伝説のニュース番組をふりかえる
Virtual NEWSCOM

06/7/22更新
 日本を代表するクールなニュース番組であった「FNNニュースCOM(以下、NEWSCOM)」。フジテレビ系で'90年代前期に放送された。木村太郎のダジャレの魅力にとりつかれた人も多かったことであろう。そんなこの番組をふりかえりつつ、魅力をひもといてみようとこのページを編んだ。楽しんでいっていただきたい。
●特徴・番組構成


特徴…
(1)スピーディかつコンパクト
(2)クール
(3)ダジャレ

(1)他番組と違い、25分間(初期)で見られるコンパクトさ、よけいな検証や冗長な特集を省いた徹底的なほどのスピーディな流れに圧倒された。
(2)美しく造形されたスタジオセット、透明感のあるテーマ音楽やアタック音、装飾を省いたテロップなど、スマート感あふれるクールな番組だった。
(3)最後にヤボったいほどの木村キャスターのダジャレが、あまりにも日本的で、クールな番組全体とのミスマッチ感覚をひきおこす。これもまた、魅力であった。

番組構成
 トップ映像→ストレートニュース→COMPACK→世界ニュース(→太郎のCOらM)→関東地方ニュース(→天気予報)→エンディング

 番組の性質上、解説コーナーや特集はほとんどなかった。大きなニュースがあると専門家を呼んだりしたが、他の番組ほど頻繁ではなかった。番組を通して最もビッグだったゲストは、ペルーのA・フジモリ大統領(当時)。通訳はいなかったと記憶している。
 先述の通り特集がほとんどないことが特徴のこの番組だったが、「ごみ特集」を行ったことがあった。スタジオ前面の世界地図の上に、視聴者からの手紙やFAXが散らばっていたのが印象的だった。


珍しく特集を組んだ「ごみ特集」の日。(後述する「ド派手なオレンジスタジオセット」の頃)

 番組中盤の名物が、世界、日本のおもしろ映像を集めた「COMPACK」。年末には特集を組んだりもしていた。青嶋キャスターらの軽快なトークにのせておもしろ映像を見る、休憩コーナーとも言うべきものだった。常に堅苦しい雰囲気の流れるNHKやTBSのニュースとは好対照であった。

COMPACKからのひとこま

 エンディングは、その日のおもしろいニュースを太郎が一つだけとりあげ、それを一通り説明した後、太郎手作りによるダジャレでしめる、という「黄金のパターン」が視聴者を楽しませた。番組後期は「COらM」コーナーのためダジャレがなくなり、これがNEWSCOM終了の遠因と見ることもできよう。

 先程述べた3つの特徴も、番組後期になると消えていった。放送が30分間に延長され、ダジャレも消滅、アタック音も廃止になった。他局と横並びになっていく姿がさみしかった。


●歴史


 NHK時代、「NC9(ニュースセンター9時)」のキャスターとして華々しい活躍をとげた木村太郎氏。いまは使ってるんだか使ってないんだか分からないパソコンを横に、アメリカナイズされた保守思想を早口でまくし立てるコメンテーターとなっているが、この番組では「ダジャレニュースキャスター」として、一世を風靡したのだ。
 木村氏がフジ専属となり最初に担当したのが、「FNNデイトライン」。その次に始まったのが「FNNニュースCOM(以下、NEWSCOM)」である。この番組はフジテレビ系で、平日23時から25〜30分間放送された(金、土、日は後述)。
 「ニュースステーション」(テレビ朝日系)をはじめ、各局各時間帯のニュース番組が長時間化に傾いていたこのころ。フジは独自の道を進み、'90年春に「プロ野球ニュース」を内包していた「デイトライン」を解体。ニュース番組を25分間にしてしまった。もちろん、フジの看板であった「プロ野球ニュース」の単独番組化という目的もあったわけだが、25分間で、さっさと見れるニュース番組というのは当時非常に画期的でもあった。
 筆者はNEWSCOMの開始には立ち会うことは出来なかったが、初期テーマ曲は、メロディこそ同じもののおなじみのものとは違うアレンジだった。(後述)

 番組後期は、天気予報や「太郎のCOらM」コーナーが入り30分間になった。が、そのために番組の魅力、太郎のダジャレがなくなってしまった。「コラム」は、ニュースJAPANでも続けられた。「フジテレビやFNNには関係ない、木村太郎によるコラム」というスタンスは同じだ。「スーパーニュース」でもブリーフコメントながら「木村太論」がある。

COらMのタイトルCGの変遷。何度もコロコロ変わっている。FNNには関係ないというスタンスのはずが、初代は番組ロゴを流用したために「FNN」のロゴが入ってしまっている。(2枚目)キャスターを横から撮る手法は「NEWS23」などでもおなじみ

●キャスター



(最終回より)番組初期のキャスターたち。川端アナが若い!

 番組初期は山口美江(テレ朝CNNキャスター出身タレント。現在は引退)、島森路子(広告評論家)など意欲的な布陣でのぞんだNEWSCOM。しかし島森の下手なキャスターぶりが話題となり、その後はさっさとアナウンサーでかためてしまった。
 番組を代表するキャスターは以下の3人であろう。



 木村太郎
 NEWSCOMの核とも言える名物アンカー。鋭い視線に温かな表情。番組編集長としてもその能力を遺憾なく発揮していた。ダジャレも毎晩冴えていた。
 青嶋達也アナ
 まさにNEWSCOMの陰の立て役者。あの独特のカッパ顔、軽妙なカッパしゃべりに魅了された人も多いだろう。現在はスポーツ担当として、競馬やサッカー中継でおなじみ。
 長谷部真理子
 元仙台放送アナウンサー。産休に入り、代役はかの近藤サトアナ(当時)が務めた。
 初期は、川端健嗣アナ、八木亜希子アナ(当時)なども担当していた。

●BGM


 番組中、中継以外ずっと音楽が流れ続けるニュース番組というのもこの番組だけだった。  ニュースを読むときは「チャラン♪」で始まるテーマ曲、VTR中は「ペコンポン…」というミステリアスな曲が流れていた。さすがに中継中は音楽がとぎれたが、それ以外はずっと音楽が流れる軽快な番組であった。
 その後ニュースを読むときの曲は「ジャジャン!…チャラン♪」とアタック音(正確にはテーマ曲のイントロの一部)が入るようになったがVTR中の音楽は消えた。さらに「ジャジャン!」だけになり、その後「ゴロロ〜ン」という鐘のような音色となった。番組最後期、アタック音含めBGMは完全に消えてしまった。
 なお、CM前のアイキャッチ音「エフエンエン ニュースコゥム…」は覚えている方も多いだろう。

●スタジオセット


 初代は、自動車などのデザインでおなじみのイタリアの有名デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ(ジュジャーロ)の作ったもの。番組ロゴのレリーフが浮かぶベージュのブロックが並び、キャスター卓を兼ねた赤いオブジェが回りを取り囲む形で、非常に斬新なものであった。このオブジェは左と右に分かれていて、間はかなり離れており、左エリアに木村キャスターと女性キャスター、右エリアに青嶋アナが座った。
 COMPACKコーナーになると、女性キャスターが右のエリアに移動。木村キャスターが映らなかったのが気になった方も多いのでは。
 2代目は、緑色を基調とした、大がかりな造形の美しいセットであった。テーブルは一つに統合された。このため、COMPACKに木村キャスターも出演の運びとなった。
 このセットには、蛍光オレンジにピンクという刺激的な塗りが施された時期もあったが、ちょうどそのとき湾岸戦争が勃発。連日重々しいニュースを伝えるのにふさわしいとはとても言えないセットに苦情が殺到したのか、ほどなくして(約1ヶ月?)元の緑色に戻ってしまった。
 なお、この2つのセットに共通するのが「世界地図」である。スタジオ前面を占めた世界地図は、ヨーロッパ(アフリカ)、アジア、アメリカ、そして開かずのオセアニアの4つの地域のニュースを紹介するパネルであった。番組最後までオセアニアのパネルが開くことはなかった。


NEWSCOMの心臓部!?世界地図。左2枚が初代セット。右3枚は2代目セット。見出しは太郎が考えていたようだ。ニュースを読む際、太郎が「○枚目」と数えていたが、面倒を省くためか、中期以降ナンバーが加えられた。ちなみにプレートの色で地域が分かる。緑はヨーロッパ、黄色はアメリカ、赤は日本。オセアニアは青だったんだろうか…

セットの変遷。初代はジウジアーロ作のセット。2代目はあちこちいじりながら番組終了まで使用された。オレンジ色の塗装は不評を買ったか、すぐに元の緑色に戻された(5枚目の写真)が、奥中央のアクリル板と、左右後方のピンク色の部分だけは残されている。

やはり派手としか言いようのない、オレンジ色セット。



●金曜版


 金曜日は放送時間が45分遅れだったこともあり、他局と同じようにNEWSCOMも金曜版があった。違いといえばキャスターくらいのものであったが。月〜木曜の青嶋アナの代わりに、野島卓アナ、横井克裕アナ(当時)、牧原俊幸アナらが担当した。
 また、番組後期になると金曜日は新東京国際空港の、誰もいないだだっ広いエントランスホールから放送していた。後方にある噴水の音をマイクが常に拾っていたのが印象的であった。

おなじみ、新東京国際空港

●土・日ヴァージョン


 土・日は15分間。「ニュースレポート」風のストレートニュース番組でしかなかったが、雰囲気だけは平日のものと同じだった。番組最後の映像付き天気予報がいい味を出していた。
 土・日を担当した初代は、ヴェルヴェットヴォイスで視聴者を魅了した増田明男アナ(当時)。
 2代目土・日版キャスターは、現在もおなじみマッキーこと牧原俊幸アナであった。金曜版キャスターも務めた。
 牧原アナといえば、幻の「5分間NEWSCOM」。バルセロナオリンピック中継のため、短い土・日版をさらに詰めたものが放送されたことがある。タイトルCGすらはしょって、内容はただの5分間ニュースだった。


いまやおもちゃ的存在感で人気を誇る「マッキー」

●タイトルロゴ・CGなど




上段左2枚が2代目、右2枚が3代目、下段が4代目

 番組の意欲性は、スタイリッシュなロゴにも現れていた。あまたあるテレビ番組で、あの「NEWSCOM」のロゴを越えるロゴはない(と思う)。手を上げた人間、手の先のボール、そこを通過する1本の「C」をかたどった曲線、古風なローマン体の「NEWSCOM」。全てが美しいロゴだった。
 タイトルCGは代替わりしている。初代はグレーバックの質素なCG。
 2代目は、タイトルロゴが横から前面に回ってくるのを表した近未来的CG。テーマ曲に連動してロゴが光ったりした。これが一番印象的なCGだった。なお2代目以降、テーマ曲が変更されている。(初代テーマ曲はメロディは同じでアレンジ違いである。2代目以降より派手な曲調で、差し替えられても仕方あるまい)
 3代目は、その日のニュース映像と合成し、2つに割れた黄色の番組ロゴがクネクネと回りながら現れるもの。4代目は同じく映像合成で、青い「NEWSCOM」の文字が一字ずつ飛んでくるというものだった。合成映像は見たときのインパクトや客引き効果を狙ったものだろうが、2代目ほどの美しさはなかった。

 当時のフジテレビのニュース番組テロップは、かなり貧弱な字体(現在も産経新聞紙面で使用されているゴシック体)でお飾りもシンプル。すでにCG風になっていた他局に比べ見劣りするものだったが、そのシンプルさが逆に番組のクール感を高めていたような気がする。


シンプルが身上のテロップ。(3枚目)ニュースフラッシュ。タイトルロゴの左が切れていた(のちに修正)。フジのテロップシステムの後進性の証左

●エンディングテーマ


 番組後期は週代わりだったので、テーマ曲はたくさんあったことになるが、一つだけ挙げるとすれば、番組中期の「FACE」(鈴木結女)。唯一の日本人歌手によるテーマ曲だったと記憶している。発売されたシングルCDは日本語版だったが、番組で流れたのは英語版だった。スポンサー紹介時に流れる、弦楽器のような音色の間奏が思い出される。

●栄光のあと


 残念ながら'94年春にNEWSCOMは終了。ニューススタジオ改装のため、(当時フジテレビがまだ新宿にあったころの)低くて狭く貧相で雑然とした報道センターからの最終回は視聴者をよけいにしょんぼりさせた。

 その後「プロ野球ニュース」を内包した「ニュースJAPAN」が始まった。キャスターには「スーパータイム」の安藤優子、同じくNHK出身の宮川俊二を迎え、木村氏はコメンテーターとして継続出演。裏番組の向こうを再び張り、80分間の大型番組となった。
 NEWSCOMとは印象ががらりと変わり、硬派な番組になった。セットは逆に狭くなった。ライトなネタも放送し差別化を図ったが、特徴がない番組ゆえ視聴率は他番組の後塵を拝したまま。放送時間の縮小や繰り下がりを繰り返して今に至っているが、放送期間はNEWSCOMのそれを追い越してしまった。いまではNEWSCOMと同じくスポーツが分離された。

 「ニュースJAPAN」と時を同じくして、「きょうの出来事」(日本テレビ系)は逆にスポーツコーナーを切り離し放送時間を短くして成功した。NEWSCOMとは反対に、特集が充実しているのが「きょうの出来事」の特徴である。その後この番組も再びスポーツコーナーを内包し大型化した。

 そのほか、TBS「ニュース23」(90分→60分)テレビ朝日「ニュースステーション」→「報道ステーション」(80分→70分)テレビ東京「WBS」(45分→55分)NHK「ニュース10」(60分)と、大型番組花盛りとなっているが、いま、NEWSCOMほど満足させてもらっている報道番組はない。

COMEBACK! NEWSCOM


Extra
おまけ お楽しみに。

Cool Link
News Of News 〜NEWSCOM〜 このページよりも詳しいです。とくに後期テーマ洋楽リストは圧巻です。音の出るパソコンで見るととっておきのお楽しみがありますよ!


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NEWSCOM(FNNニュースCOM)は、フジテレビ系列で放送された番組です。