞ。おまけにやる気なさげなダフ屋も登場。カテゴリー1の券を持っていたが、すぐそばで余っているんだから、買い叩かれるのは目に見えている。ご苦労さん。とにかく日差しが強く暑いのでその場を離れてしまったから。そろそろ中に入ろうかと思った頃、日本の馳なんとかというベストセラー作家が立っていた。全州まで見に来たわけか。それはそれで良かったかもしれない。

スタジアム入口はN、E、S、Wとそれぞれ入口が分かれている。N入口から入る。チケットを確認し、荷物をチェックされ、X線のゲートをくぐる。たいてい鳴るのでもう一度検査。ボランティアスタッフ、警察ともに仕事そのものは一生懸命やっているがあまり厳しくない。ケンチャナヨなのだ。


全州スタジアム内Nブロックへのスロープをあがってチケットをもぎってもらう。そのまま指定されたブロックのある2階席へ。このスタジアムはメイン、バック、両ゴール裏がそれぞれ独立している。なかなか見やすい。豊田の2階席からの眺めのようにまさにピッチを覗き降ろすことになる。先日の水原が素晴らしかったのに比べると少々落ちるように思うが豊田とは甲乙つけがたいと感じた。試合まではまだ2時間近くある。トイレや売店などを物色。トイレは出来たばかりということもあるがたいへんキレイ。売店で売っているものは水原と同じ。オフィシャルグッズも食べ物、飲み物も。Venue独自の商品があればとも思ったのだが、少々残念。まだふたつしかまわってないからかもしれないけれど。

エスパーニャ韓国応援団体席に戻ってくると左隣のブロックがとんでもないことになっていた。緑色のTシャツに身を包んだ韓国人の団体が座っている。どうやら地元有志によるスペインを応援する人々のようだ。反対側のゴール裏を見ると赤白縞の団体が試合2時間前というのに「パーラグアイ」と黄色い声援をあげながら飛び跳ねている。またこちら側のスペイン応援団は例の韓国の応援でよく使われる空気棒(なんというのか忘れた。興味ないし嫌いなので)をあたりに配り始める。これがまた耳に痛い。手拍子にしてほしいところだ。一瞬頭がくらっとしたが、これも韓国。ケンチャナヨだ。

ひっかかった風船試合前には水原と同じようにショーがはじまる。5分見ていたが飽きてしまう。どのVenueも最初の試合はこういったショーをやるのだろうか?それとも毎試合やるのだろうか?。ショーの最後に風船が空へ舞い上がったのだがいくつかの風船がバックスタンドの屋根の下や屋根を吊っている南東の塔の先にひっかかってしまった。ショーをやるかどうか、この風船はいつまで残っているのか。来週の月曜日、再びここへやってくるのでその時はっきりするのかもしれない。まわりの席には外国人が多い。英語を話している人間が多い。オゥーエンのレプリカを来てエスパーニャと叫んでいる親父やイングランドのユニフォームを来た4人連れ。日本人ではナカタとシュンスケがいる。東京のチケットフォルダーを首からさげた人間もいた。水原では気になったが、もうここまで来たら、どーでもよくなってきている(笑)。ショーが終わり、ラウールとチラベルが試合前の練習に登場。スタジアム中から拍手。もちろんとなりのブロックの韓国人団体は空気棒で。耳に痛い。ケンチャナヨだ。


えすぱーにゃ 3-1 パラグアイ。試合はパラグアイがいい形を作ってはじまった。エスパーニャの中盤でのパスを狙ってサイドに払い、クロスでFWにあわせる。後方からサンタクルスのポストを狙ってフィード。コンベンショナルな3バックでソリッドだ。その前にボランチふたり。サイドにふたり開いている。パパ・マルディーニが好みそうなスタイルだと感じる。エスパーニャは無理やりの攻撃を繰り返す。そんな中パラグアイの攻撃でオウンゴール。パラグアイのツボにはまった感がある。そのまま試合はパラグアイがプラン通りに進めていく。このまま行くのかしれないなあ、と思った。が、後半になってエスパーニャが逆転。試合は大味な雰囲気に。となりのブロックの韓国人エスパーニャ応援団はそれでも「エースパーニャ(だだんだ、だんだん)」といった応援を繰り返す。そのうち韓国代表の応援そのもののヘッドパッド入りになってきた。必死なのだろうか。そういえばハーフタイムにパンの配給があった。エネルギー使うよな。確かに…。

エスパーニャから来たらしいサポーターはカテゴリー1のバック側1Fとメイン側2Fに陣取っている。2Fの方にはバレンシアのマノーロおじさんが例の太鼓を叩いて1番前をわったかった(行ったり来たり)。僕の前に座っていたスペイン人らしいオヤジは試合が膠着するとマノーロおじさんにビデオを向けている。さすが有名人。

マノーロおじさん?最後にはまたPK。あとでテレビで見たが、そうかな?というかんじではあったものの、まあエスパーニャである。あとは時間をかけて終了だ。そんな雰囲気になった頃、韓国人応援団体とは別の太鼓の音が聞こえてきた。なんと!どうやらマノーロおじさんのようである。カテゴリー1から3の2Fまで何で来られたのか不明だが韓国人団体に近づいて一緒に応援をはじめた。ケンチャナヨである。昨年ミラーノでのチャンピオンズリーグ決勝。くそバイヤンにPK負けを喫したあとバレンシアを訪れたがマノーロおじさんの店は開いていなかったため、彼に会うことは適わなかったが、やっとここ全州でまじかで見ることができた。思ったより若いな。もしかすると別人かもしれないが。代役か?。よく分からないが、とにかくも、メイン2Fの団体はバレンシアかカタランの団体だろうか?そんなことを思っていると試合は終了。エスパーニャの1位抜けが決定した。ということで僕がみる水原でのR16一回戦の一チームもエスパーニャに。


試合終了後そそくさと外へ出る。僕は夜0時44分発のムグンファでソウルまで戻ることになっている。仁川に着いた日、空港でグループリーグの全州の2試合および大田の1試合の帰りは予約をいれて乗車券を買っていたのだ。時間は夜8時。まだ時間は十分にあるが、さてどうやって全州駅まで出ればいいのか。だいたいシャトルバスの乗り場がわからない。たぶん高速バスを降りた方だろうと検討をつけて、公園の中を歩き始めたものの、どこにも看板らしきものはないのでいつのまにか道路まで出てしまった。すると、ちょんじゅよっ、と書いた看板がありそこには長い列が出来ていた。しかたなく真面目に列の最後へ戻る。戻る。戻る。戻る。戻る。チケット売り場のあたりになってやっと最後尾に。しかし、なんの指示も掲示もなく列がちゃんとできるというのはなんといったらいいか。最近の日本だと暴動でも起きそうな気がするけれど、まあ、そんなものか。ケンチャナヨである。1時間20分ほど列に並びやっとバスに。バスが発車したとき車内のテレビではベッカムがPKを決めていた。全州駅へ50分くらいと案内パンフレットやWebでのライターの記事に出ていたのでたいへんだなあ、と思っていたが、あにはからんや、バスは高速バスターミナルを経由して25分で全州駅へ着いてしまった。

駅について列車の時刻を確認すると臨時列車らしき便が二本ほどある。そっちに変更しようかと思って列に並んでみたが途中でもう午前1時代の列車しかないということがわかり、めんどくさいので素直に予定の列車で戻ることにする。3時間弱時間がある。どうしたものか。お腹もすいたのでどこかで食事でもとる事に。何軒か見たがイングランド対アルゼンチンの試合を見ている客でいっぱいだ。少し行くと一軒店があったのでそこにはいり、煮ブタとポッサムキムチの料理をいただく。非常においしい。煮ブタの脂身はすでにゼラチン化していて脂臭さはまったくない。ポッサムキムチの方は自然な甘味と辛さが心地よい。ソジュが合う。最後にスンドゥブを頼んでお腹いっぱいだ。


アルゼンチン 0-1 イングランド。とぎれとぎれでしか見ていない。コッリーナさんが、またPKを献上した。やはりオルテガがいるから、アルヘンティーナが嫌いなのだろうか?。それでもローマのサムエルがいるだろうに。とにかくもナイジェリアがさようならしてしまったのは残念だ。かわいそうに。


0時20分に駅に戻り、列車を待つ。列車の中はかなり暑い。ムグンファの椅子も固くて痛い。特別席か寝台にすれば良かったかとも思ったが、まあ、いいだろう。4時間ほどだ。持ってきた空気枕を使って熟睡。朝4時半にソウル駅着。タクシーで旅館近くまで戻り、シャワーを浴びる。今日はとくに予定がないので、寝るだけ寝ることにする。しかし、来週はこうやって帰ってから翌日はソウル近郊で。その翌日は遠出という日程。ハードかもしれないが、まあそれはそれで旅だ。ケンチャナヨということで。