ヤドカリの世界


子ども達にとって、磯で一番身近な生き物であるヤドカリ
つかまえることにばかりに気がいっちゃうけれど
じっくり観察してみると、実に楽しい生き物です
   
ヤドカリの引っ越しを見てみよう ―小さな生き物の意外な行動に感動― 

1 この活動から得られる体験

 
ヤドカリは成長して体が大きくなると、背中の殻(から)はどうするのでしょうか。
「から」はもともとヤドカリのものではないのですから、「から」がきゅうくつになってきたら、取りかえなければなりません。
「から」を取りかえるには、1つはあいた貝がらとこうかんするする方法、もう一つは他のヤドカリの「から」とこうかんする方法があります。
とくに、他のヤドカリとのこうかんの仕方に、大変きょうみ深い行動が見られます。

 「から」がきゅうくつになったヤドカリは、てきとうな大きさの「から」を持つヤドカリを見つけると、自分の「から」をコツコツと何度もぶつけ、相手を追い出しにかかります。
相手が出てくると、すばやく中に入りこみます。
そして、追い出されたヤドカリは、あいた方の「から」に入っていきます。
観察していると、この行動は引っ越しとか、こうかんという表現よりも、むしろ略奪(りゃくだつ)と表現する方があっているかもしれません。

 どこの海岸でも見られるヤドカリですが、このように注意深く観察してみると、実におもしろい行動に出会うことができるのです。
しかし、ヤドカリはいつも引っ越しをしているわけではありません。
それだけに、ヤドカリの観察をしていく中で、このような行動との出会いは、感動的です。
この体験は、じっと観察することの大切さや、「から」をこうかんして生きていくという他の生物にはない生き方を、子ども達に気づかせてくれることでしょう。

2 観察をするために

 
海岸でずっと観察をするのは、なかなか大変です。
そこで2〜3日ヤドカリを飼って、引っ越しを待ってみることにしましょう。

(1)飼育容器に、いろいろな大きさのヤドカリを入れます。
そのさい、海水と他の貝がらも入れて持ち帰るようにします。
容器の底に何もしかなければ、「から」をぶつけるたびに容器にも当たってコツコツと音がします。
となりの部屋でもよく聞こえるので、「から」のこうかんが始まったことがよくわかります。

(2)えさはしらすぼしやワカメ、ごはんつぶなどを与えてみて、よく食べるものを入れるようにします。
食べ残しはこまめに取りのぞきましょう。

(3)ホースやキャップなど、貝がらににせたものにもヤドカリは引っ越しをするでしょうか。
また、貝がらの色にも好みがあるのでしょうか。
いろいろとためして、調べてみましょう。

(4)生き物を長く飼い続けることは、なかなかむずかしいものです。
観察が終わったら、海に戻しましょう。

3 参考文献
今福道夫(1988)「ヤドカリの殻交換」さ・え・ら書房
今福道夫(1996)国語3年上「ヤドカリのすみかえ」光村図書

*以上、『初等理科教育’98.8 体験の意味するもの ―ぜひ体験させたいもの・事例集―』
 「ヤドカリの引っ越しを見てみよう」初教出版より

ヤドカリの引っ越し



ちょうどいい大きさの貝がらを持ったヤドカリを見つけました。相手の「から」を足でしっかりおさえ、つまみ出そうとしています。それでも出てこないので、自分の貝がらを小きざみにぶつけます。 何度も貝がらをぶつけたので、相手がたまらず出てきました。すかさず、はさみで持ち上げて、相手のヤドカリを後ろへと追いやります。
(手前に関係のないヤドカリが歩いています。)
相手が貝がらから出ると、もどれないように入り口を足でしっかりおさえ、すばやく中へ入っていきました。追い出された方も、あいた方の貝がらへすばやくもぐりこみ、これで引っ越しの終了です。

2002.5.16 ソロモンの指輪 画像研究所にて ヤドカリの引っ越しの動画を紹介しています。
ヤドカリのことについては
自由研究のコーナーでもくわしく扱っています。
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