13/06/2002
This is football.
2試合
ソウル
晴れ
今日はソウルでの試合だ。前日の事件で眠るのが遅くなったため、午後2時宿を出る。1号線の鐘閣駅から一駅の市庁駅で乗り換えすることに。一駅だから歩けば良いと思うかもしれないが、ソウルは地下道を通らなければ道を渡れない場所が多々ある。ウルチロイック駅まで歩いてもいいが、少々遠い。そういうわけで、市庁駅で乗り換え、今度は2号線に。5つ先のハプチョン駅で6号線に乗り換え。乗ってるみると噂どおりのワールドカップ列車だった。車両ごとにブラックライトやグリーンライトが使われ様様な装飾が施されている。僕が乗ったドア横には韓国代表ゴールキーパーのキム・ビョンジ。窓にはサポーターや関係者の笑顔の写真。盛り上げようという意気込みは買おう。そんなものを見ているうちに、3つ先のウォルドコプキョンギジャン駅に到着。
ここまでは、この冬にソウルのスタジアムを見に来た道すがらなので慣れたものではある。しかしながらさすがに試合当日、あの時とは当然比べ物にならない人の波だ。それでも動いていく隙間はなんとかある。ドアを出ると人々がエスカレータに乗って次から次へと上っていく。僕もその流れに乗って上へ上がる。すると目の前にスタジアムの北側スタンドが見える。ここまで所要時間35分。やはり近いということはとにかく楽だ。このスタジアムをホームにするクラブが出来るという話もあるが、非常にうらやましい。と、思っていたが、僕の席は南の中国側。ここからスタジアムを回りこんでいかなければならない。そのうえバック側の外周部分は少々狭いので大変だ。おまけに今日は公共精神がない中国人と先に行ったもの勝ちの韓国人がほとんど。人と人の間を掻き分けて進んでいく。
やっと南側スタンド入口に到着。チケットををもぎってもらってから、席に着く。ここまで韓国のいくつかのスタジアムを見てきて改めて分かったが、このソウルのワールドカップ競技場はいまひとつかもしれない。いや、もちろん専用スタジアムなのだから日本の状況を考えたら罰があたるというものだし、アジア最大の専用スタジアムとしてうまくまとめあげたとはいえるのかもしれないが、うーむ、やはり少々物足りない。僕がここまで見たスタジアムに順位をつければ、大田、水原、全州の次。仁川よりも当然良いというランクになる。言って見れば専用スタジアムの横酷(決勝を行うスタジアム)かもしれない。ゴール裏でも傾斜はそこそこなのだが、席数が多いためどうしてもピッチが遠い。もちろん、それでも、フットボール場としてはアクセスや人の導線や屋根などを含め、さいたまスタジアムよりは上であることは自明ではあるのだけれど。
そんなことを考えながら、辺りを見ますわすと、中国人がいっぱい。最新式のデジタルカメラやDVカメラなどで撮影をしてるところからするとかなり裕福な北京か、上海語も聞こえていたので沿岸都市方面から来た人々ではないだろうか。彼らは早速「ぢやぁよぉ、ぢやぁよぉ(加油)」と声を張り上げている。おまけに分けが分からない欧米人のカップルがそんな彼らを盛り上げる。疲れる(苦笑)。とにかく僕としては中国には悪いが今日はある程度の得点差でトルキエが勝ち、余裕があれば中国にワールドカップ初得点をしてもらうというあたりが設計図だ。
トルキエ 3-0 中国。とりあえず、まず勝たなくてはならないトルキエ。試合早々いい形を作っていく。前半早い時間帯に2点を先制。周りの中国人はだまってしまう。力の差がはっきりとあるのだから、それはしょうがない。中国が形を作りかける時がないわけではないが、点の匂いはまったくしない。同時に始まっている水原の試合を見に行っているFさんからホナウドが決めた、2点目が入った、3点目が入ったと連絡が来る。初戦に負けたトルキエが奇跡を起すのだろうか?。Fさんから電話で3−2になったと連絡。げっ。それはまずい。得失点差でコスタリカに追いつかないではないか。それなのに後半になるとトルキエがとたんに攻めなくなり試合はこう着状態に陥る。時々中国がまた形を作るが結果は眠い。いや、昨日の今日で本当に眠くなってきた。退屈極まりない。こんなことをやっていてトルキエはいいのだろうか?。それでも20分近くトルキエはちゃらんぽらんの攻撃と適当な守備で時間を費やしていく。 もしかしたら、これは水原で何かあったのでは?。早速Fさんに連絡。すると5−2という報告。ああ、それならば合点が行く。これこそフットボールのひとつの姿だ。勝つためにリスクを犯さず攻めずに攻めさせずに時間を使う。トルキエさすがだ。そして後半残り10分になって選手を代えてから再び猛烈な攻撃を中国にかけて1点をもぎ取って結局3対0。巨大なトルキエ国旗がトルキエ側で揺れ、例のガラタサライ応援歌が聞こえてくる。素晴らしい。このまま行けばグループリーグ突破だ。トルキエ、万歳。
試合は結局このまま終了し、トルキエのグループリーグ通過が決定。フットボールの醍醐味のひとつである時間つぶしを目の当たりにできたのは幸せだったと云えるかもしれない。
他のスタジアムでは終了後、急いでシャトルバス乗り場や地下鉄駅を目指すのだが、今日はゆっくりとスタジアムの外に出た。近いということで、かなりの余裕があるので、メイン側へまわる。確かにフットボールを行うための建造物として悪くないとは思う。しかし、どこか喉にひっかかるようなこの感じはなんだろうか?。などと、考えながらメイン側のエントランス方面に目をやると、なんと、先日も広げていたトルキエ国旗が見えるではないか。たくさんのトルキエ人が巨大国旗のまわりを持ってジャンプを繰り返す。良かったなあ、と心から思う。力からすればトルキエが勝って当たり前だが、負けたコスタリカがブラジウに奪われた大量点が効いた。
スタジアムの南側のエントランスからはハンガン(漢江)で吹き上がる202mの噴水の水柱が見えている。2002mだったら凄かったんだがなあ、と無理なことをふと思う。そのまま南側のエントランスから外に出て周辺に整備された公園の池まで歩いてく。家族連れやカップルが試合の余韻を楽しむようにゆっくりと歩いている。そういえばソウルにはこういった整備された場所が少ない。これからはソウル市民の憩いの場として機能していくことになるのだろう。
公園を後にして、ウォルドカップキョンギジャン駅のひとつ手前のマポクジャン駅まで歩く。地下鉄に2度乗り換えて、水原へ行っていたFさんと午後7時15分に鐘閣のコーヒーショップで合流。今日はFさんの連れが最終日なので、いわゆるところのカルビなど牛肉を食べたいとのこと。明洞にあるいきつけの焼肉店へ地下鉄に乗って移動。歩いてもいいのだが、この時間、人ごみいっぱいの明洞を歩く気にはなれない。
イタリア戦に間に合って、焼肉店に到着。ここはいろいろな牛肉の部位を食べられるセットが50000ウォンでお得。4人で食べてもかなりのボリュームがある。試合を見ながら、焼肉に舌鼓。炭で焼きごま油と塩のたれにつけた肉をネギと味噌ともにサンチュで巻き口に運ぶ。ジューシーかつ柔らかく、それでいってあっさりしていて非常にうまい。
イタリア 1-1 メヒコ。肉を食いながら観戦。メヒコに点が入った時、さすがに「えっ?!」と思った。イタリアにあせりが見える。肉はうまい。後半かなりの時間がたってから、トッティに変わりデル・ピエーロが登場。「ドラマが生まれるような予感がする」と頼んだ冷麺を待ちながら、話をする僕たち。そしてついにモンテッラのあげたクロスがワンバンドしたところに飛び込むデル・ピエーロ。ヘッドが決まって。1対1。頼んでいた水冷麺を口に運ぶ手も止まってしまった。そしてロスタイム。メヒコがバックラインでボールをまわしはじめ、イタリアも攻撃にいかない。退屈な時間がすぎる。これもフットボールの醍醐味のひとつ。
ただ、この大分の試合を見に行っていたうちの事務所の人間からのメールで知ったのだが、なんとこのフットボール時間が過ぎている最中にブーイングが起こっていたのだという。それは悲しい。この時間は周りの人たちと、“このあと食べるもの”とか“今日の試合の感想”とか“これまで見た試合の話”をしたり、“あたりの女性をくどいたり”しながらボール回しにあわせて声をあげて至福の瞬間を待つために行われる儀式なのだ。その儀式をブーイングで潰してはいけない。もしかしたらブーイングした観客はクロアチアファンだったのだろうか?。それならば分かるけれど。
試合終了後、店を出て、明洞に出来たミリオレの9Fにあるフットボールバーへ行ってみることにする。韓国のレッド・デビルスがやってくる場所ということだったし、明日の試合を前に盛り上がりまくって、混んでいるかとも思ったが、ちょうど今日の全試合が終わったあとということもあったのか、明日に備えて韓国の若者は充電中なのか、とにかく空席多数。試合をここで見ていたらしい日本人の若者たちも帰るところだった。このバーには世界の有名チームやKリーグチームのレプリカがたくさん飾ってあるが、京都と市原のレプリカが存在するのはやはり韓国ということか。中はかなり広く、雰囲気も悪くない。料金もなかなか安い。カラオケボックスも併設されているので歌いたい人にもよいのかもしれない。ここで深夜0時すぎまでビールとコーヒーを飲みながら過ごし、明日に備え店を出る。まだこのくらいの時間なのだけれど、明洞の街の人影はまばらだ。嵐の前の静けさなのだろうか。明日は仁川でいよいよポルトガルが韓国との決戦である。どちらも抜けてくれてアメリカが落ちることを祈りつつ、宿へと歩きはじめた。
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