21/06/2002
不思議の静岡
1試合半
掛川
晴れ
朝8時半に家を出て不動前駅へ。武蔵小杉で乗り換えて菊名経由で新横浜に9時35分に到着。横浜線で長い時間待ったため思ったより時間がかかる。食事などを購入し、こだまの名古屋行きに乗る。
車内には何人もイングランドサポーターがいる。指定席だったが空いている席に座っていたため移動を強要されている。すんなり従うあたり、鉄道システムがそれなりにきちんと機能している英国国民だからだろうか?。そしてなによりの特徴は缶ビールを飲みまくるところ。日本の缶ビールはイングランド人にとっては冷えすぎではないかと思うのだが、そんなことはお構いなく、イングランド式で大きな声でしゃべりながらちびりちびりと飲んでいく。それでも2時間弱の乗車時間の間に車内販売でビールを2回購入。本当によくビールを飲む。不思議である。
掛川駅に到着。大量のファンや関係者がこだまの車内から吐き出されてくる。こんな田舎の駅でさばききるにはいろいろな苦労があるのだろうと駅員や関係者に同情する。人ごみを避けるため階段下で人の波が収まるのを待っていたが、その間ジェフのキーパーコーチをしていた加藤氏や湯浅氏、岡野会長などが目の前を歩いていった。やはりイングラン対ブラジウという試合になったことからなのか、ベッカムのイングランド代表ユニフォームや黄色い(というより今回のはレモン色か?)セレソンのレプリカに身を包んで目を輝かせている人も多い。みんな期待感でいっぱいのようだが、僕はあまり興味がない両国なのでいまひとつ乗り切れないものがある。それでもどちらかといえばブラジウ贔屓か。しかし今のセレソンはセレソンではないようにも思えるし、と、あまりの人の多さにテンションも下がりぎみではある。ではなんで来たのか。とりあえず新幹線もおさえてしまったし。ということだが、不思議ではある。
掛川駅を出て北口へ向かう。まだ試合には4時間あるので街をぶらぶらと散歩する。交差点ごとにボランティアの人が立っている。ここまで立たれると監視されているようにも感じてしまうのは穿った見方か。外国人にはフレンドリーだが日本人に対してはじろじろ見る人が多い。トルシエの教えを守って、車も通らない交差点の赤信号を無視して渡ったら、うしろにいた地元のおばさんの団体に「赤信号で渡るなんて!」と注意される。こんなことで注意されるのはドイツ、ハノーファーでしかない経験だ。城の向かいの駐車場ではイベントが行われていた。ハーモニカ演奏である。客は二人ほど。誰も聞いていない。僕もつきあう気はまったくない。お城は無料になっていたが、入る気もない。不思議な街だ。
というわけで30分ほどして駅前に戻り、シャトルバスに乗る。ものすごい山の中に作られた道を走っていく。本当にこんなところにスタジアムがあるのか?と不安になる。20分ほどで山の中腹を削って作ったような空き地に降ろされる。陽射しが強い。テントが作られていて、郷土芸能などをやっていた。フランクフルトを食べながら、見る。まあ、外国人には珍しいだろう。が、説明が英語だけというのは納得がいかない。ブラジウ語も入れないのか?。看板もブラジウ語については後でつけたしたものが多かったし。ブラジウ人など南米系が多く住んでいる土地ではあるので、日本語がわかると思っているのだろうか。不思議である。
この空き地から山に作られたコンクリートの道を歩くこと10分。やっとエコパが見えてきた。見えてからも5分以上歩く。チケットチェックポイントが関所のように作られている。また少し歩くと、やっとEntranceである。ここでは荷物チェック等が行われ、ペットボトルの蓋が取られる。持ち込んでいいという。スタジアムの指定された入口に行こうとしたが、ここまででかなり疲れたのでちょっと外で休む。が、椅子などは何もないので地べたに座るだけだ。不思議である。
スタジアムの作りは東京スタジアムにそっくりだが、1階コンコースの狭さに加えて外からも見える階段の狭さはエコパの方がどう見ても上だ。正直、気分が萎えてきた。とくに階段の狭さ。3階まで狭い狭い階段をあがっていくのかと思うと恐怖さえ感じる。凄いものを作ったものだと感心するしかない。火事や事故が上層階で起こったら…。まあ、なんとかなるのかもしれない。萎える気分を奮い立たせてスタジアム内に入り、階段を上がる。こりゃあ狭い。そして3階にあがって唖然とした。あまりに狭く天井も低いコンコースがそこにあった。一瞬頭がくらっとしたが、気を取り直して指定された入場口へ狭い通路を通って向かう。 1階の反対側から上れば近かったのだが、指示に従ったらこうなった。そしてこの狭い入口で今度はペットボトルの入れ替えをやらせられる。人が溜まってしまう。そしてボランティアの方々の数が非常に多く、歩くのさえたいへんだ。狭いスタンドの入口に左右3人ずつ6人も並ぶのはどうだろうか?。あまりの不思議さに首をひねる。
指定された席についたが、うーん。東京スタジアムの方がいいのではないだろうか?。陸上トラックがとても萎える。いや陸上競技場であってもしょうがないのだが、ここまでのすべてが頭をひねることだらけだったため、そのショックが尾をひいている。時間があったので2階に下りてみたが天井が低く圧迫感がものすごい。1階席からの傾斜も東京スタジアムより緩い。これがフットボール王国静岡のスタジアムなのか。ネットでいろいろ見てはいたが…。不思議なところだ。
イングランド 1−2 ブラジウ。試合についてはとくに言うことはない。それなりの試合だったということだろうか。イングランドの試合を10数年ぶりに見たけれど、なるほどイングランドが好きな人がいるのは理解できた。あの直角定規みたいなパスは見ていて気持ちいいと思う人がいるのかもしれない。ベッカムのクロスも速くてあまり大きな弧は描かない。直線的なイメージがイングランドにはあった。
一方のブラジウも3バックが楽しめる。なぜならとても危うくて怖い。あれでなんとか守備しているのだから楽しい。中盤は堅実で華麗さはもうない。R3は強力だと思う。ホナウドもそこそこ戻ってきているようだが、やはり同点弾の時のプレー。ヒバウドがジンガしてスペースを作りホナウジーニョに。ホナウジーニョもジンガでフリーにしたヒバウドへ。きれいだ。ジンガふたつで点を取られるイングランドは問題だと思ったが、あのリズムはブラジウだろう。ホナウジーニョのフリーキックは狙ったとはいえまぐれに近いのでコメントなし。
ブラジウが10人にならなければ、同点になっていたのではないか。試合が終わったあとイングランドとブラジウの選手が一緒になって場内一周する姿は、なかなかいいものだった。
新幹線は夜の9時半ぐらいなので、時間はたっぷりある。そのためゆっくりスタジアムを出ることにした。が、これが間違いだったのかもしれない。シャトルバス乗り場方面には人の列が出来ている。まるで、諸星大二郎の漫画に出てきた隠れキリシタンたちが死を選んでぱらいそに上っていくような、ガス室に送られる人とはこんな感じなのだろうか?と思えるような。そんな列が延々と続いているのだ。列についてゆっくり歩いていくが、途中何度か止まる。掛川駅が混んでいるのでシャトルバスの規制をしているのだそうだ。また左側の列が掛川駅、右側がそのほかと書いてあるが、外国人サポーターはそんなことに関係なくどんどん歩いていく。そしてシャトルバス乗り場で関係なく掛川行きに乗っていた。日本語だけしゃべるボランティアがそこらじゅうにいるのだが、何もできないようだ。まあ、日本人の典型的姿なので、不思議ではないけれど、ここまでの混雑を演出するというのはなかなかのものである。そして柵で囲われた一本道で逃げ道もない。自由を失った人々の未来は来るのだろうか?。などと思えて来る。不思議だ。
1時間後やっとバスに乗る。掛川駅付近は混雑していて、そのうえ、駅前では道を一度左折して回りこむのでそこでの信号待ちが5分以上。結局30分以上かかった。駅前では主だった店は観戦客でいっぱい。それはしょうがない。僕は目をつけていた駅前の路地を入ったところにあるペルー料理屋にはいる。30分ほど待って席につく。スカパーのIPCに加入しているからだろう。テレビでは韓国での夜の試合をやっていた。イングランド人が座り込んでひとり生ビールを飲んで考え込んでいる。
ドイツ 1-0 アメリカ。新幹線の時間があるので前半しかきちんと見ていない。得点の時はちょうど店のブレイカーがとんでしまい見ることができなかった。アメリカは本当にいいチームだ。あのシステムや選手のポジショニングなどはバスケットボールやアメリカンフットボールからの影響もあるのだろうか?。悪くない。が、アメリカというだけで、僕はダメである。負けていい気味だということになる。別にドイツも好きなわけではないのだが。
新幹線の時間が来たので駅へ向かう。買った時は満席と言われていたが、車両は半分以上ががらがら。早い列車に変更した人が多いのだろうか?。とにかく11時半ぐらいに東京駅に着。くたくたになって山手線に乗って目黒から徒歩で部屋へ。明日は大阪だ。
エコパは空気だけは頭痛がするほどおいしい以外、そのスタジアム、運営や意味もなくボランティアが多いところなど、とにかく不思議な場所であった。しかし、ひとつだけ確実なことがある。僕がエコパを訪れることは、これから一生、二度とないということだ。
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