10/06/2002
全州ふたたび
1試合
全州
くもりときどき豪雨
今日はポルトガルが生き残れるかどうかの試合。TSTを買っている身としては極めて重要だ。昨日の喜びを今日も続けれられるように祈り、午後2時半すぎに旅館を出る。しかしソウルは雨。どうやら全州も雨らしい。屋根つきスタジアムではあるが、濡れることを覚悟して高速バスターミナルへ向かう。
1号線、2号線と乗り継ぎ、全州行きバスが出るターミナル地階に入ると、そこはパブリックビューイングのまっただなかだった。あたり一面、赤、赤、赤、赤、赤。選手紹介で「きゃああああああああ!」と韓国の女の子の騒音に近い嬌声がこだまする。ヒディングの紹介でも「きゃあああああああああああああああ!」と声が出ているのは、歴史的初勝利をポーランド戦であげたことによる影響なのだろう。そんな嬌声と係員の注意を促す拡声器による音の中を掻き分けて1Fにあがる。その声は1Fまで聞こえてくる。パブリックビューイングに行くなら、テレビで見たほうがいいと思う僕などにとっては、よく理解できないのだが、この盛り上がりはそんなに嫌ではない。
全州行きのバスのチケットを買う。全州行きだけは専用の窓口があるので分かりやすい。13時50分発の一般席のバスだ。そのあと明後日の大田での試合を見るために向かいの予約販売の窓口でユソン(儒城)行きのチケットを購入。大田のスタジアムはユソンのバスターミナルのすぐそばなので、この方が便利だろうと考えたのだ。もちろん大田行きならソウルのバスターミナルは隣のビルになるので、わざわざ歩いていくのはめんどくさい。おまけに大田のバスターミナルからスタジアムまではかなりの時間がかかってしまう。なのでユソン行きである。
チケットを買ってから、軽く食事をして、乗り場へ向かう前に再び全州行きの窓口を確認。すると16:00発の優等バスに席があることがわかる。まあ、たいてい優等バスは料金が高いのでぎりぎりに埋まっていくのだが。一般バスの席は若干狭い上に全州まで約3時間。奮発して優等バスに変更。チケットを見せてバスの時間を指差して「こっちのに変更して」と言って変更してもらう。連続観戦が続くので無理は禁物だと勝手に納得する。それに高いといっても500円だ。20分後乗り場へ向かい運転手に「ワールドカップ競技場で降りたい」と告げバスに乗り込んだ。
午後4時ちょうど、バスは韓米戦を見る観客でいっぱいのターミナルをあとにする。豪雨といっていい雨が降っている。今日の午後は休みなった学校や会社が多いので、道も空いている。バスは数分でやはり車の少ない京釜高速道路に入り快調に飛ばしていく。この分なら予想通りの時間に到着すると思っていったその時だ、急に渋滞がはじまった。こんな時間におかしい。もしかしたら事故か?。バスはのろのろと進んでいく。そしてやっと抜けられそうになった時、左手に正面衝突しているバスが2台。一台は客を乗せ、一台は客はいなかった。どうやら中央分離帯に客を乗せたバスがぶつかり回転して後ろのバスが追突したようだ。こういった事故は韓国ではよくあることで、人が亡くならない限り、よほどのことがないと新聞やニュースの記事になることはない。よくある韓国のひとコマではあった。ただ自分が巻き込まれたりすると少々パニックに陥るだろうし、絶対に新聞ネタになるな、と自らの幸運に感謝ではある。
バスは順調に走り、全州のインターチェンジを下りる。先日来たばかりでかなり慣れてきている。バスは約束どおりスタジアム横の門の前に止まる。バスを降り、スタジアムへ公園の中を歩いていく。あいかわらず、あちらこちらで、いろいろなイベントが行われている。わけわからないアコーディオンで韓国演歌を演奏する老人の団体。韓国地元親切応援団の練習も盛り上がっている。チケット売り場には当日券の列が出来ていて、ほぼ先日と同じ風景だ。唯一違っていたのは空模様とシャトルバス乗り場の案内板。雨はしょうがないとして、帰りのシャトルバス乗り場の案内板を先日出しておいてくれたら良かったんだが、と思う。一応、確認しに行くと全州駅行きバスの乗り場が先日と変わっている。おそらくあれだけ人が並んだため、大きな問題となって対応を考えた結果だろう。このあたりのオン・ディマンドな迅速さは韓国の特徴でもある。
ほとんど何もないところに作られたスタジアムである。一度ふらふらすれば、あとは何も変わったことはない。その上に雨も降ってきたので、とっととスタジアムに入る。それでも試合まで1時間ちょっと。今日は例のわけわからないショーはやらずに先日のその模様をオーロラビジョンで流している。退屈だ。すると空から猛烈な雨が降ってきた。屋根があるのだが風が強くどんどん雨が吹き込んでくる。慌てて持ってきた雨具を着込む。この雨は試合中ずっと降ったりやんだりを繰り返していた。
ポルトガル 4-0 ポーランド。先日のアメリカを舐めきったポルトガルはどこへいったのか。グループリーグでここまで必死なポルトガルを見られるとは。といっても、アメリカに負けたおかげといえばおかげだが、こちらとしては負けられては困る。最後の20世紀型チームであるポルトガルをひとつでも長くみたいではないか。郷愁と笑われてもいい。蝋燭の最後の揺らめきと言われてもかまわない。僕は今のポルトガルが好きである。その願いが聞こえたのか、ドイス・ボランチスで入ったのが良かったのか。結局、アメリカ戦では6本ははずしたパウレタがヘットリッ(ハットトリック)。後半途中から出てきたルイ・コスタがやはり後半出てきたカプーショと華麗なロングワンツーを決める。ポーランドも悪いチームではないのだが、すべてアメリカが悪い。というかアメリカを舐めたポルトガルが悪い。それよりなにより、次の韓国戦。消化試合か馴れ合い試合になることを覚悟していたが、ついにガチンコの勝負になってしまった。いやはや。僕としてはダブルバインド状態だが、ここはひとつ敗退が決まったポーランドにフットボールネーションの意地を見せてもらうことを願うのみ。
試合終了と同時にダッシュでシャトルバス乗り場を目指す。2台目のバスに乗り込む。ガイドブックやネットの記事では40分などと書かれていた道のりだが、またも20分で全州駅につく。まったくいい加減な記事は問題だ。おかげで予約していた列車を1時間早め0時44分発にしなければならなくなった。とくに問題はないのだが、めんどくさいことをさせないようにということだ。しかし、今回来ても思うが、能力のないライターが多すぎる。能力のないライターは即刻、自戒の念にかられるてあやまるように(笑)。それでも時間があるので近くのシクタン(食堂)でピビンバを食べる。日本人の女の子ふたり組がガイドブックを見ながら困っていた。声をかけようかと思ったが結局はほっておいた。二度と知らない日本人の世話はしたくないものだ。
この道はいつか来た道で、午前4時41分、17分遅れでソウル到着。交渉の必要がない模範タクシーに乗って旅館に着く。いやはや眠い。もう今日は昼前に起きて水原へ行かねばならない。
|