オデ=自分の意
友人に子どもが生まれたので、お祝いとしてオデは商品券を送ることにした。商品券ならJCBが良いと人に聞いたがどこに売っているのか分からず、昼休みに近所の大型スーパーへ行くことにした。そこには数多くの専門店があるので、きっと手に入るだろうと売り場案内を見ると、見事に『金券ショップ』の案内が出ていた。
予感的中!喜び勇んでオデは2階にある金券ショップに入り、「JCBの商品券を10枚」と注文した。
「JCB商品券はございませんが、同等の商品券がありますので、こちらはいかがでしょうか?」
店員が同等と言うんだからまあ良いかと思い、1万円を出そうとしたが、財布には5千円札1枚しかなかった。オデは脇の下にびっちょり汗をかきながら店員に言い訳をして、1階の銀行ATM機でお金を下ろした。
1万円をガッチリ握り締めて再度、店へ行くと、「さっき売れちゃったので7枚しかないですけど良いですか?」と店員は言ってきた。7枚……、確かに経済的には魅力的だが、友人はなんと思うだろうか。そもそもオデが10枚買うとわかっていたはずなのに、なぜこの店員はほかの人に売ったんだろう。オデの身だしなみのせい? それとも単なる嫌がらせ? レジの前で一人ごちていると、店員は不振そうな目を向けてきた。納得はいかないが、「じゃあ良いです」と言ってオデは店を出た。
さてどうするか。オデは悩んだ末に隣町の大型スーパーへ行き、案内係にJCB商品券の売り場を聞いた。「2階の旅行カウンターに行ってください」と言われたので素直にそこへ向かい、JCB商品券を10枚注文すると、JTBの商品券が出てきた。JTBって旅行の商品券じゃん!?
生まれたばかりの子がいる友人は旅行の商品券をもらってなんと思うだろう。喜んで旅に出るだろうか。オデは買わずに店を出た。
さてさてどうするか。悩んだ挙句、デパートへ向かった。デパートなら間違いないだろう。オデは案内係に聞いてJCB商品券の売り場へ行ったが、あろう事か、またJTBの商品券が!
「あのー、オデが欲しいのはJTBじゃなくてJCBなんですけど……」
意を決してオデは店員に伝えた。
「JTBも同じように使えますよ」
笑顔を作りながらも、絶対売るぞ、という意思を感じさせる女性店員の言葉にオデは絶句した。しかし、旅行の商品券を手にして喜ぶ友人の姿が想像できず、後日「JTBもJCBと同じように使えるみたいだよ。エヘヘ」と言い訳の電話をする勇気もなかった。
「すみません、友人の出産祝いなのでJCB商品券が欲しいんです」
負け犬の目でオデは店員に訴えた。
「そうですか。では、駅ビルにある正規の販売店に行ってください」
贈答用の封筒に包まれたJCB商品券を手にしたのは、夕闇が迫る頃だった。 |