音が紡ぐ特捜の世界


●特捜最前線CD解説

「特捜最前線」の音楽は、「水戸黄門」でおなじみの木下忠司が作曲。
 サントラは主に3回にわたって収録されている。番組開始時に録音されたもの、2年目に録音されたもの、さらに6年目に録音されたものがある。
 番組開始時に録音されたものはさすがに古くさい印象は否めない。「水戸黄門」のサントラに似た曲もある。しかしそれでも後期まで使用に耐え得るような優れた作品も多いことは確か。
 2年目のものは、シンセサイザーなども取り入れ、音楽に幅を持たせている。
 6年目になると、シンセサイザーやパーカッションをより積極的に用い、またサキソフォンやエレクトリックギターを前面に押し出して、近代化されたサウンドを作り出している(今、2時間ドラマで使っても違和感がないほど)。ただし、他の長寿番組がそうだったように、この頃のものは別の作曲家が匿名で作曲した可能性もあるが。

 「太陽にほえろ!」などに比べ地味な印象がぬぐいきれない「特捜」であるが、3枚もCDがリリースされており、ファン層の多さを感じることができる。
 3枚すべて消費税が3%時代の価格が表記されていることに注意。(ここでは税抜きで表記しています)


@ポリドール 特捜最前線オリジナル・サウンドトラック
 トラック数:24 ステレオ 時間:42:31 ポリドール/H30P20100 2,730円(税抜)
 レコードの復刻版。年代もののため入手は困難。レコードサイズのライナーノーツが涙もの。
 そのライナーでは「刑事ものはスタイルやプロセスが現実離れしたものが多い」「殉職をエサに視聴率を稼ごうとする刑事ドラマ」など、「太陽にほえろ!」や「西部警察」へのあてつけとしか思えない文章が居並び、壮観。同じコンポーザだからといってむやみに「水戸黄門のBGMに似ている」ところをわざわざ強調しているのが笑える。また常体敬体の入り混じった文章も、時代を感じさせる。
 このCDではモノラル録音のマスターをステレオ化して収録してある。モノラル放送だった特捜がステレオでよみがえる(モノラルにこだわったバップ盤はこれを目の敵にしている)。
 構成は盛り上がりに欠け、スローテンポの曲が多めで、高揚感のある曲はいまひとつ、といったところ。しかし「私だけの十字架」レコードヴァージョンは貴重。
 ジャケットは時田・犬養・杉がいる最後期メンバーの写真だが、後期('82年以降)のサウンドはひとつも収録されていない。


Aバップ 特捜最前線ミュージックファイル
 トラック数:27 モノラル 時間:77:50 バップ/VPCD-81069 2,427円(税抜)
 同社おなじみの「ミュージックファイル」シリーズのラインナップ。すべてモノラルでポリドール盤との重複がまったくなく、こだわりを感じるが、ライナーはポリドール盤のウケウリが多く見られる(ポリドール盤のライナー著者が「資料協力」としてクレジットされている)。
 全作品リストが掲載されており、500話以上にわたる特捜の歴史が一目で見渡せ、圧巻である。
 ポリドール盤とちがい、番組後期('82年以降)に使用された、近代的なサウンドトラックもしっかり収録されている。おもに初期のサウンドを若い番号に置き、後期のサウンドを後ろのほうに置いている。
 1トラックに3〜4曲が収録されている。物語の進行状況や、シリーズ前期・後期の流れなどを意識した構成となっており、制作者(「サントラの鬼」VAP・高島幹雄氏)のこだわりが感じられる。曲につけられたナンバーもちゃんと書かれている。
 ライナーにはオープニングナレーションが書かれているが、矢印オープニング時代の「天に地に…」がない。最初のOPナレーションも誤植している。


Bバップ 特捜最前線ミュージックファイルVol.2
 トラック数:30 モノラル 時間:73:24 バップ/VPCD-81124 2,427円(税抜)
 若干ネタ切れ感のあるCD。盛り上がりのある曲を収録するため、ポリドール盤と3曲が重複しており、ライナーでは「あっちはむりやりステレオでこっちはモノラル。聞き比べをしてほしい」と苦しい言い訳。
 構成もかなりマニアックで、ナレーション入りテーマ、テーマ別バージョン、ギターソロ、ブリッジ(いわゆるアタック音)などが含まれたディープな内容。わざわざテイチクから音源を借りて「悪女の子守唄」(中期に集中的に挿入された曲)を収録している。盛り上がりに欠ける構成のため、よほどのファンでもないと、買って「損したな」と思うであろう。しかしだからこそマニアには貴重なCDなのである。




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