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医療取材 吉原忠男氏
「医療再生元年」
去年は医療崩壊の1年だった。平成20年度は崩壊した医療を再生する年にしたい。
文・蜑コ譲次( 埼玉県地域保健医療計画推進協議会委員 蜑コ譲次)
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外部にものを言える医師会に
吉原忠男氏は当時逼迫していた医師会の経済基盤の健全化などを掲げ、埼玉県医師会会長に選出される。
「僕が医師会長になったのは、ちょうど医療危機が叫ばれはじめた頃です。医師会内部の問題だけに係っていては駄目だ。何か県民のために役立つ医師会になりたいと思いました」と吉原氏。
就任直後、吉原氏は「外にものの言える医師会」を目指し、自ら「医療制度改革を考える」シリーズを医師会ホームページ上に連載開始し、国の進める医療制度改革の問題点を埼玉県民にアピール。翌年の平成17年10月にはデジタル広報誌「埼玉県医師会」を創刊。平成18年には発行部数の多い東京新聞「ショッパー」と提携。その誌面に県民のための「埼玉県医師会健康手帳」コーナーを設けるなど、従来の内向きの医師会の姿勢を180度変換し、直接、県民に医師会の考え方を発信し続けている。医師会内部では、財政基盤の確立や選挙制度の透明化、それに医師会活動の活性化などの実績を挙げた。
埼玉県の保健医療行政と協力し、「国の方針に拘わらず、埼玉県民が必要とする医療療養病床数は確保する」、「足りない埼玉県内の産科・小児科・救急医療を充実するため、その診療科の有床診療所(病床数19床以下)の病床規制を緩和する」「救急医療情報網の整備」など、県民の保健医療ニーズに応えている。
災害時の「医療救護活動マニュアル」を医師会が作成し、その他、「救急蘇生法の指針:AEDの使用方法」「埼玉県小児救急電話相談#8000」「患者さんのための三つの宣言制度」「産科・小児科に関する医療対策協議」など、多くの医療課題に取り組んでいる。
上田清司知事と医療関係の会合で同席することも多く、「(医療に)非常に理解のある知事で助かっています。ただ挨拶で知事が医療のことを詳しく話され、次が僕の番の時など、喋ろうと考えていたことを知事に言われてしまい、仕方なく『全部、知事が挨拶でお話しになったので』と簡単にすませることもあります」と笑顔で話す吉原氏。
これまで医師会が県民に広報してきたのは、がん検診、生活習慣病対策、予防接種、学校保健、子育て相談、インフルエンザ対策、救急医療、介護関連、災害支援体制強化、医療制度改革など多岐にわたる。
《吉原忠男氏(左)プロフィール》
昭和10(1935)年7月、青森県三戸町(さんのへちょう)生まれ。中学3年の頃、済生学舎(日本医科大学の前身)で医学を学んだ祖父のいる茨城県協和町(現在は筑西市)小栗に家族で移り、地元の名門、下妻第一高校に入学。吉原家は、祖先が小栗判官という言い伝えもある家系だった。その後、渋谷に下宿しながら東京慈恵会医科大学に通う。卒業や国家試験で忙しい医学部6年生の頃、映画監督になりたいと、夜学でシナリオ作家協会主催のシナリオ研究所の研修科を修了。父親に言うと「ここまで来て何をいう」と叱られ、結局、医者になった。大学医局に入ると、今度は医療にのめり込んだ。第一外科学教室助手を経て、昭和43(1968)年、まだ田園風景の残る南浦和で吉原医院を開設。近くには山や川があり、まだ小さかった子どもたちがザリガニや野蒜(ノビル)を採ってきた。開業医として地域保健医療活動に力を入れ、地元の人のリスペクトを集める。埼玉県医師会常任理事の後、平成16(2004)年4月から埼玉県医師会長。平成18(2006)年、第34回医療功労賞(主催読売新聞社、後援厚生労働省)を受賞。
埼玉県医師会長の他、埼玉県医療審議会会長、埼玉県健康づくり事業団理事長、埼玉県医療対策協議会会長など多くの役職を兼ねる。
医師会長で現役の開業医という多忙な日々のなか、海庭良和(かいばよしかず)のペンネームで医学知識と経験をベースとした社会派ミステリーやエッセイを執筆する日本ペンクラブ会員。
昭和39(1964)年、SFマガジン第3回SFコンテスト受賞作「太陽連合」を発表、昭和50(1975)年には「走る人たち」で文學界新人賞(文藝春秋社)候補となり、昭和56(1981)年には、「ハーレムのサムライ」で「オール讀物新人賞」(文藝春秋社)を受賞。同年発表の「ジーザスの夏祭り」は「野性時代新人賞」(角川書店)候補。味紀行エッセイ第一作の「ノルウェーの石蟹」 (森林書房、平成3年)、味紀行二作目の「ニューヨーク小景 」(郁朋社、平成16年)などのグルメエッセイは池波正太郎を彷彿させる。平成18(2006)年発行の「冬の鎖(秩父夜祭殺人事件)」(埼玉新聞社)は、秩父夜祭のさなかに起きた凄惨な殺人事件を背景に、国家の犠牲となった家族の怨念の系譜を解きほぐすミステリーで、版を重ねている。
《社団法人 埼玉県医師会》
会長 :吉原忠男 (平成16年4月から、2期目)
会員数 :5,739人 (平成19年12月1日現在:日本医師会調べ)
設立 :昭和22年11月1日
所在地 :さいたま市浦和区仲町3−5−1(埼玉県県民健康センター内)
電話番号:048−824−2611、FAX番号:048−822−8515
ホームページ:
http://www.saitama.med.or.jp/
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