THE COMET CLUB

" MODERN VOICE "

エピソード


1983年、六本木のテレビ朝日の向かいにあったP.M.P音楽出版社(現フジパシフィック音楽出版社)のオフィスで
ジミ-中山氏を紹介された。

  「ラジオスタ-の悲劇」の大ヒットを放った英国のテクノ・ポップ・デュオ、バグルスには日本人メンバ-がいると噂されていた......
その噂の人物が、わたしの目の前に現れた。
彼は、ディレクタ-のデスクの横でアタッシェ・ケ-スを椅子代わりにして座り、
英字新聞を読みながら私が来るのを待っていた。

ジミ-中山氏は、もともとは学生時代にブラスバンドのリ-ダ-としてサキソフォ-ンを吹いていたが、
英国留学を機に、ブリティッシュ・ロック界でセッション活動を始める。
そして彼はパ-ティ-で知り合ったデニ-・レイン(ウイングス)の家に転がり込んだ。
ツア-
で長く不在するデニ-が、家に住まわせてくれたのだという。

後にイエスのメンバ-となり、ZTTレ-ベルを起こしたトレバ-・ホ-ン.....
後にエイジアのメンバ-となるジェフリ-・ダウンズ......
ブル-ス・ウ-リ-(ブル-ス・ウ-リ-&ザ・カメラ・クラブ)...
ト-マス・ドルビ-...
この周辺人物らとのレコ-ディング・セッションの中から、
「ラジオスタ-の悲劇」が制作されていったらしい。

英国のユニオンの諸事情で、レコ-ドに名前をクレジットされなかったことが、
ジミ-中山氏が
「陰の日本人メンバ-」となった真相に近いようだ。





BUGGLES / THE AGE OF PLASTIC
バグルス  ラジオスタ-の悲劇






「10CCのようなサウンド.....」というのが、彼等のサウンド・モデルのひとつであったらしいが、
デニ-・レイン(ウイングス)
10CC、そしてバグルスから新生イエスへという流れの中には、
時代や演奏の形態こそ違へど、そこには何か一貫したテイストがあるのに違いない。

テ-プ・エレクトロニクスの実験的手法をポップスに応用した10CCを、テクノ・ポップの先駆と観ることは自然なことのように思えたが、
英国テクノ・ポップの奥にある一貫したテイストというのは、
案外「リボルバ-/トゥモロ-・ネバ-・ノウズ」のそれではなかったのだろうかという気がしないでもない。
「リボルバ-」をじっくりと煮込んでアルコール等を飛ばしていった結果、
そこに残った最小限度の純粋結晶体、
それこそが英国テクノ・ポップであるという解釈だ。





THE COMET CLUB
に収録した曲は、私が用意していたものだった。
当時、私はまだ美術系の学生で、卒業制作のために一枚のレコ-ド原盤を制作したところだった。
シュルレアリスム、アメリカン・ア-トの講義を経て、「シュルレアリスムの音楽」と称したテ-プ・コラ-ジュを作っていたのだったが、
仲間うちの間では、お仕着せの洋楽の模倣に飽きがきていた時期で、
東洋の、つまり東京の音を産み出したいという、倦怠と情熱の入り混じったような微熱感にみまわれており、
そういう気分が、帝都大正浪漫や上海のジャズ・エイジに対する異様な憧れとなって顕れていた。
戦前歌謡、オッペケペ、チンドン系大道芸等の資料を求め、神保町や骨董品店を漁っていたのがこの頃で、
エルンストの一連のコラ-ジュ、ラウシェンバ-グのコンバイン、そしてエレクトロニクス・ミュ-ジックのやり方で、
未来派オペラ&ミュ-ジカルをやってしまおうというのがTHE COMET CLUBの基本的な考え方となったのだった。
そのペ-シックなレコ-ディングを、私は4トラック・レコ-ダ-で行い、仕上がったマスタ-・テ-プをアセテ-ト原盤に起こしていた。

当初、その原盤から直接アナログ盤をプレスする話がもちあがっていたが、24トラックで録り直すということで話が落ちつく。
そのような流れで、THE COMET CLUBの正式なレコ-ディングは、
英国の
「マッド・サイエンティスト.....」たちの渦中にいたジミ-中山氏との共同作業で進められることになったのだった。






























中文





















1980年代後半にもなると、内外のテクノ・ポップはすでに求心力を失っていたが、
そのことは、最盛期のテクノ・ポップが掲げていた「テクノポリス」という都市デザインが実現し、
現実のどこにでもある日常風景と化してしまったことによって起きたのだという声がある。
それは消滅したのではなく、細部にまで宿ってしまったのだという。



THE COMET CLUBの曲のコンセプトが、「SF的近未来社会のオ-ルディ-ズ・ナンバ-」であったとするなら、
それが完成されるのを待つのに、20年の時を必要としたことになる。





















25.Aug.2001

大伴遥








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