超音波の世界

−超音波ー
人間の耳に聴こえない20ヘルツ以下の低い音と、
20キロヘルツ以上の高い音

 超音波(ちょうおんぱ)というと、自然界の中ではコウモリを思いおこす人が多いと思います。コウモリは自分の目にたよらず、自ら発する超音波のはね返りを聞き取って、物にぶつかることなく飛べることはよく知られていますね。
 コウモリのほかにイルカも超音波を利用していますが、超音波というものは、けっしてめずらしいものではないのです。

 私たちの身の回りには、実にたくさんの超音波があふれています。たとえば、物がこすれ合う時などもそうです。つまり、草が風でゆれてカサカサと音を立てているような時、コツコツと足音をひびかせて歩く時、そこにはたくさんの超音波がふくまれているのです。

 そうした、私たちが気がつかないけれど、身近な超音波の世界には、たくさんのふしぎがつまっているような気がします。
植物と超音波
 
植物と話がしたい、植物の今の気持ちを知りたい、そんなことができたらどんなにいいでしょう。
 植物にもともと関心のある人でしたら、植物のゆっくりした変化にもよろこびを感じることができるのでしょうけど、動物にくらべたらつまらないと感じる人もいることと思います。植物だって生きています。その生きているということを実感するのに何かよい方法はないのでしょうか。

 東京農工大学の佐藤さんは
アコースティック・エミッションAE:物にひびが入ったり割れたりした時に発生する超音波。植物が水を吸い上げる時、たまに空気がまじり、超音波が発生することが知られています。)を利用した、被爆(ひばく:長崎)したクスノキの調査で次のように書いています。

 
「可聴域にした音(かちょういき:超音波を人の耳にも聞こえるようにした)で聞いた場合の蒸散活動(じょうさんかつどう:植物が水を吸い上げること)にともなうAEは「ピュ―」であったのに対して、センサー付近の葉をむしり取った場合は「ギャー」という音であった。このAEによって、植物もわれわれと同じ生物として生きていること、植物を大切にすることを教える、情操教育の教材にも利用ができる。」 
 つまり、生きている植物は水を吸い上げる際に超音波を出していることがわかります。しかし、植物の超音波をとらえる大学の機械は、かなり高額です。
 そこで、バットディレクター(コウモリの超音波を人の耳にも聞こえるようにする機械)を少し改造(かいぞう)して、植物の超音波を聞いてみることにしました。

ケヤキの幹にバットディテクターをあてているところ
バットディテクターはmixseeds 製(5000円)
センサー部分を露出させ、コードで延長しています。
超音波を確実にひろうよう、シリコーングリス(心電図の時に胸に塗るやつ)を木に塗っています。


画像をクリックすると音が出ます。
 結論から言えば、水を吸い上げる際の超音波はとらえることができませんでした。
 バットディテクターを木の幹にあてると、何か聞こえてきますが、期待していた超音波とはちがうようです。これは私の想像ですが、ケヤキが空高く枝を広げて、まわりのたくさんの音を吸収し、そのうちの超音波が幹を通して聞こえているような気がするのです。
 森の中に入ると、木が音を吸収し急に静かな世界になることがあります。今回はそのわけを教えてもらったような気がします。

 なお、今回使用したバットディテクターには、40kHzの超音波センサーが使われています。植物からのAEのピークはさらに高い周波数にあるので、もう少し改良して、今度こそ植物の声を聞いてみたいと思います。
コウモリと超音波
 ただいまコウモリとお話中につき、しばらくお待ちください。





鳴く虫と超音波
 コオロギなどの鳴く虫の中には、超音波を出すものとそうではないものがいるようです。なぜそうしたちがいがあるのか、どんな意味があるのかは不明ですが、少なくとも音の出し方がちがうということははっきりしています。
 カネタタキという虫は、身近で超音波もよく出しているので、現在いろいろと調べているところです。

あまりきれいな音ではないのですが、カネタタキの通常の鳴き声と、バットディレクターでひろった超音波を聞き比べてみてください。

カネタタキの鳴き声

カネタタキが出す超音波
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